工蟲とは | 溶接の火花

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金属造形家、高橋洋直の備忘録。

新作を作ったり、次の作品を考えたり、イベント出展でお客さんと話したり、友人と話したりしているうちに工蟲の設定はどんどん生えていきます。


新たな発見によって今までの説が覆る感じも何か生き物感あっていいなぁ、と思いつつ。


んで、元々考えていた設定に最近作った新作の設定やら人と話した内容を盛り込みつつ、夜更かししながらつらつら書いてたらやたら長文になったのでなんとなくブログの方に。


インスタとかフェイスブックはあんまり長文だと投稿するのがはばかられる気がする。


ということで暇な人は読んでみて下さいな。



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工蟲とは



2016年に初めて発見された擬生物の総称である。

正確には鉄足動物門 工蟲網の擬生物となる。


擬生物とは工蟲の発見により新設された分類で、生物の定義を一部のみ満たしていることからその名が付けられた。


工蟲は小さいものでも体長50mm程度、大きいものになると体長1mを超えるものも存在する。


工蟲綱の特徴としては

​​​​​​1.外骨格が鉄で構成されている

​​​​​​2.口器、生殖器を持たないため、摂食、交尾をしない

​​​​​​3.特有の器官である作業器を持つ

​​​​​​​4.作業器を用いた作業習性を持つ

​​​​5.いくつかの種で集団を作り、分担して作業行動を取る

​などが挙げられるが、3と4については作業器と呼べる部位を持たないように見える種が存在すること、作業習性を持たないように見える種も存在することから、確かな特徴とは呼べないものとなってしまっている。


〜ように見える、と不確実な述べ方をするのも、ウロツキ 𝑷𝒓𝒐𝒘𝒍𝒆𝒓 𝒑𝒓𝒐𝒘𝒍𝒂𝒏𝒔 のように、研究が進むことで作業習性が判明し、それに伴い作業器が判明した事例も存在し、より一層慎重な物言いが必要なためである。


形態としては頭胸部と腹部に分かれ、頭胸部に2対の付属肢がつくものがほとんどだが、頭部と複数の体節に分かれた体を持ち、体節ごとに付属肢を持つもの、巨大な1つの体節に3対の付属肢を持つものなど様々である。


しかし、現在発見されている多くの種では、その形態が作業習性に適したものとなっている。


目以下の分類の方法は何度か変更されており、現在では作業器の駆動方式によりいくつかの目に分けられているが、上記の通り作業習性に最適化した形態をしていることから、工蟲の作業習性の種類(切断や開孔)によって分類すべき、との声も挙がっている。


工蟲にはその習性や形態の他にも不可解な点が多く見られる。

​例を挙げると

​​​​​​​1.摂食をしない割に多い活動量

​​​​​​2.自重を無視したような歩行や飛行

3.​​​​​​短距離無線通信による工蟲間のコミュニケーション

​​​​​​4.工蟲を撮影した際の画像、映像の乱れ

5.​​​​​​特定の人間には認知できないという現象

​​​​​​6.交尾をせずにどこで発生しているのか

​などである。


これら全てが既知の生物では考えられもしない点であり、研究者の中でも「外星(異世界)生物説」「生体兵器説」「オーパーツ説」などが真面目に議論される要因となっている。



先述の通り、公式には2016年に栃木県鹿沼市で発見されたアナウガチが初めて発見された工蟲ということになっているが、少なくとも戦前の頃に描かれたスケッチや、ある地方での古くからの言い伝えの中に工蟲と思われるものが含まれており、一部では古くから認識されていたと考えられている。


実際にオザクオオカヤリ 𝑺𝒂𝒓𝒕𝒂𝒈𝒊𝒏𝒆 𝒗𝒆𝒓𝒕𝒊𝒄𝒂𝒍𝒆 などは、栃木県鹿沼市の石裂山付近に生息する固有種と考えられているが、周辺住民からは、夏頃になると当たり前に見られる生物だと認識されていた。


その他にも付喪神をはじめとした「物に魂が宿る」という怪異や、その考え方自体も当時の人々が工蟲から着想を得ていたのではないかという説や、日本神話における製鉄、鍛冶の神である「天目一箇神(アメノマヒトツノカミ)」も、一つ目に見える種の多い工蟲のイメージが入っているのではないか、という説を唱える研究者も存在する。


反対に、工蟲或いはその祖先と断定された化石などは今のところ存在せず、近年、もしくはある時代から突如として現れたと考える研究者も少なくない。



結論として工蟲は、擬生物界 鉄足動物門 工蟲網に属し、外骨格が鉄で構成されており、摂食や繁殖をせず、多くが作業器と呼ばれる特有の器官を用いて特定の作業をする習性と複数の種で役割分担する社会性を持ち、多数の不可解な点を持った擬生物、という事になる。



このように、研究が進むごとに実在するものとは思えないような謎が深まり、工蟲の研究者のみならず生物学者全体が頭を抱えたくなるような存在だが、この奇怪ないきものは確かに存在している。


そんな工蟲の研究が進むことで、工蟲の持つ特性が既知の生物にも当てはまることもあるかもしれず、そうとなればこれまでの常識が覆ることもあるだろう。


                       2023.6.5

        

        鹿沼工業生物大学 工業生物学部 客員教授 

                     五十山田 是和

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念のため言っておきますが、大学名や個人名は架空のものです。


実際にこれを書いていて、分類方法見直してみようかなぁ、と考えたり。


作品自体の完成度も考えながら作ってはいますが、それと同じくらいにこの設定、ストーリーの完成度も重要だと思ってます。


作品説明するときに自分が楽しいので。


多分また変わることもあると思いますが、とりあえず現状の設定はコレ、ってことで。