代官山にあるフランス料理店「Saucer(ソーセ)」へ。エントランスでオートロックを空けてもらいビルに入るお忍び感満載の秘密のレストランです。紹介制でスタートしましたが、現在は食べログやOMAKASEから予約できるようになりました。
▼Instagramのリールでもレストランの様子はご紹介しています▼
シェフの郡司一磨氏の経歴は輝かしくまさに名店ばかり。フランス料理好きであれば、誰もが知っているレストランで研鑽を積まれました。以前よりインスタグラムをチェックしていたので訪問を楽しみにしておりました。リアルでお会いするのは初めてですが、インスタグラムのアイコンはこちらのイラストを使用されています。ご本人は温厚なお人柄で、忙しい中でもいろいろお話してくださり、申し訳なくなるほど。カウンターでしっかりやっていける気遣いと温かな接客、そしてポリシーをお持ちなのでフレンチ慣れしていない方でも楽しめると思います。
今回のメニューです。食材名がずらっと並んでいますが、中に「ソーセ」って書かれています。これは何だ?まずは店名ともなっているソーセからご紹介しましょうか♪
「Saucer」は「ソースをかける」「(お皿の)ソースをぬぐいとる」という意味のフランス語。料理が中盤に差し掛かるあたりに必ず登場するシグネチャーです。その季節の食材で作られています。私、こんなシンプルなお料理、見たことないです!!
ここに合わせたのは到着時間に合わせて焼いた焼き立てパンです。パン好きにはたまらない美味しいパンで、ソースを拭っていただくのがソーセの一つの醍醐味です。
まずは、赤ワインで作ったジンジャーエール。こういうのは初めていただきましたが、スキッとしていて美味しかったです。
グジェール
チーズを生地に混ぜ込んだプティシューが多いですが、ちょっとブリオッシュのようなものでジャガイモのムースを挟んでいます。キャビアにサワークリームを重ねます。西洋わさびが忍ばせてあり、スキッとした味わいです。最初の一皿は軽めのものが多いですが、こういう一手間かけたアミューズグールが出てくると、しっかり仕事がされた料理が出てくると推測されるわけで、その勘は見事に的中したのでした。
鶏肉を3日間かけてひいたトリプルコンソメで、しっかりしたベースが作り出され、料理に生かされています。このコンソメの味わいを確認し、料理がスタートします。このコンソメは、軽く鶏の香りを纏い優しい味わいにながらも、下支えする力強さがあります。嫌味のない料理が登場することは即座にわかりました。
NONの№3を合わせて。
毛蟹
ポワロー葱をコンソメで炊き毛蟹を合わせています。まずは水晶文旦の酸味が爽やか。その後に蟹のしっかりした旨みが広がります。胡桃かな?時折いい感じでアクセントとなり味にニュアンスを、青リンゴやライムが爽やに仕上げていました。
そしてソーセ。今回使ったのは金時人参。正月のお雑煮に入っているあの色の濃厚な人参です。人参の皮も含めた濃厚な味わいはしっかり引き出されているけれど、ベースとなっているコンソメの味わいが柔らかいので、人参の味わいを邪魔せず濃厚な旨み。軽く加えられたブランデーが人参の味わいをうまく引き出していました。
「凝縮感(コンデンスト)」と「余計なものを削ぎ落したシンプルさ(ミニマル)」をテーマとされているだけあり、なんとも直球!!
ティーカンパニーの華焙
鮑
美味しくて気に入ったのは鮑のベニエ。私の場合、鮑が大好きなので鮑が出てくると贔屓目になっちゃいますが。。衣はイカスミで作って揚げています。カルダモンやコリアンダー等を使い少しエスニックに。ピメントエスプレッドを少し加え、軽い刺激で一気にリズム感も出てきます。松の実のコクが良いアクセントになっていました。
ロマネスコ
スープはロマネスコをスープに。形が最大の特徴なロマネスコですので、スープにしちゃってもったいない・・とケチな私は思ったのですが、ロマネスコってこういう美味しさがあるよねと再認識させてくれました。コンソメに昆布を加え味を調整していましたが、青い豆の甘味を感じるですよね。
ラプサンスーチョン
蓋碗で淹れてくださり茶葉も見せていただきました。実はあまり好きなお茶じゃないのですが、このお茶の嫌なところが出ておらずうまく淹れていだだき感謝。
真剣な眼差しの郡司シェフ。
コルヴェール
茨城県産の鴨をバターでアロゼし、しなやかに焼いてくれました。コースの中盤ということで、ティムールペッパーの爽やかな味わいの軽めのサルミソースで。九条ネギオイルのふわっとしたニュアンスが立ち上ります。あくまでも軽やかなジビエ。
カウンターでの穏やかで丁寧な仕事ぶりが印象的でした。
ヒラメ
ヒラメは皮目をパリッと香ばしく焼き身は少しレア気味の火入れ。魚沼産コシヒカリとフランス産のお米の2種を使ったリゾットは、アルデンテのような食感ととろっとした食感が混じり合い楽しい。紫蘇の風味がソースとバランス良く調和していました。
コンソメロワイヤル
郡司シェフが大切にしているコンソメは、ロワイヤルで楽しませていただきました。伊勢原で行列ができる大人気の卵「寿雀卵」を使いオレンジかかった茶碗蒸しは、黄身に独特の味わいがするんですが、素直にするっと入るのはコンソメのせい??あ、これ松茸のスープとソテーが乗り、秋を感じる香りを楽しまませていただきました。
パイ包みにレイエを入れてします。手に乗せてナイフを入れて。器用ですね♪
こういうシーンが楽しめるのもカウンターならでは。郡司シェフがInstagramで紹介されていたのを拝見していたので、思わず出たーという感じで親近感もありました。
▼Instagramのリールでもこの様子はご紹介しています▼
綺麗に焼きあがった熱々です。
NON №7を合わせて。
マッシュルームのデュクセルや玉ねぎ等と共に和牛のシャトーブリアンを贅沢にもパイ包みに。ショロンソースで。この断面を見たら説明不要の美味さですよね。
柿のコンポートなんて季節ですね。
タルトタタンは、アールグレーのアイスクリーム添えりんごの皮で作ったソース。確かこの1ピースで林檎3/4くらいおっしゃっていたと記憶しています。キャラメリゼしていますが林檎の酸味が爽やかでスパイスもいい具合に使って炊いたので、しめくくりのデザートですがペロッと食べてしまいましした。
最後はフレッシュハーブティーです。レモングラス、レモンタイム、スペアミント、ジャスミンの花を使って煎れてくださいました。
レモングラスはしっかり筋を取り除き、嫌な味がしないように。入れる直前に少し揉んで、お茶を煎れてくださいました。エキスがしっかりでていて香り高い♪
器はフランスのジアン、イタリアのジノリ、そしてイギリスのスージークーパーなど今や喉から手が出るほど欲しくなるアンテイークなども使用されていました。大人な空間ですが、アンティークがあるとちょっと懐かしくほっとするような心持ちになりますが、それは郡司シェフの佇まいや接客にも通ずるところがありました。
フランス料理は敷居が高いけど、食べやすく優しい気持ちで食べられるレストランはどこ?と悩んだら、是非行くべしなレストランです。
Saucer(ソーセ)
東京都渋谷区恵比寿西2-7-10 えびす第3ビル B1F
03-6712-7713
日曜定休