加藤拓也をご存知でしょうか。
若くしてその才能を評価され、舞台、ドラマ、映画とジャンルを問わず脚本、演出をどちらもこなし、ドラマ脚本では市川森一賞、戯曲では岸田國士戯曲賞などを受賞しているマルチな才人です。
連ドラでは25歳の若さで、日本テレビのG帯に「俺のスカート、どこ行った?」という奇抜な学園ドラマを書き、女装家の教師という設定に驚かされました。
2話で離脱しましたが…。
続いて2021年にはNHKで「きれいのくに」という、これまた奇抜なドラマの脚本を書き、こちらも驚かされましたが、途中で離脱しました。
過去2度そうだったので、このドラマは最後まで見てみようかと思っているのですが…
TBS 火曜25時28分
「滅相も無い」第1話
脚本、演出…加藤拓也
これまで2作と同様に、のっけから奇抜な設定にまたも驚かされました。
日本中の方々に巨大な7つの穴が現れ、そこに入った者は出てこられないということらしく、そんな中、穴を神と崇め、その中に救済があると説く小澤(堤真一)という男が現れます。
その言葉を信じ、穴に入ることを望む8人の信者が集まります。
穴に入る前に、なぜ穴に入りたいか、救済を求めるに至った自分史を語るのがルールのようです。
初回は「怒れない男」川端(中川大志)
なぜ怒れないのか、その悩みを抱くに至ったかを語っていき、それが再現されます。
この再現がとりわけ独特で、広いスタジオ内で演劇形式で表現されるのです。
少年時代も川端を演じる中川大志が演じるし、登場人物は皆、決まった何人かがすべて演じます。
簡易なセットがその都度セッティングされ見せていきます。
ドラマ、映画、演劇すべてに通じている加藤拓也なればこその大胆にして柔軟な発想から出た演出で、これにはへ~っと驚きました。
中川大志は近年、めざましく進化している人で、怒れない川端がついに遅刻常習のカノジョにキレるシーンの迫力にはひきこまれました。
小澤がなぜ川端は怒れなくなったかは、あまり怒ることのない私めにもあてはまるところがあり、狭い自分史でありながら普遍的な人間の本質をも描く意図を感じました。
なかなか手ごわい作品になりそうです。深夜ドラマにしては豪華な面々があとには控えています。
どんな自分史を語るか楽しみです。
今回の評価は…7