広島で美味しいお肉に出会いました!!初めて聞いたブランドだったので興味津々。聞けば、広島の名店である『和牛Lab K』『永山』『フレンチ ル・ジャルダン グルマン』『焼肉ふるさと』などで取り扱われています。なんとリストの中には「トワイライト・エクスプレス【瑞風】」の名も。一体このお肉の正体は!?と気になっていました。

 

 

私が興味を持った"広島で出会った美味しいお肉"は、広島県の熊野町にある『馬上畜産』さんで飼育されていました。最近色々な食材の生産者さんやメーカーさんにお会いする機会に恵まれていますが、牛肉も"ストレスなく育った牛"の味わいをようやく理解できるようになったので牛肉にも興味津々。ご縁があって牛舎を見学させていただき、馬上畜産の代表の馬上 幸治氏にお話しを伺うことができました。幸治さんは三代目にあたり、お父上は全国和牛能力共進会にて優勝したこともあるとか。現在訪問した第一牛舎では約140頭、第二牛舎で100頭ほどの牛を飼っているそうです。

 

『馬上畜産』が育てるのは 榊山牛。「さかきやまぎゅう」って読みます。

2020年4月に誕生したブランド牛で、現在は広島県内の限られた取扱店のみいただける貴重なお肉ですが、そのうち、東京でもこの名前を聞くことになるかもしれませんので、よく覚えておいてくださいね。榊山牛(さかきやまぎゅう)ですよ!

 

 

-------------------------【榊山牛の定義】-------------------------

 

1️⃣  牛肉の種類は黒毛和種の未経産雌牛とする。

 

2️⃣ 生後32か月以上の長期肥育の牛で、社団法人日本格付け協会が定める

B.C.S.(肉の色沢) No.4以上の肉色及び光沢に優れている枝肉とする。

 

3️⃣ 榊山牛銘柄推進協議会が認定した広島県内に居住する飼育者が

登録された牛舎で飼育されたものとする。

 

4️⃣ 広島県内産の稲わらと指定穀物を使用した榊山牛推進協議会認定の

自家配合飼料を使用し、指定の方法で肥育されていること。

 

---------------------------------------------------------------------

 

将来美味しいお肉になる牛さんたちですが、実は私が行くと、みんな近寄ってくるのです。びっくり!人間を警戒しない人懐っこい性格の穏やかな牛だったのでした。

 

 

美味しい牛肉を作り出す秘訣①

32ヶ月以上の長期肥育

通常広島県内の食肉用牛肉の肥育期間は24ヶ月~28ヶ月ですが、「榊山牛」は4〜8ヶ月以上長い32ヶ月(974日)牛舎で育てられます。長期肥育ということは、餌代もその分、病気になる確率だって上がります。リスクがあるんです。牛は28ヶ月くらいで個体の大きさがほぼ止まるので、だったら出荷して新たな牛を購入してどんどん利益を得た方がいいじゃないですか。でもなぜそうしないか。それは、美味しい牛肉へのこだわりでしかありません。

 

実は長期飼育されたお肉はピンクではなくルビー色のような濃い肉色は、「見た目」「見栄え」を重視する現在のA4・A5などの格付け基準に不利に働くケースも少なくないといいます。なのになぜ長期飼育?

 

それは・・・

美味しかったから!!

 

 

32ヶ月以上に決めたきっかけは、とある試食会でのこと。各地から美味しいと定評のあるブランド牛を食べ比べしたところ、たまたまその場に出された32ヶ月以上飼育された馬上畜産のお肉がダントツに美味しかったんだとか。なぜ??今まで食べていた広島牛が突然変異で美味しくなったのか…。いえいえ、ちゃんと理由があったんです。美味しいお肉を食べるための取り組みはこうして始まりました。

 

 

美味しい理由は数字で証明されています。このグラフを見ると一目瞭然。圧倒的に融点が低い。ちなみに融点16.4°Cは、国内外含め最高レベルの低さだそうです。

 

榊山牛の赤身には、昆布の旨味成分で有名な「グルタミン酸」が豊富。一般的な国産・和牛肉の約1.5倍も含まれているそうです。また、その他旨味成分である「遊離アミノ酸」は全体で約1.3倍、「ペプチド構成アミノ酸」も一般和牛肉の1.4倍以上。人の舌で感じる美味しさやあのしっかりした牛香にはちゃんと理由があったのでした。

 

 

美味しい牛肉を作り出す秘訣②

友達と一緒なら寂しくないしストレスなし!

〜目の行き届いた体調管理〜

『馬上畜産』の牛舎を見ると、10頭以上牛のいる大部屋区画と、2頭・1頭の小部屋の区画があるんです。理由を聞いところ、はじめは大部屋に入れて観察。次第に仲良しペアやグループができていくんだそうです。仲良しペアの2頭は同じ区画で更に飼育。うまく交れなかった子ややんちゃな子は一頭区画に移動。そうすることで、ストレスのない幸せな時間が過ごせるんだそうです。角も落とされていないので驚きでしたが、喧嘩をすることもないので角を落とす必要もないのだとか。おっとりしてます。

image

 

今でこそ一人旅が得意な大人になりましたが、私も子供時代はつるんでいてトイレも一緒だった記憶が。仲良しと一緒だと安心するのは人間の子供も牛も一緒ということですかね。仲良し2頭のうち、1頭が売られていくと体調が悪くなることもあるんだそうで、牛にも感情があるんだという印象。適正な温度管理の綺麗な牛舎で仲良しさんと過ごせたら、そりゃぁストレスはありませんよね。ちなみにこの子は広島古代血統のえぼし。顔が小さめで霜降りが少ないのが特徴だとか。最近はサシが多く入っているものよりも上質な赤身が求められ嗜好も変化。馬上さんはトレンドにも敏感です。

 

取材をしていて感じたのがこちらではハエなどの虫が全くいない。しかも静かな牛舎で、のどかぁ〜って感じ。馬上さんとお話ししていると、一頭お尻を高く上げた牛を見て、「あの子はちょっと体調悪いから、今晩きぃつけてみとかんといかんなぁ」とおっしゃっていて、常に牛の体調をチェック。何とも箱入り娘ではないですか。

image

 

 

美味しい牛肉を作り出す秘訣③

餌は育成に合わせたオリジナルブレンド

餌の配合も試行錯誤の上ご自身で配合。成長に合わせて餌も変えていくそうです。ちなみに炒り大豆なんかも使っているそうですが、これは人間も食べられるほどの品質。

 

広島県産の藁と干し草を混ぜた餌も与えています。牛たちが毎日飲んでいる水も熊野の天然湧水。美味しい食事と水ですくすく育っているのです。

 

また牛床にはおがくずが使われていますが、左はこれからしいてあげる新しいもの。右がすでに使用されたもので、これは田んぼの堆肥として使用するそうで、うまく循環されています。

 

私はすっかり牛さんたちとも仲良くなり、希少な牛タンで手をベロベロ舐め回されベタベタに(笑)。動物にはモテるんですよね、なぜか。

image

 

 

32ヶ月以上になって出荷されたたお肉は実は市場で競り落とされますが、現在ピンク色のサシの強いものが評価される昨今、霜降りを抑えたルビー色のお肉は本来評価が低くなることもあるそうですが、手間暇かけて作られた美味しいお肉はしっかり評価され「株式会社 焼肉ふるさと」へ届きます。

image

 

よくいう一頭買いという言葉がありますが、一般的にはホルモンは入っていないんです。しかしながら、ふるさとに入るお肉は内臓も含めて一頭買いしているからフレッシュなホルモンがいただけます。全部が榊山牛ではないかもしれませんが、榊山牛ブランドの内臓まで食べられるのが、『焼肉ふるさと』なのです。そんな美味しいお肉が高級ステーキ店ではなく焼肉で食べられるなんて嬉しすぎないですかー。

image

---------------------------------------------------------------------

焼肉ふるさと 段原本店

広島市中南区段原2-20-4

 082-236-3350

木曜定休

---------------------------------------------------------------------

 

実は上の写真にあるビル一棟が全て焼肉店!!東京では絶対はありえない規模です。しかも私が訪問した段原本店をはじめとして、広島駅前店、流川店、西条店、福山店の合計5つのお店があるんです。段原本店では、お肉の販売や加工も行なっていますが、ちょうどホルモンを捌いているところでした。ラッキーなことに見学にいった馬上畜産で育てた榊山牛のホルモンも食べることができました。生産者の馬上さんはお肉を卸す度に店に行き、味のチェックをされているとか。これも凄い!

 

そしてここではしっかり榊山牛を使用している表示が。これだけ明記できるのは一頭買いを徹底し、安心して美味しいお肉を提供している自信の表れですね。

 

『焼肉ふるさと』ではタッチパネルでのオーダーでしたが、しっかり榊山牛の紹介も。BMSとは、ビーフ・マーブリング・スタンダードの略で、「脂肪交雑」を評価するための基準です。赤身の肉にどれだけサシ(霜降り)が入っているということなんですが、BMS6程度のお肉を最高ランクのBMS12より高値で競り落としているのは、それだけこの榊山牛の実力を理解しているからこそなのです。

image

 

 

榊山牛は広島牛の最高級ブランドとして取り扱われていますが、ふるさとお任せ 赤身4種盛り4,389円をオーダー。特にシンシンの脂と赤身のバランスが良かったです。

 

焼肉屋さんなのでロースターで焼きますが、匂いが全くつかない。そういえば外も匂いがないなと思ったら、ダクトも匂いをカットするものを使っているとか。榊山牛を除けば、宴会盛り合わせが4500円とか飲み放題が+1500円からある街の焼肉屋さん。

広島に『焼肉ふるさと』ありですね。

 

しかしながらクッパのようなメニューも一から店内で作られ匂いもカット。店内も個室や半個室の仕切りがあったりと、ゆったり過ごせる焼肉店でした。

 

せっかくなので榊山牛は贅沢にステーキなんかもいただいてしまいました。ヒレ、サーロインをはじめとして、ザブトン、ランプ、イチボ、クリミなどの希少部位が150グラムのステーキでいただけます。贅沢🎵

 

ヒレはふわっふわな焼き上がり。お肉の香りが豊かでとっても柔らかいのです。『和牛Lab K』ではお店の方が焼いてくれるというので、次回は『和牛Lab K』でプロが焼いた美味しさを再確認したいと思います。

 

ホルモンは盛り合わせでいただきました。これも全て榊山牛。ホルモンの牛種を和牛にとどまらず、ブランドまで確定するってほぼあり得ない!!

 

お肉を冷凍せずフレッシュな状態で出してくれるふるさとですが、牛タンはなんとお刺身でいただきました。ということは、もちろん国産。

 

こちらは広島牛のキソク。つまりハラミです。って偉そうに書いてますけど私も初めて知りました(笑)。国産のハラミももはや希少なお肉となっています。

 

ケースにぎっしり並ぶルビー色のお肉。ここではお肉も販売しているし通販もしているので是非購入してその味を確かめてみてくださいね。

image

 

 

実は馬上畜産の帰りに近くにあった榊山神社にお参りに行きました。承平3年(933年)宇佐八幡宮より勧請された約1100年の歴史を誇る神社で、立派な御神木もありました。筆で有名な熊野にあるだけあり筆塚なんていうのもありますが、熊野のこの地が筆に並んで榊山牛の名が有名になる未来もそう遠くないような気がしましたよ。

image

 

是非チェックしてみてね🎵

榊山牛(さかきやまぎゅう)