毎週土曜日、僕の家から一番近い緑のコンビニにバイトに来ていたあなた──はらださん。でもある日僕が血迷って変なことをしたばっかりに、あれから土曜日、僕はそこへ行けなくなったよ。んでもって土曜日、結局そこからあなたの姿は見えなくなったよ──。
単なる失恋ゲームだとなげうつのはたやすい。が、こちとら今年48歳になる。年男だ。そんな齢に、何をトチ狂ったか、自分の半分以下の年齢の女の子に告白して、フられる。正確には、無視される。もしウサギなら、恥ずかしすぎて死んでしまうような話だ。恥じるより、むしろ誇ってもいいかもしれない。
あれから数週間。はらださんからの応答は一切ない。畜生、ナメやがって。あの日手渡した紙切れに、電話番号だけしか書かなかったのが問題だったのか。そこにLINEのIDでも添えておけばまた違ったのかね? あるいはあの時、ドサクサで手を握り、「好きです! 付き合って下さい!!」と伝えるのが正解だったのか? もしくは、「好きだ! ヤらせてくれ!!」とド直球を投げ込んでいたら……
「フッ。はなはだ、愚、ですね」
──は? 何を横からお前。
「だから、『愚』だと言ってるんですよ。愚図で愚鈍、愚劣にして愚昧なスミダさん。貴方が愚直に愛を伝えたところで、それは所詮愚挙であり、愚行だということです。まさに愚人、愚物ですね」
くっ、いつも人を愚弄しやがって。キヨシよ、お前の指摘は悔しいながら的を射ている。いいんだ、衰えは認めよう。でもこれからきっと俺の時代が来る。Xにしてもアメブロにしても、俺の独壇場が!
「ハッ! ついでにもう一つだけ教えてあげます。『独壇場』(どくだんじょう)は誤用が一般化した言葉であり、本来は『独擅場』(どくせんじょう)なのですよ」
黙れ。俺の青春はまだ始まったばかりだし、まだまだ続くし終わらない! 吉岡里帆が結婚しない限りッ!!
▼天才とは、こういう人のことをいうのです。
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