恋人はスナイパー 劇場版(2004年) | 勝手に映画紹介!?

恋人はスナイパー 劇場版(2004年)


2004年10月22日発売・レンタル開始の新作DVDソフト…「恋人はスナイパー 劇場版 」を鑑賞。TVの人気単発ドラマの劇場版らしいのだが…実はドラマ版は一切見ていない。それでも観てみる気になったのは、西村京太郎の「華麗なる誘拐 」という、かなり大昔の推理小説が原作になっている点。中学校で西村京太郎のトラベルミステリー(いわゆる十津川警部シリーズ)は卒業したのだが…ワンパターンなトラベルミステリーに頼らない、初期の西村京太郎作品は、なかなか面白い作品が揃っていたので、かなり気になった。

確か原作では毒殺事件か何かだったと思う殺人を…スナイパー(殺し屋)による狙撃事件にアレンジし…スケールの大きい犯罪に発展していく様は、ハリウッド製アクション映画みたいで、なかなか上手い。冒頭、六本木ヒルズで、狙撃犯人を走って追跡する水野美紀が、軽やかにジャンプしてダンボールを飛び越えてみたり、犯人が投げたナイフ(もちろんCG)をまわし蹴りでかわしてみたり、さりげなくだが、水野美紀のアクションセンスの良さを見せてくれるのはファンとして、なかなか嬉しいものだ。さすが元スタントマン…今までにも「千里眼」や「現実の続き 夢の終わり」で、華麗なアクションを披露している。日本の女優さんで、拳銃を構えたり、殺陣が綺麗に決まる女優さんは、そうざらにいないので…戦う綺麗なおねーさん好きには、外せない女優さんだ。

しかし…すっかり忘れていたのだが、これはウッチャンナンチャンの内村光良が主人公の映画だということ。いきなり、ウッチャンが画面に登場した途端、今までの雰囲気をぶち壊して、コメディになってしまうのだ。この人が、ジャッキー・チェンや香港映画に心酔しているのは有名な話で…昔、フジテレビのかくし芸大会でジャッキーのパロディアクションを披露していた程だ。動きの一つ一つを見ていると、その時のウッチャンを思い出してしまい…演技がオーバーで、やはり他の役者さんの中では浮いた存在になってしまう。

一番問題なのは…肝心なスナイパーシーンに緊迫感がないこと。クライマックスなんて、水野美紀のアクションと同時進行でウッチャンと犯人たちとの銃撃戦が描かれるのだが、必然性がないシーンがいっぱいで、もうメチャクチャだった。まぁ、君塚良一脚本ではこれが限界なのかもしれない。

TV版を全然見ていないので…キャラクター同士の関係が把握できない。ドラマ版からのファンにとっては、水野美紀と田辺誠一が結婚するとか、しないとか…昔の男がどうたらこうたら喋っているセリフなんかが面白いのだろうが…そういう話には一切ノレない。やたらと納豆に拘る殺し屋ウッチャンも意味不明だし、突然現れる竹中直人とかも、自分には一切理解できない。

非常に惜しい映画だ。水野美紀のファンなので、部分部分では、けっこう好きなシーンもある。無理にスケールをでかくしないで、アクションがちゃんとできる水野美紀をメインに据えた作品にすればもっと面白い作品になっただろうに。悪役の中村獅童も嫌いではないが、その仲間の一人だった、大沢樹生あたりに、もっと凄い犯人役をやってもらいたい。出番は少なかったが、水野VS大沢などは…意外としっかりアクション映画していて、一番かっこよく撮れていたシーンだと思う。


監督:六車俊治 脚本:君塚良一 原作:西村京太郎「華麗なる誘拐」
出演:内村光良 水野美紀 田辺誠一 竹中直人 いかりや長介 中村獅童 阿部寛


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DVD 恋人はスナイパー 劇場版