香港のデモを見て思うこと | イージー・ゴーイング 山川健一

香港のデモを見て思うこと

香港のデモの映像を見ていて思うのは、これは他人事ではないなということだ。1969年、70年と、高校生だった僕は黒いヘルメットに"LOVE&SEX"とピンクの字で書いてデモに参加したが、東京の状況は今の香港みたいなものだった。機動隊はジュラルミンの盾で僕らを殴り、催涙弾を水平に撃って来た。

今の日本では首都圏反原発連合の人達の努力などがあり、平和的なデモが根付いているのでそれに水を差してはいけないと思うが、権力というのは暴力装置で、日本だっていざとなったら香港警察みたいなことをするのだ──ということを僕らは知っておく必要があるだろうと思う。

60年安保の時には国会前で東大の学生だった樺美智子さんが亡くなった。22歳だった。当時の首相は岸信介だった。70年の安保のデモの時にも大勢の負傷者と逮捕者を出し、高校生だった僕の友人も逮捕された。首相は佐藤栄作である。岸、佐藤、共に安倍晋三首相の血族である。

70年の学園紛争は世界的なもので、ジョン・レノンやローリング・ストーンズが明確に反戦を掲げるようになるのはそれ以降のことだった。

繰り返すが、警察はいざとなったら何でもやる、香港のデモは他人事ではない──と肝に命じるべきだと僕は思う。今だってデモ参加者の写真を撮影してファイルにしているに決まっている。

香港では女性が催涙弾の直撃で失明し、殴られて血を流し大勢の人々が逮捕されている。若い人達の未来に禍根を残すに違いないと思うと胸が痛む。香港人は歴史的に、自分達は香港人であって中国人ではないと思っている人達が多いのだろう。中国本土に容疑者の移送を可能にする条例案への抗議デモは、香港独立を目指しているに違いなく、だとしたら攻防は長く続くことになる。

中国共産党系メディアである「人民日報」は香港に近い深センに武装警察の車両部隊が集結していると報じ、道路を走る装甲車の映像を公開しこれはネットで見ることができる。

そんな中、カナダのトルドー首相は12日の記者会見で、香港情勢を非常に憂慮していると表明した。「市民が表明した深刻な懸念に耳を傾ける姿勢が地元当局に必要だ」と述べ、中国当局に「正当な懸念を抱く人々に対し非常に慎重で敬意ある対応」を取るよう求めた。

人権を守るよう、繰り返し香港の外側からもメッセージを発信していくことが大切だろうと思う。僕らはせめて、香港の今の惨状をSNSで拡散し続けしましょう。