オッペンハイマー(2023年) | 勝手に映画紹介!?

オッペンハイマー(2023年)

オッペンハイマー(2023年)

 

【鑑賞日:2024年3月29日】

 

午前中は予報通り雨・風が強く、さすがに自転車で出かけるわけにはいかず、車で地元のシネプレックスまで出かけ、本日、初日の「オッペンハイマー」を鑑賞してきた。本国アメリカでは、とっくに公開されていたのに、内容が内容だけに日本での公開が遅れるに遅れたことで話題になった本作。しかしながら、先日の米アカデミー賞で監督賞、作品賞ほか主要部門でもけっこうな数を受賞したことで、日本公開の箔付けにはなったよね。だけど、生憎の雨の影響もあるのか…地元シネプレックスではそんなに混雑はしておらず、若いお客さんも少なかったなぁ…。

 

ハーバード大学を卒業したジュリアス・ロバート・オッペンハイマーはイギリスへ留学後、ドイツに留学しなおし、そこで出会った科学者たちの影響を受けて自身も物理学の道に進む。アメリカに帰国後、カリフォルニア大学で教鞭を執りながら…自身の研究を続けていたが、第二次世界大戦中に、極秘プロジェクト“マンハッタン計画”に参加…優秀な科学者たちを率いて世界初の原子爆弾の開発に成功する。その後、実際に爆弾が長崎と広島に投下され、その惨状を知ったオッペンハイマーは苦悩。冷戦時代には赤狩りの渦にのまれ、追い詰められていくが…。

 

それこそ、アカデミー賞の授賞式をWOWOWで見てたら、解説の町山智浩さんが本作のことを“8回見ても80%しか理解できてない”って仰ってて、プロがそうなんだから、到底、凡人のオイラたちが初見で100%作品を理解できることなんかできるわけがないなって思って…はなっから、とりあえず“話の筋だけはなんとか追いかけよう”と努力することに専念してたよ。いや、マジで登場人物が多く…オッペンハイマー博士以外の多くは、何をしている人かよくわからなかったりもするんだけど、有名なスターも多いので、役者名でなんとか頑張って記憶してた(笑)

 

初っ端、若かりし頃のオッペンハイマーが…気に食わない大学の教授(?)を“毒殺しようとする”という、想像もしていなかった、めっちゃサスペンスフルな見せ場をぶっこんできて、一気に作品にひきこまれた。原爆を作った人だけあって、とんでもない狂人なのかなってイメージを植えつけられる。その衝動的な“毒殺計画”の顛末は実際に映画を見ていただくとして…その後は、思想や恋愛、交友関係、家族関係などといった人物像を描きながら、ナチスドイツに対抗するために始めた原爆開発の様子を克明に綴り、開発後に待ち受ける称賛と非難まで見せる。

 

なんだけれども…そこはクリストファー・ノーラン、1から10を時系列通りに描いているわけではないので、前作「テネット」を彷彿とする難解さも味わえたりする…好きな人はリピートしそうだ。時系列の違う話を一見脈略なくミックスして、一気に見せていくんだけれども、最後にはちゃんと筋が通り、ある程度理解した気分になれるあたりは…「ダンケルク」を見終わった時に感じたような、ノーラン映画ならではの爽快さもある。お前誰やねんとか、専門用語多くて何言ってるかよくわかんねーよも多いけど…意外と3時間の長さを感じない、退屈しないのはさすが。

 

大きな話が2つあるので、映画的な山場も2つある…やっぱり有名なマンハッタン計画の実験シーンは半端ない緊張感。自分が実験に立ち会っているかのような錯覚に陥る、音の演出とかも凄かった。あのシーンは思わずひじ掛けを掴む手に力が入ってしまった。戦争を体験してる人や、被爆者の人などからは“描かなかったこと”についての批判も確かに出ているけど…それでも、少なからず核の怖さ、ヤバさというのはちゃんと伝わってきていたと思う。もう一つの冷戦時代の赤狩りの話なんかも…色々な伏線が繋がって、ポリティカルサスペンスとして秀逸。

 

いつの世も政治屋や権力にしがみついてるような輩はクソみたいな面子に拘るヤツが多いんだな…って感じだよね。結局、オッペンハイマーって人も、最初は狂人、それこそフィクションに出てくるようなマッドサイエティストみたいな人物なのかなって思ったけど、女癖が悪くて、女房の尻に敷かれて、メンタルも弱くて…普通のおじさんと同じ部分もけっこう持ち合わせていた。原爆を落とした大統領でお馴染みトールマンが“作ったヤツより使ったヤツ”みたいなことを言ってたけど、映画を見るまで、ホント、オッペンハイマーなんかよく知らんかったというのが本音。

 

 

監督:クリストファー・ノーラン

出演:キリアン・マーフィ エミリー・ブラント マット・デイモン ロバート・ダウニー・Jr フローレンス・ピュー

 

 

【メイキング本が出るらしい…】

オッペンハイマー クリストファー・ノーランの映画制作現場

オッペンハイマー クリストファー・ノーランの映画制作現場





 

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