俳優の山田孝之と、元舞踊家で腕時計ブランド『BRILLAMICO(ブリラミコ)』創業者の山口友敬が、新ブランド『FORIEDGE(フォリエッジ)』を立ち上げた。

 

『FORIEDGE(フォリエッジ)』では、2人が日頃からエンターテイナーとして意識している、日常にはない「違和感」を軸とした傾奇者(かぶきもの)PROJECTがスタート。第1弾として、足が曲がっていたり、器に凹みがある、まさに「違和感」を醸し出す6種類の江戸ガラスのグラスが販売されている。

 

「ここまで感性が一緒の人もいない」と語るほど、息がぴったりな山田と山口に、2人の出会いからブランドへの思い、あえてクラウドファンディングサイト「Makuake」で資金調達を行なう理由、そして新たなことへ挑戦し続ける原動力について話を聞いてきた。

 

 

■「ピタッと合いすぎて…」運命を感じる出会い

 

ーーまずは、新ブランド『FORIEDGE(フォリエッジ)』を立ち上げたきっかけからお聞かせください。お二人は、2017年2月に開かれた知人の誕生日会で出会われたとのことですが。

 

山口:そうですね。そのときは、(山田と)そんなに話さなかったのですが、後日、たまたま一緒にお食事に行く機会があったので、そこで改めてお話させていただきました。ちょうど僕が『BRILLAMICO(ブリラミコ)』(山口が立ち上げた腕時計ブランド)を離れたタイミングだったので「なんで辞めたんですか?」という話から。

 

山田:理由を聞いたら、「ちょっと飽きちゃって」とおっしゃっていたので変わった人だなと(笑)。でも、そういった部分は僕にも通ずるものがあったので、すぐに意気投合して「2人で何か面白いことをできたらいいね」というところがスタートのきっかけになりました。

 

 

ーーお互いの印象というのは?

 

山口:経営者脳を持っていて、賢い方。役者さんとしてあれだけ表現力があるのにもかかわらず、それを言葉に落とし込むこともできるし、ロジカルに組み立ててボールを投げることもできる。「この人スゲー面白い!」というのが、最初の印象です。

 

山田:僕も、単純に面白い人だなって思いました。3歳から歌舞伎の世界にいたけど、足に癌を患ったことで続けられなくなってしまって、そのあと会社員になったものの、宝ジェンヌの妹に触発されて、また踊りたくなって、マカオに行って踊っていた…という経歴も、とても興味深い。「やりたいと思ったことをやる」というスタンスは僕も同じなので、感覚が近いんだろうなと感じました。

 

 

ーーブランド初のプロジェクトとして発表された傾奇者(かぶきもの)プロジェクトは、「違和感」を軸にしているとのことですが、「違和感」を軸にしようと思ったのはなぜですか?

 

山口:こうあるべきものがそうじゃないからこそ、魅力的で、人を惹きつけると思っていて。僕自身、舞台をやっていたときに、目線の落とし方とか肩の落とし方とか、日常生活では絶対にしない体勢に”美”があることを感じていたんです。なので、『FORIEDGE(フォリエッジ)』でも、そこを大事にしていきたいなと思いました。

 

山田:多分、そこが一緒なんだと思います。僕、絵のことは詳しくないんですけど、ダリとM.C.エッシャーが大好きで。非日常っぽいものがもともと好みなんですよね。

 

 

ーー感性が似ているのですね。

 

山田:そうだと思います。この間も一緒に車に乗っているときに「昔から欲しい車があって、これなんですよ」って話をしたら、山口さんも「ハッ…!僕と一緒!」って(笑)。

 

山口:そうそう(笑)!グラスの台座の部分を、どれくらい広くするかを決めるときも、ちょっとずつサイズの違うサンプルを職人さんに用意していただいたんですけど…

 

山田・山口:コレ!!(2人で指を指してみせて)

 

山田:って、10個くらいある中から見事に同じものを(笑)。ここまで感性が一緒の人も、なかなかいないと思いますね。

 

 

ーーすごいですね!運命を感じてしまいます(笑)。

 

山口:孝之さんとは、本当にピタッと合いすぎて面白くなっちゃう。孝之さんとじゃなかったら、僕も我が強いので、全部自分でやる!ってなっていたと思います(笑)。

 

 

■初めては「ファンの方々と一緒に」

 

 

ーー「なにか面白いことをやりましょう」からスタートしたお二人。傾奇者(かぶきもの)プロジェクト第1弾で、江戸ガラスのグラスを商品化しようと思った理由とは?

 

山口:実は、昔は多くの職人さんがこういったデザインのグラスを作る技法を持っていたらしいんです。今は、工房が潰れてしまって、作ることができる職人さんも減ってしまったのですが、技法がある工房でも一般的なグラスしか作っていない。それって、すごくもったいないことだなと思ったんです。

 

山田:こんなに面白いものが昔からあったのに、なんでみんな知らないんだろう?じゃぁ、僕たちがブランドとして商品化して、もっと広げましょうよって。

 

 

ーーそれは工房さんも嬉しいですね。

 

山田:職人さんもずっと同じ作業をするよりは、作っていく中で「ちょっと歪んでしまったけど…まぁ、これも味になるからいいか」とか、「このへんうまくいったな」ってなるほうが楽しいと思うんです。

 

 

ーー確かに。唯一無二のものだというものも魅力ですよね。デザインで、特にこだわったポイントなどはありますか?

 

山田:とにかく台座の部分を平らにすることにはこだわりました。平らにしようとすると、足の曲がり具合の違いでグラスの高さや容量が変わってきてしまうんですけど、「それでも大丈夫です!」と職人さんに無理を言って(笑)。

 

山口:ワインだから満杯に注がないですし、容量が変わってしまっても問題ないかなと。それよりも見た目を重視しました。

 

 

ーーちなみに、6種類あるグラスの中でお気に入りは?

 

山口:僕は、お皿(コンポート)です。

 

山田:お皿は最初から作りたいって言ってましたもんね。僕は、お皿は別に……(笑)。

 

 

ーーそこは合わないんですね(笑)。

 

山口:あははは(笑)。

 

山田:(笑)。でも、お花を切って入れて飾っておいたり、スイーツとかフルーツを入れるのにも使えるし、お皿も良いですよね。

 

 

ーー山田さんはいかがでしょう?

 

山田:えー、僕はやっぱり……赤(赤ワイングラス)かな!

 

 

ーー好みが分かれましたね(笑)。お二人は、既にご自宅で愛用されているのですか?

 

山田・山口:まだ使ってないです。

 

山口:Makuakeのコースにあるレセプションパーティでみなさんと一緒に使いたいと考えています。

 

山田:初めては、このグラスのことを本当に良いと思ってくれて、レセプションパーティにも参加してくださるほど『FORIEDGE(フォリエッジ)』のファンになってくれた方々とがいいなって。

 

 

ーー素敵ですね!

 

山口:もしかしたら、そのときに「え、飲みにくい…!」って思うかもしれないですけどね(笑)。

 

山田:「この凹み、やめます?」とかね(笑)。

 

 

■あえて"クラウドファンディング"を選択した理由

 

ーー店頭での販売や通販での販売などもできたと思うのですが、あえてクラウドファンディングを選択した理由を教えてください。

 

山田:在庫を抱えるリスクもなく、面白いと思ったものを提供できて、本当に欲しいと思った人たちの手に届く。そのシンプルな仕組みが、すごくピッタリだなと思ったんです。

 

山口:僕は、それにプラスして、このシステムをたくさんの人に知ってほしいという思いがあります。僕自身、起業するにあたってたくさんのリスクを踏んできたので、昔からこういうシステムがあったらなぁとつくづく思っていて。いまの高校生や大学生、いつか起業したいと考えている人たちに、クラウドファンディングをもっと知って欲しいし、どんどん活用してほしい。孝之さんのような有名な方が参入することで、若い人が知るきっかけになればと思いました。

 

 

ーー実際に、山田さんのファンの方々や若い人たちの間でも『FORIEDGE(フォリエッジ)』は話題になっています。

 

山田:すごいですよね。月500件も問い合わせがくるらしくて。これをきっかけに、クラウドファンディングで新しいことに挑戦する人が増えていくといいなと思います。

 

 

ーーところで、『FORIEDGE(フォリエッジ)​​​​​​​』の第2弾、第3弾のプロジェクトは始動しているのですか?

 

山口:もう考えています。孝之さんがしたいことがたくさんあって(笑)。

 

山田:クラウドファンディングで応援してくださっている方たちに、先に情報を教えるとか、先行発売みたいなこともやりたいなと思っています。

 

山口:製品としてのラインナップも、もちろん考えていますよ。

 

山田:僕が思いついたのが全くグラスとは違ったものなんです(笑)。でも、それもいいんじゃないかって話してます。

 

 

ーー次はどんなものが販売されるのか、今から楽しみです。

 

山口:「次は何を作るのか?」と、ファン意識をくすぐるようなブランドにしていきたいですね。そこが会社の強みにもなると思うので。

 

山田:めちゃくちゃヒットするときと、全然売れないときが出てくるかもしれない(笑)。

 

 

■新たなことに挑戦し続ける"原動力"とは

 

ーーお二人のお話を聞いていたり、SNSを拝見していると、常に「人を楽しませたい」という気持ちがあることが分かります。

 

 

やまにゃん🐱❣️ ・ #傾奇者 #やっちゃえ #やまにゃんやまにゃん #山田孝之 #にゃん #🐱

山口友敬さん(@yama_chan_photo)がシェアした投稿 -

(山口さんのインスタグラムより)

 

山田:人を楽しませたいという思いはやっぱり根底にあります。SNSなんかは無料で、誰でも見ることができる。そこで「フフッ」って笑ってほしいんですよね。その0.5秒くらいの「フフッ」だけでいいんですよ(笑)。

 

山口:僕も、カールのおじさんの格好をした画像を投稿したときに、友達から「いま、電車の中だけど吹いちゃった」って連絡がきて「ヨシッ!!」ってなりました(笑)。この「ヨシッ!!」のためだけにやっているというか(笑)。

 

山田:楽しませたいし、楽しんでもらえると単純に嬉しい。…と思ったら、昨日、Instagramのストーリーで、面白いフィルタを見つけてやったら「渡辺直美さんが全く同じことやってましたよ」ってコメントがきて…

 

一同:(爆笑)

 

山田:はっずかしい…!って(笑)。

 

 

ーーそういうときは悔しかったり?

 

山田:ちょっとだけ(笑)。「あ、被ったか!」って感じですね(笑)。

 

 

ーー最後に、新しいことに挑戦し続けるお二人の原動力を教えてください。

 

山田:気持ち良いんです。こういうことはどうですか?から始まって実現するまでの過程もですし、それが形になった瞬間はたまらない。0から1にするのって、面白いことだらけなんですよ。だから僕は、魅力的な方に出会うと口癖のように「なんかやりましょうよ」って言うんですけど(笑)。

 

山口:僕は、癌になって踊れなくなったときに、海外のショーパブに飛び込んだ経験がすごく大きくて。「場所を変えるだけで世界はこんなに違うんだ」と知ったことで、挑戦してみることに迷いがなくなったんです。それに、孝之さんと同じように「0から1にすること」というのは原動力ですし、活力そのもの。これからもそうあり続けたいと思いますね。

 

 

 

■『FORIEDGE』プロジェクトページ

 

※本プロジェクトは伊勢丹新宿本店2階における「Makuake」のプロジェクトの展示スペースにおいて、2017年9月26日ー2017年10月31日まで展示予定

詳細:http://blog.makuake.com/posts/2507497