都会から田舎に引っ越してきた少女がクラスメイトからのイジメにあい、イジメがエスカレートしていきある事件に発展。少女は復讐の鬼へと姿を変えていく…。残酷なのになぜか見続けてしまう美しさも持った、話題必至のサスペンス映画『ミスミソウ』が4月7日より公開される。そのあまりの衝撃的な内容と描写から、伝説のコミックとなっている押切蓮介作の「ミスミソウ」の実写化だ。清水尋也は、クラスメイトからのイジメにあう少女“春花”(山田杏奈)の唯一の話し相手であり、常に優しくふるまう“晄”を演じた。

 

『渇き。』や『ちはやふる』など、幅広い作品で活躍する清水が、本作でも見事な存在感を放った。多くのファンを持つ原作をどの様に演じたのか? 清水本人に話を聞いた。

 

 

■胸糞悪いけど、全部愛情が原因で美しさがある

 

――清水さんは原作の「ミスミソウ」をもともとご存知でしたか?

清水:お話をいただいた時に読んで、率直に、言葉を選ばずに言うと胸糞悪いなって思いました。でもその言葉は否定の意味ではないです。グロテスクな事がたくさんあるんですけど、なんでそんな事になったかというと、全部愛情が原因で。ただのグロテスクな作品ではなくて、残酷さの中に美しさがある作品だなって感じました。


――清水さんが演じた晄は、途中で大きな展開を見せる難しい役柄だったと思います。

清水:僕としては前半と後半で変わった意識はなくて、晄の内面のドロドロとした部分は最初から持っていて、最初は観客にはそれを見えない様にするだけだったので、特に何かを変えたわけではないんです。

 

 ©2017「ミスミソウ」製作委員会

 

――こういった怖い作品に出ることで、自分自身にも変化が出たりしませんでしたか?

清水:役柄に自分自身も引っ張られてしまう、という話もよく聞きますが、僕はそういう事はないです。あくまでも役はカメラの前に立った時。撮影入って一瞬でそのキャラクターのパーソナリティな部分を演じられないと役者じゃない、と僕は思っているので。カットがかかったらスイッチが切れるのが当たり前で、例えばサッカー選手も試合と練習以外は普通の人に戻るわけじゃないですか。サッカー選手はそれ以外に自分で筋トレ等をしますが、それが僕らにとって台本を読んでセリフを覚えることかなと。


――なるほど。撮影がはじまれば役に入り、カットがかかれば抜けるのですね

清水:僕は役に憑依するタイプではなくて、その都度、役という衣をまとっている感じなんです。もちろん撮影が雪で寒いとか、物理的に疲れる部分はありましたけどね。シーンによっては休憩する部屋が撮影場所から遠いので、朝からずっと外にいて、寒さに疲れて追い詰められていって、それがシーンの緊迫感にもつながっているかもしれません(笑)。

 

 

――確かに、ずっと雪景色で。それがこの作品の閉塞感と美しさを演出していましたよね。

清水:僕は、東京で生まれ、東京で育っていて、ウインタースポーツもやったことがないので、ここまでたくさんの雪と触れ合ったことがなくて。日常的に常に雪があって、雪が降っている環境が初めてだったので、宿の窓を開けて外が真っ白というのがとても新鮮でした。映画の中では「レンタルビデオ屋もないし」というセリフが出てきますが、東京で育っていると、カラオケはあるしマックもあるし暇なんていくらでも潰せますよね。スポッチャいけばなんでもできるし(笑)、自分がこの世界の中学生だったら大変だろうな、時間の行き場のなさ、みたいな事がすごくあるだろうなと感じました。

 

 

■意外な差し入れにビックリ

 

――共演の山田杏奈さんの印象を教えてください。

清水:僕が感じた印象ですけど、真面目だけど真面目すぎない所が良いなと思いました。真面目すぎると、思いつめたり、しょいこみすぎて潰れちゃう人って結構いると思うんです。僕もそういうタイプなんですけど、自分の中でどうでもいい事は捨てられて、取捨選択ができる方だなと思いました。17歳でこの人気コミックの実写化の主演って、大きな重圧だと思うんですが、疲れも見せずにずっと同じクオリティで演技をしていたのですごいなって思いました。


――本作のメガホンをとった内藤監督は、これまでにも個性的な作品をたくさん作っていますが、驚いた要求などはありませんでしたか?

清水:そうですね、今回は結構委ねてくださったなという感じで、言われて驚いた事はなかったです。ただ、唐突に“スニッカーズ”をくれて、えっ?って思いました。

――スニッカーズ?

清水:今、えっ?って思いましたよね? 僕も一緒でした(笑)。ハワイのお土産だったかなんかで、珍しい味とサイズのやつをくれて、それはいいんですけど、その後に普通のスニッカーズもくれたんですよね・・・。後は、血のりを監督自身の手で足してくれるんですけど、監督はそういう時が一番楽しそうで(笑)。

 


――この作品は、公開されてから様々な感想が出てきそうですね。

清水:絶対に賛否両論分かれると思うんです。でも僕の願望としてはもちろん、映画を観た方に面白かったと言って欲しいですけど、「胸糞悪くて嫌い」って言われても嫌だと思わないです。映画はプラスの意見とマイナスの意見両方あって成立すると思うので。面白かったら友達やSNSですすめてもらえれば嬉しいです。皆さんの素直な感想が聞けるのが今楽しみです。

 

Hair&Make:masataka hattori 

Stylist:MOTOKO SUGA

Photography=Mime Soga

Interview=Ameba

 

映画『ミスミソウ』4月7日(土)全国公開

映画『ミスミソウ』公式サイト

 

 ©2017「ミスミソウ」製作委員会

 

【STORY】

東京から田舎に転校してきた主人公・野咲春花(山田杏奈)は“部外者”として扱われ、壮絶なイジメを受けていた。春花の唯一の味方は、同じように転校してきたクラスメイトの相場晄(清水尋也)。彼を心の支えに必死に耐えてきた春花だが、クラスの女王的存在、小黒妙子(大谷凜香)の取り巻きのイジメグループによる嫌がらせは日に日にエスカレートしていった。そして、ある日、激しく燃え上がる炎が春花の家を覆い尽く。春花の妹・祥子は大火傷を負いながらも助かったが、両親は命を落としてしまった。思いもよらない悲劇に遭遇した春花の心は、崩壊する── 。やがて事件の真相が露見することを恐れたイジメっ子達は春花に自殺するよう強要するが、それがきっかけとなって春花は事件の真相を知り、家族を奪ったイジメっ子達に己の命を賭けた凄惨な復讐を開始するのだが…。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花、三角草(ミスミソウ)。春花はミスミソウのように厳しい冬を耐えて、きれいな花を咲かせることができるのか…。春花が選んだ道とは・・・。