『あの日 勇者だった僕らは』(山川沙登美 著)、本日発売です。
ゲーム業界創成期の若者たちを描いた青春小説『あの日 勇者だった僕らは』(山川沙登美 著)が本日発売になった。
本書の企画がスタートしたのは昨年、山形にある東北芸術工科大学の教員宿舎においてだった。
沙登美は僕の娘ですが、文芸学科の客員教授である越水利江子さん、楠章子さんの夏と冬の集中講義「児童文学・ファンタジー小説」のアシスタントを無給でやらせていた。
一方、文芸学科では、麻野一哉さんに「ゲームシナリオ構築」という集中講義をお願いしていた。夜になると皆でご飯を食べ、教員宿舎でビールを飲むことになる。それが毎年続くので、気心が知れてきて、麻野さんと楠さんの家が近いということもわかり、毎回楽しい夜が続くのだった。
とりわけ麻野一哉さんのゲーム開発の話が面白く「これを長編小説にできたら最高だよね」ということになる。しかし麻野さんはゲーム開発で忙しく(いま思えば「テクテクテクテク」だね)、小説を書いている暇なんかとてもない。山川沙登美は最初の本「麒麟島神記」を幻冬舎文庫で出した後、最初のゲーム会社を辞めてのんびりしていたので、時間があった。
考えてみればゲーム業界の内側がわかっていて小説が書ける人なんてあまりいないよな──じゃあ沙登美が書けということになり、麻野さんへの取材がスタートした。
せっかくだから巻末に、麻野一哉さんにはゲームの世界の解説を、転職活動を始めた山川沙登美にはゲーム業界の「就活ガイド」を書いてもらおうということになり、編集とDTPを文芸学科で編集を教えている野上勇人さんに担当してもらい完成したのが本書です。
野上勇人はFacebookにこう書いた。
「ファミコン全盛のあの頃から今まで、ゲームづくりのために悪戦苦闘する若者の姿が、とても面白く描かれています。ぜひ、お読みください!」
僕は最終のゲラだけ読ませてもらったのだが、個人的な感想を一言。
「文学のことなんか何も教えてないし彼女は父親の小説なんか読んだことはないはずなのに、俺の小説に似てない? とくにドラッグのシーンとか」
それからもう一つ。
僕はコンピュータもゲームもとにかくデジタルなものは大嫌いだった。CDプレイヤーだって、かなり長い間買わなかった。その僕がMacintoshにハマり、いっぱしのゲーマーになれたのは、娘のおかげです。この場を借りて、どうもありがとう──と言いたい。今からではもう無理だが、生まれ変わったら僕もゲームクリエイターになりたいものです!
興味がある方、是非ともお読みください。