先週の読書:「暴虎の牙」「任侠シネマ」「夜明け前の殺人」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「暴虎の牙」「任侠シネマ」「夜明け前の殺人」

先週の読書:「暴虎の牙」「任侠シネマ」「夜明け前の殺人」

 

先週は…その前の週の、“母親の入院のドタバタ”から解放されたこともあり、まぁまぁ読書に割ける時間もとれたかなと(先週の読書という投稿自体は1週休んだ)。映画の方はボチボチと自宅鑑賞メイン…2週ほど映画館へ行けてない。先月、「十角館の殺人」目当てに加入したHuluの次回請求日が迫っていたので解約…途中はけっこう旧作の香港映画を見たりするのに使ってたんだけど、最後の方は利用しなくなってしまった。今後は「十角館の殺人」のような目玉がないかぎりは再加入はないかな?ああ、「ツイステッド・メタル」のシーズン1は面白かったな。

 

今月は「シティー・ハンター」の実写ドラマが始まるので、ネトフリの再加入を検討中。前に加入した時に見たザック・スナイダーの「REBEL MOON」の続きも始まってるらしいし、ちょうどいいかなと。ああそうだ、Xのキャンペーンで、「お終活 再春! 人生ラプソディ」のムビチケが当たったよ…地元シネプレックスでの上映はないみたいなんだけど、車で行けるイオンシネマで上映予定があった。賞品の現物はまだ届いてなくて、今も続いているキャンペーン終了後、5月末の公開間近になるらしいが…また届いたら詳しい当選報告・自慢をあらためてさせてもらう。

 

さて、先週はなんとか3冊の小説を読了できました…全部古本なので、新し目のものはないけど。まず1冊目が柚月裕子の「暴虎の牙」…「孤狼の血」シリーズの3作目で、完結編とのこと。1作目「孤狼の血」ほどじゃないけど安定した面白さ。既に文庫化もされてるけど、文庫は上下分冊になってしまったので、単行本の方が一気に読めるし、古本の購入価格も安かった。2冊目は今野敏センセイの「任侠シネマ」…こちらも人気リーズの5作目、人の好いヤクザさんたちが、今回は映画館の経営を立て直します!極道ものが2冊続いたが、全く作風が異なる(笑)

 

3冊目は…辻真先センセイの「夜明け前の殺人」、上演中の演劇舞台で主演女優が自殺!9年後に弟が事件の真相を調べ始めると…再び事件が起きてしまう!企業メセナ、演劇、島崎藤村といった題材、テーマがうまく絡み合いながら、ミステリーらしい直球の謎解きで魅せる。オイラのような藤村なんて興味ないという無知な人間が読んでも普通に面白かったですよ。3冊読めたので久しぶりに選びごたえがある“推しの1冊”ですが…やっぱ本来は“映画ブログ”という当ブログの内容も考慮し、今野敏センセイの「任侠シネマ」をお薦めしたいと思います!

 

 

 

2020年3月発行の柚月裕子著「暴虎の牙」…2023年1月に文庫化もされているが、文庫版は上下巻の分冊。映画化もされている「孤狼の血」シリーズ3部作の完結編とのこと。1作目は文庫で、2作目は電子書籍で読んでいたが、こちらはずっと読み逃していた。映画版も2作品見ているが、映画の2作目は原作とは異なるオリジナルストーリーだった。さてこちらは、過去シリーズで既にお亡くなりになっているマル暴刑事ガミさんこと、大上刑事が再登場…1作目よりも前の話が語られる一方で、後半の3分の1くらいは…過去シリーズ1~2作目の続きの話。

 

冒頭、どうやらヤクザな父親を殺してしまった少年と、その取り巻きであろう友人が遺体を遺棄する場面から始まる。時が経ち…その少年たちが成長し、ヤクザをも恐れぬ愚連隊を率いるようになっている。そんな連中と…広島北署時代のガミさんが偶然にも出会ってしまう。愚連隊の素性を一発で見抜いたガミさんは、過去シリーズでも描かれていた“ガミさんの過去にまつわる因縁”、その復讐の道具に利用しようと動き出すが…ということで、過去の昭和パートの話が進む。ガミさんら警察、ヤクザ、愚連隊の三つ巴な争いが激しく展開されていくわけだが…。

 

過去パートは途中でいったん終止符を迎える。しかし、さらに時が流れて…亡きガミさんの意志を継ぎ、ガミさんそっくりのマル暴刑事になっている後輩・日岡が、復活した愚連隊と対峙することになる。日岡は、映画だと松坂桃李が演じていたが…ちょうどオリジナル展開を見せた映画2作目の時の日岡のように、いい感じにやさぐれてましたね。映画版は話こそオリジナルだったけど、しっかり原作の影響は受けていたのかもしれない。それこそ愚連隊を率いるリーダー沖虎彦は、映画版2作目で鈴木亮平が演じていた“ヤクネタ”上林成浩をどこか彷彿とさせる。

 

 

 

2023年4月発行の今野敏著「任侠シネマ」…2020年5月に出ていた単行本を文庫化したもの。元は博徒系で、地域密着型(心優しい)ヤクザの親分、子分が、様々な職業に首をつっこみ、経営を立て直してきた“任侠シリーズ”の5作目…一応、シリーズは今までのものを順番に読み終わっており、ひとつ前の「任侠浴場」のみ単行本で、他はすべて文庫で読んでいる。今回はタイトルの“シネマ”で一目瞭然、映画館の立て直し…その一方で、暴力団排除条例をチラつかせ、組を潰そうと目論む、ショカツの新任係長との攻防なども描かれることになる。

 

映画館の立て直しといっても、今までのように経営に深く関わる訳ではなく、今回は外側からの援護射撃が中心だった印象。いつもは、バイト感覚で組員たちが、“その職業”を体験するような場面も多くあり、本作内でも実際に個々のキャラクターが、それを期待しているようなことを言うんだけど、親分や兄貴分は“今回はそういうのはナシだ”ときっぱり断言していた。ある意味、若干マンネリとなっていたワンパターン、お約束を回避しているともとれるかなと。依頼主となる映画館経営の社長と、嬉々として映画談義に花を咲かせる組長がなかなか魅力的だ。

 

あまり映画に興味がなかった人たちが、健さんに魅了されていく場面もクスクス笑いながら読んでしまった。いつも面倒ごとを持ち込んでくる親分の兄弟分・永神さえも、ある映画を見て感動してしまったり(本文の説明を読んでいて、オイラも直ぐに何の映画か理解したけど、正解のタイトルは巻末解説に書かれている)。かつて、著者自身のオタク知識を惜しげもなく披露して描いた「慎治」内でのアニメ・サブカル論と比べると、そこまで濃密なものではなかったものの…敏センセイの映画愛が詰まった、映画論、映画・映画館の在り方がしっかりと伝わってくる。

 

 

 

2022年2月発行の辻真先著「夜明け前の殺人」…1999年9月に単行本で出たものの文庫化、かれこれ24~5年前の作品なんですね。たぶん、著者の“昭和ミステリ”シリーズの人気にあやかって、未文庫化だったものを文庫化したんだろうな…オイラが辻真先センセイを読むきっかけも“昭和ミステリ”シリーズからだった。企業メセナ(企業による文化・芸術支援)の公演で…島崎藤村原作の「夜明け前」が舞台化され、好評のうちに千秋楽を迎えるのだが、その千秋楽の舞台上で…主演女優が服毒自殺を図るという事件が発生し、関係者はショックを受ける。

 

それから9年後…自殺した女優の弟が、フランスから帰国して、かつて姉が所属していた劇団に入団することに。弟は姉の死が自殺なわけない、殺されたんだと考えており…劇団への入団も、姉の死の真相を探るのが目的だった!そんな矢先に…再び事件が起きてしまう。物語は、企業側が支援する劇団選びをするところからはじまり、メセナ担当者や、劇団関係者の視点が適宜入れ替わって進行していく。ぶっちゃけ、島崎藤村なんてまともに読んだことがないので、本書を読んで得た知識くらいしか持ち合わせてないのだが…それでも問題なく楽しめる。

 

要は、藤村自身が体験した複雑な“恋愛・人間関係”ばりのドロドロが事件の背後に隠れていたってことだよね。正直、女優が舞台上で自殺するという“第一の事件”で犯人の目星はついてしまうものの…死者からの暗号を解いたり、時間を経て、9年後に再開する事件の被害者が“えっ、この人なの?”という予想外のものだったり、ミステリーとしての面白さや驚きはちゃんとあった。巡り巡って犯人が受ける報いがなかなか切ない。今だったら色々と指摘されてしまうかもしれない、女子高生の描写も…24~5年前の作品だと思えば、そこまで気にならないか?






 

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