以前から気なっていた英文記事があったのですが、Perfmueファンとしては
かなり受け入れ難い内容だったので「なかったこと」にしていたのです。

ミュージック・マガジンに掲載されていた合評レビューより数倍辛辣です。


しかしながら、「世界進出」が現実なものになってしまった今、

こういう厳しい評価もまた現実


だと言うことを我々は知っておいても損はないかなあと思うので和訳してみました。

個人的には
「広島にいても、いいものを作っていれば向こうからやってくる」
                 ( by Mikiko 先生)

という主張に激しく賛同するタイプなので、今回の「世界進出」はそんなに感激していません。

前回、和訳したロイターの記事にあるように、現在のフォーマットのままで「世界進出に失敗」
(=チャート・アクションがイマイチとか?)しても、ふーん、そんなもんかあ、ぐらいに思って
いればいいかなと。

今のままで十分に彼女たちの魅力・素晴らしさは世界中に(細々かもしれないけど)
充分に伝わっていると思うので。


今回の記事、アルバム評と言うことで苦戦しました(自分の能力の問題かもしれませんが)。
こういうある種の論説文の場合、形容詞の選び方に筆者の主観が特に表れるので、辞書等に
掲載されている意味合い・ニュアンス以上のものがうまく捉えれれているか心配です。

一例を言うと ridiculous .「馬鹿げた」と言うのが一般的な意味なのですが、それを音楽を
説明するときにどんな意味合いなのか、そしてどんな日本語が一番ぴったりくるのかに
悩みました。

誤読、表現上の不備など気が付いた点があればご指摘ください。



アルバム評 JPN / Perume ジャパン・タイムズ 12月8日


by イアン・マーティン(特別寄稿)

3人組アイドル Perfume の新譜に対してあなたがどんな思いを持とう
とも、アルバムJPN が様々な解釈の成り立つタイトルであることに間違い
はない。タイトルの JPN とは東日本大震災後のスローガンなのだろうか?
それともピクサー制作の下らない映画、Cars2における「ポリリズム」
の起用を受けて海外のリスナーに手を伸ばそうとする無駄な試みなのか?
はたまた、最近、彼女たちからエレクトロ・ポップの王座を奪い取った
K-POPアイドル・グループ勢への反撃なのか?

プロデューサーであり作曲家の中田ヤスタカの2011年における他の作品
と照らし合わせてみても、アルバムJPNはJ-POPの主流を巣食っている
病理を間違いなく象徴していると言える。中田自身のユニット、Capsuleの
アルバムWorld of Fantasy は時おり安っぽいところがあったとはいえ、
紛れもない本物の享楽的なダンス・ビートに溢れたエネルギッシュな音の洪水
であり、さらに中田が別に手がけた原宿系ファッションのアイコン、
きゃりーぱみゅぱみゅ には、ペンキの入ったバケツをまき散らしたかのような
ティーンズ・ポップス特有のハチャメチャ感があった。それらと比べてみても 
Perfume はエネルギー源とも言えるサブカル的なニッチを持たないためか、
CMソングの掃き溜めとも言える、無人地帯に一人取り残されもがいている。

「微かなカオリ」を酷評するのはおそらくフェアではないだろう。というのは
この曲は間違いなくPerfume の全楽曲の中で最悪なものであるからだ。
その気の抜けたバラードは、凡庸で商業主義的な90年代後半のJ-POPの
最悪な一面を思い起こさせるが、問題はよりテンポの速い楽曲の中にも見受けられる。
「ねえ」と「Glitter」はノリの良い楽曲ではあるがメロディーが貧弱で、
アルバム JPN に収録されている4つの新曲同様、中田ヤスタカが寝ながら作ったか
のようなシロモノ、といった印象を与える。少女時代による、そのグループ名を
タイトルにしたアルバムと聞き比べてみれば、どちらの方が豊かなメロディーを
兼ね備えているかは明らかだ。

アルバム JPN がもっとマシなものになりえた可能性を示唆する瞬間もいくつか
はある。そうであるのをすっかり忘れてしまうほど彼女の歌声はオート・チューン
で加工されているが、にもかかわらず彼女たちには日本人、韓国人、国籍に関係なく
他のグループにはない形で、聞いて即座にそれとわかる独自のサウンドがある。
「Voice」のサビ部分や、特に優れた楽曲「レイザービーム」(中田がアルバム・
ミックス・バージョンでは過剰なまでに手を入れゴチャゴチャにしてしまったという
欠点もあるが)はJ-POPの名曲の良い例といえる。70年代の歌謡曲と80年代の
テクノポップの要素を取り入れながらもそれらを更新し、懐かしさを呼び起しながらも
あくまで果敢にも現代的であろうとする試みに成功しているからだ。

他の楽曲においても、「ナチュラルに恋して」ではドタバタしたエレクトロ・ファンク
風の新しい試みをしているし、「575」は90年代のJ-POPの典型的バラード
にラップを掛け合わせた、興味深いメロウな作品といえる。しかしながら、どちらか
と言えば凡庸なアルバム最終曲の「スパイス」がそうであるように、何度となく我々は
次のような感想を抱く。つまり、中流階級向けのファッション・ブランドや様々な炭酸
アルコール飲料の宣伝がその究極の役割であるようなポップスを作るのにかかる精神的
重圧が意味するものとは、中田ヤスタカが他の作品で花開かせている革新性や創造性を
見いだすために、何度も何度も表層をはぎとり掘り下げて聞かなければならないという
リスナー側の努力なのだと。



Perfume "JPN"

By IAN MARTIN
Special to The Japan Times

Whatever else you might say about idol trio Perfume's new album, "JPN" is a title fraught with possible meanings. Is it a postquake rallying cry? A doomed attempt to reach out to overseas audiences following the use of "Polyrhythm" in Pixar's pointless "Cars 2" flick? A kick aimed at the waves of Korean idol groups who have recently stolen Perfume's electropop crown?

News photo

Taken in context with producer/songwriter Yasutaka Nakata's other work in 2011, "JPN" is without doubt unwittingly symbolic of the malaise afflicting mainstream Japanese pop. Where Nakata's own band capsule's "World of Fantasy" was a frequently ridiculous but undeniably energetic riot of hedonistic dance beats, and his work with Harajuku style-icon Kyary Pamyu Pamyu was a paint splatter of bubblegum-pop absurdity, Perfume, with no subcultural niche from which to draw energy, are left to flounder in no-man's land, little more than a dumping ground for used advertising jingles.

It's probably unfair to pick on "Kasukana Kaori," because it really is the worst thing in Perfume's back catalog, with its wishy-washy balladry recalling the worst elements of dreary, bloated late-1990s J-pop, but problems remain even among the more uptempo tracks. "Nee" and "Glitter" bounce along nicely enough, but they are melodically insubstantial and, like the four new tracks on "JPN," feel like something Nakata could make in his sleep. Listen to it back to back with Girls' Generation's self-titled album and it's clear which album is the more melodically dense.

There are moments where "JPN" hints at the possibility of greater things. Despite their voices being auto-tuned to near oblivion, Perfume have an instantly recognizable sound in a way that few pop groups do, be they Japanese, Korean or whatever. The chorus of "Voice," and in particular the excellent "Laser Beam" (despite Nakata doing his best to ruin it with this overly fussy album mix), are great examples of classic Japanese pop, taking the sounds of 1970s kayōkyoku and 1980s technopop and updating them in a way that manages to be at once nostalgic and defiantly modern.

Elsewhere, "Natural ni Koishite" breaks the mold with its jerky electro-funk arrangement, and "575" is a curiously mellow take on the 1990s ballad/rap hybrid J-pop formula. Too often, however, as on the otherwise unremarkable closing number "Spice," the pressures of creating pop music whose primary function is selling midrange fashion brands and various alcopops means that listeners must peel further and further beneath the surface to discover the invention and creativity that is in full bloom in Nakata's other work.