ボーンの声は平田 広明さんで、マット本人の声とはあまり似ていないけれど(それを言うならジョニー・デップの声にだって全然似てないけれど)、お芝居はさすがにお上手。


大好きなパメラ・ランディの声は大好きな小山茉美さんで、あの声でてきぱき男どもに命令を下し、いやみったらしい上司の鼻をあかしてくれるのは大変小気味よかったです。


それはいいんですが、吹き替えの脚本で一つ気にかかった点があったんですよね~。


パメラや上司のノア・ヴォーゼン達が自分たちの組織のことを「会社」って言うんですよね。


あなた達CIAでしょ?


確かにCIAのことは「カンパニー(company)」と言いますから、「会社」と言っても間違いではないです。

CIA職員が自分達の組織のことを「カンパニー」という時って、日本語で「我が社」とか「ウチの社」って言ってる感じなのかもしれないですよ、その辺は私にはよくわからないことですが。


でもそれを吹き替えで、彼らの所属してる組織が「CIA」ということが明らかな状況で


「会社」


って言われてるのを聞いてると、さすがに違和感ありまくりです。


実際にそこで使われている単語は「カンパニー」だけじゃなくて「association」だったりもするので、パメラ達がCIAという単語を表に出さないように言葉を選んでるということを示唆している脚本なのかもしれませんが、日本語の吹き替えで聞いていると何ともピンと来ない言い方なのでした。



字幕の方が上手いな~と思った表現には「(ブラックブライアーが)トレッドストーンのアップグレードだ」というのがありますね。吹き替えだと単なる「改訂版」なのですが、字幕で「アップグレード」と見るとそれだけで何となくボーン以上の暗殺者を作り出してるというイメージが伝わってきます。字数を7文字も使うのに……英断ですわ。


それともう一つ、「心臓に優しいヘルシーオムレツ」が傑作でした。これだけでクスッと笑っちゃう。気を抜く間のない「ボーン・アルティメイタム」の中で、この言葉が醸し出す微妙なおかしさが観客の緊張感をやわらげるのに役にたっていたと思います。


吹き替えだと

「私は低脂肪で減塩の健康オムレツを貰おう」とかなんとか、これはこれでヴォーゼンのねちねちした性格が出ていて良かったですけどね。