-沖縄との出会い-

2012年6月

ぼくの他には誰もいない

伊良部島 渡口の浜。

鮮やかなエメラルドの海と

砂糖のようにきめ細かく真っ白な砂浜。

太陽と砂浜が眩しすぎて

輝く海のエメラルドしか見えない。

天国に来てしまったんだと

本気で思った。

 

伊良部島では

専用プールのあるヴィラに

数日滞在した。

伊良部大橋はまだ開通していない5年前

観光客に会うことはほとんどなかった。

 

美しすぎる海と

癒しに包まれて

数日間ひとりで島で過ごし

大阪に帰る日が来た。

船で宮古島に戻り

タクシーで空港に向かう...

もう少し伊良部島にいたい気持ちが

ドライバーに行き先の変更を告げる。

テントとエアベッドとランタンを購入して

伊良部島に戻っていた。

 

佐和田の浜には

キャンプ用のウッドデッキがあり

そこにテントを張った。

夕陽が水平線に沈む

美しいサンセットを眺めた。

1日の終わりのはずが

まさかこのあと朝まで

人生を変える感動の連続だとは

このとき夢にも思わなかった。

陽が沈み空が暗くなると

ウッドデッキに寝転がり星を見た。

満天の星...

星座が分からないほど

無数の星が輝き

流れ星が降りそそぎ

波のない海は鏡となって

星が映り込んでいた。

宇宙の真ん中にひとりでいるような

非現実的な夜だった。

 

目覚めると視界が真っ赤に染まっていた。

隕石が近くに墜ちたに違いないと思い

本気で怖くなった。

怖いくらいの赤い空に

それが朝焼けだと気付くまで

しばらく時間がかかった。

信じられない赤い夜明けだった。

 

鏡のように空を映す早朝の海は

30秒おきに色を変える。

美しい映像を見ているようだった。

 

沖縄離島の美しすぎる自然を

外で一夜を過ごすことで気付いた。

野宿は

前日までいた

一泊10万円のヴィラで過ごすよりも

何十倍も何百倍も贅沢だと感じた。

 

そして価値観が変わった。

高級な腕時計をはめて

イタリアのスポーツカーに乗る

大阪での暮らしは無意味に感じ

この日から2ヶ月

ぼくは静かな離島で野宿を続けた。