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今日の文字は

 

 

 

12日の「日曜美術館」は

「語りかけるまなざし 彫刻家・舟越桂の世界」

 

3月29日に72歳で亡くなった彫刻家、船越桂さんを偲んで

2003年5月25日放送の回の再放送です。

 

クスノキを素材に現代に生きる人々の凛とした姿を

彫り続けた彫刻家・舟越桂。

 

1951年、彫刻家・舟越保武の次男として生まれました。

もの心付いた頃から彫刻はあまりにも近くにあり

自然に彫刻家を目指したが

 

大学に入ってから他の学生はいつ彫刻家になろうとしたかの

明確なポイントがあることに気づき

 

自分にはそのポイントが無いことに物足りなさを感じた。

 

大学院にも進み、更に彫刻を学びながらも制作に打ち込めない

日々が続きました。

 

そんなある日函館郊外にある教会から新築された聖堂に飾るための

聖母子像を彫ってほしいとの依頼がありました。

(北海道男子トラピスト修道院 「聖母子像」1977年)

 

木彫の像をとの修道院からの願いを受けて舟越は初めてクスノキを

使ってみました。

 

木にのみで分け入る心地良い手ごたえに舟越は自分にピッタリの

素材に出会えた喜びを感じたと言います。

 

「聖母子像」に取り組んだ経験が舟越に大きな転機をもたらしました。

自分の不安と神の子を身ごもったマリア様の不安が重なって

誰もが胸の内に抱える喜びや悲しみそして不安

 

一人の人間として感じることを彫刻に彫りこもう

この時、舟越の彫刻家としての扉が開きました。

 

その人の姿を通して人間を語りなさいと言われているように

感じたと。

 

舟越の人物像が写実的な形を越え大きな広がりを見せ始めるのは

90年代40歳を過ぎた頃からです。

 

1996年「肩で眠る月」

山のような体を持ったこの作品は、ある日山を眺めていた時

人間はあの山よりも大きな存在なのではないかと感じた経験が

基になっています。

 

2000年「支えられた記憶」

二人の人間が一つの胴体を持つ不思議な形は

傷ついた一人のラクビー選手をもう人が抱え歩く姿から生まれました。

 

人間は一人では生きられない、深いところで通じ合っている姿を

表現したかったといいます。

 

人間を見つめた時、自分の中に涌きおこってくるさまざまな思い

それを自分にしかできない形で観る人に伝えたいと。

 

2003年3月、東京現代美術館で行われた展覧会に出品するための

作品の制作過程を追っていきます。

 

再放送5月19日(日) 20時~20時45分