皆様は『トラヴェラーズ

(Travellers)』という

言葉を聞いたことがありますか。

 

素直に訳せば『旅人』ですが

『漂泊民(居住地を

持たずに生きる人々)』を

意味することもあり、

現在私が気になっているのが

この後者の意味の

『トラヴェラーズ』です。

 

 

そもそものきっかけは

数年前のある朝

とある大型駐車場で

薄着の晴れ着を着た女性たち

数名とすれ違ったことで、

夜遊び服とかそういうのとは違い

『これから披露宴に出ます』

くらいの盛装なんですけど

でも季節的にも時間的にも

何故君たちはその上に

防寒服をもう一枚着ないんだ、

みたいな感じで、

同時に私はそのお嬢さんたちの

人種というかそういうものが

まったくわからず。

 

なんか微妙に危ないことを

書いている気が

しないもでもないのですが、

肌の色や顔立ちや言葉から

あ、この人は元々は

東アジアの人だな、とか

南アメリカの人かな、とか

(こっちの勝手な憶測も含めて)

判断できちゃう・できたつもりに

なっちゃう時ってありますでしょ。

 

そういう瞬間的な

「きっとこの人は」的直感が

まるで働かず、そして言葉。

 

彼らの言葉が本当に私が

今まで耳にした

どんな外国語とも

異なっていたのです。

 

すれ違う際に私は笑顔で

挨拶をしたのですが

彼女たちはまるで聞こえぬ風で

私のことを一瞥もせず去っていき。

 

朝靄のかかる駐車場で

私は一瞬自分が夢を

見ているのかと思いました。

 

彼女たちは駐車場の奥に

停めてある巨大な

キャンピングカーに乗り込み

そして走り去っていきました。

 

このことを夫(英国人)に話し

「観光客(ツーリスト)という

感じでもなかったし

地元民という様子でもなかったし、

服装や身のこなしも

本当に私が今まで見て来た

どんな女の子達とも違うんだよ」

 

「・・・その子達、

もしかして

『トラヴェラーズ』かも

しれませんね」

 

「旅行者(トラヴェラーズ)

だとしたら一体どこの国から

英国に観光に来たんだろう。

あの言葉、どこの国の

言葉なのかなあ、ほら、

どこの国の言葉かは

わからないけど

東欧言語っぽいとか

あるだろ?私にとって

まるで手掛かりのない

言葉の響きだった」

 

「いえ、そういう

意味ではなく・・・

ほら、『ロマ』、昔は

『ジプシー』と

呼ばれていた人たちです、

わかりますか?」

 

「わかるわかる、え、

ロマの人が英国にいるのか?

あ、そうか、いるよな、

ロマの人は定住地を持たず

この世界すべてが自分の土地って

考え方をするんだから

そりゃ世界中の

どこにでもいるよな!」

 

「ロマの人の考え方について

僕はあまりよくは知りませんが

英国にもロマはいますよ。

スコットランドではあまり

話題になりませんけど

イングランドでは割と身近です」

 

へえ、私は

そういうの知らなかった、

そこらへんもう少し詳しく、と

夫に迫ったところ

「いや、実は僕もロマ問題は

あまりよくは知らないので・・・

むしろ君が学んで僕に

教えてくれたら

嬉しいというか・・・」

 

「なんだそれ」

 

「これは難しいんですよ。

君から女の子たちの話を聞いて

僕が『その子達、ロマでは』と

何故思ったのか、を突き詰めると

そこにはもしかしたら

僕自身が気づいていない

思い込みのようなものが

存在するかもしれませんし」

 

ああ、そういう情報伝達の

危なさみたいなものはわかる、と

その日から私の

勉強が始まったのです。

 

続く。

 

 

私の勉強はまだ途上で

「ロマとは・ロマ問題とは

こういうものである」的

結論は自分の中でも

まったく出ていないのですが

とりあえずどこかで一度

現時点での自分の理解を

まとめたかったので

今回の記事を書いてみました

 

しばらくこの話題が続きます

 

それでこの記事を含めた

一連の記事なんですが、

私は今回の『勉強』を始めるまで

ロマに対する偏見・迫害の歴史が

こんなにすごいものだとは

まったく理解していなくてですね

 

今回の本文の中に当時の私の

ロマに対する『自覚なき偏見』が

漏れ出ている箇所、

皆様お分かりになりますか

 

そういう自分自身の無意識の

偏見への気づきも含めて

私のお勉強報告が続きます

 

よろしくお願いします

 

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