学生の頃、イベント関係の仕事をしていた。
週末どこかのイベントでマイクを持ち、MCをやったり、イベント会場でニコニコ笑って立ってるだけの仕事など、内容は様々であった。

ある日、関西の某百貨店の外商が行う展示会の受付と、場内アナウンスの仕事をしたことがあった。
ちなみに「外商」とは、その百貨店の顧客を対象にした部門である。

その店にもよるが、その百貨店の場合は、お客様の年収が1800万以上あり、会社経営している等、要するにお金を落としてくれるお客様が特別待遇を受けられるのである。

年に2度、この百貨店は有名ホテルの大広間を借り、この外商のお客様を対象にした展示会を行っていた。
会場内には宝石、絵画、毛皮、食器などがズラリと並べられ、その単価は○千万円モノがズラリと並ぶ。

私が驚いたのは、外商の「顧客」と呼ばれるのは、99%がオバハンで、そのオバハン1人1人には担当者が付いている。
その担当者が、下手はホストクラブよりも男前が揃っている事であった。

オバハンの好みも色々あるであろうから、男のタイプも色々揃っていた。
昭和の男前、中条きよし(私のオッサン男前と言えば、中条きよしサンしか浮かばない)張りのロマンスグレーから、ちょっと茶髪系、新人アナウンサー系など、実にタイプは様々。

担当者はあらかじめ、自分の担当のオバハンと連絡を取っておき、だいたい何時に来るのかを把握しておき、他のオバハンと重ならないようにしておく。
しかし稀に次のオバハンが早く来過ぎたり、前のオバハンが思いのほか長く買い物してしまったら、お待たせしてしまう事になる。

そんな時、私が場内アナウンスをして「外商○○さん、△△様がお越しで御座います」と呼び出すのである。
決してオバハン怒らせてはいけない。
少しお待たせしてしまう場合は、朝夕ならホテル内の喫茶店へ案内、昼時ならホテル内に入っている割烹(その時は吉兆だった)へご案内し、昼食を取って頂く。
もちろん、この「吉兆」での昼食も百貨店側が負担する。

しかし、オバハンによっては「いいえ、今すぐ○○さんをここへ呼んで頂戴!!」と言う偉そうなババアもいて、「ただいま他のお客様を・・」などとウッカリ言おうもんなら、ヤキモチ丸出しで怒り出す。
オバハンの若い男に対するヤキモチは、非常に見苦しいものがあったのは言うまでもない・・・

担当者が迎えに来ると、3割のオバハンは担当の男に抱きつき、手を繋ごうとする。
もう完全、ホストクラブやん・・・

手を繋ぐ2人、腕を組む2人は会場内へと入っていき、何千万ものお買い物をして頂くのである。
これも仕事、しかもサービス業である。
内心、外商の男達が何を思っているのかは想像に任せたいが、こんな世界もあるのだと、若い私は驚いたものである。

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