70年代を中期から後期にかけて全世界のティーンたちを熱狂させたあのロック・バンド
KISS と P-FUNK(というかパーラメントね)が実は同じレコード会社だったというのは
あまり知られていないというか、知っていても何の役にも立たないオタク知識である。

カサブランカ・レーベルというもはや存在しない伝説のレコード会社。その伝説の名物社長、ニール
・ボガード氏の一存で 白人のキッズには KISS を、黒人には パーラメントを強力に売り出す、
という戦略を取ったのが76年のこと。

小学6年の春にNHK「ヤング・ミュージック・ショー」のKISS武道館公演を観て人生が変わった
ともいえる私のような者にとって、この事実はちょっとした衝撃モノであった。

KISSは当時、アルバム「地獄の軍団」(こういう邦題をつける文化もなくなりましたね、もはや)
をひっさげての全世界ツアーで大掛かりなステージ・セットを初披露し、観る者を圧倒していた。

いたいけな少年だった私も「ミュージック・ライフ」や「ロック・ショウ」といった雑誌に
掲載されたステージセットの写真を模写することに熱中していたものです。

それから10数年がたち、私はキッスに代表されるようなホワイティー音楽にすっかり見切りを
つけていた。そんな私にソウル・ファンクの世界にどっぷりはまるきっかけを作ってくれたのが、
94年、当時、日本のP-VINEレコーズから発売されてまもない P-FUNK Earth Tour (77年)
のビデオ映像
である。

そのわけの分からない混沌とした音楽世界以上に、そのシアトリカルな舞台演出や各メンバーの
刺激的すぎるヴィジュアルに笑激
、いや衝撃を受けた。

「こいつら真剣に馬鹿をやっている」

Sir Nose (どう考えても「踊れない白人男性」の戯画化的存在)の陰謀によって深刻な
「ファンク欠乏症」に見舞われている人類を救うべく、ジョージ・クリントン扮するところの
Dr.Funkenstein が 円盤 Mothership に乗って地上に降り立ち、Sir Nose と対決。

最終的には、そのモンスター・ジャムとでも言うべき、ズブズブのファンクにより Sir Nose
を躍らせることに成功。任務を終えた Funkenstein は Mothership に乗船し帰還する(何処に?)。

まあ大雑把なまとめではあるが、こんなコンセプトのもと KISS 同様、大掛かりなステージ・
セットを組み全米ツアーを回ったのが76年のこと。

今日の映像は、その時のゲネ・プロの模様である。

飛行機の格納庫を使っての本番さながらのリハーサルの模様。

この映像を同時に、当時徐々に広まっていたPV用の素材にしているのが凄い。

MTV以前にこういうものを作るだけの予算措置が取られていたことに改めて驚きます。

いかに P-FUNK が当時の黒人文化の中心的存在だったかを裏付ける貴重な映像と言えましょう。
YouTube上には当時の P-FUNK 関連のアルバムリリースを告げるテレビCMも多数アップされています。



しかしジョージもバーニーも、JBのところを辞めて参加のメイシオやフレッド・ウェズリーも
皆若い!この夏お亡くなりになったゲイリー(オムツの人)もまだあどけなく、そして何よりも
全員がこのツアーを成功させようとする何とも言えない楽しそうな空気感のような感じられるの
が最高です。

ちなみにKISSのステージセットは言うと...

こんな感じです。




改めてゲテモノ好き、というか音楽趣味が下世話な自分を再認識

今の Perfume 好きも結局のところ、音楽の視覚化というか、ビジュアル的魅力抜きの音楽に
あまり興味を惹かれない傾向がある、と分析しておこう。 So What?