米中対立の先に待つもの
グレート・リセットに備えよ
津上 俊哉 著
こちらの本、すでに読まれた方も多いかと思います。
私は、いつも同時並行で数冊読んでいるので、時々、読みかけで忘れて
しまうことがあり、「あ!」と、思い出して頭から読み直しました(笑)。
ちょっと遅きに失した感もありますが、本が出た後に起こったことも
踏まえて読め、それはそれで有意義でした。
一時、中国はIT関連で、アメリカと肩を並べ、ジャンルによっては、
アメリカをしのぐ勢いがあるようにも感じ、いろいろ本を読んでいたら、
急に、自らその勢いを削ぐかのように、IT関連企業を厳しく締め付けたり、
教育産業を潰すような事態が起き、香港へ対応、コロナ時の強烈な締め付け
・・・などなど、中国という国は何を考え、どこを見据えてるんだろう?
と思っていたことの背景が解説されていて、驚いたり、納得したりしたのでした。
もちろん、この著者の考察がすべてではないにしろ、
私たち日本人は、ついつい隣国のこととなると白か黒かに分けがちだし、
アメリカよりな視点で考えがちだけれども、もっと俯瞰してみると、
世界の国々は、それぞれの思惑やスタンスが違うことが見えてきます。
日本を取り巻くアジア地域の地政学的なことも学べました。
私が考えていたより、中国に対する日本の外交は非常にセンシティブで
自分たちの価値観同様に、相手国も考え、行動するだろう・・・なんて
考えてはいけないのだと痛感しました。
一方で、中国は一党独裁で、最近は、習政権の独裁ではないかと
報道する日本メディアをよく見ますが、内情はそういうことでもないらしく、
どこを見て政治をしているのかをうかがい知ることができたのが新鮮でした。
いずれにしても、近代史を見てもリーダーのほんの少しの甘い見通しが
長く国民を巻き込む戦争に至っていることを考えると、日本も他人ごとではないな
と考えさせられた一冊でした。
未読の方は、是非。