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小学生の頃は、夏休みというとかき氷がおやつでした

氷をかき氷器にぶちこんでガリガリガリガリ……

するとしゃりしゃりと綺麗に削れた氷がガラスの器の上に雪のように降ってくるんですね

シロップの定番は当然イチゴ

濃いピンクの色合いは見た目にも美味しそうだし白い氷にもよく映えて相性抜群

おなかが冷え切るか、冷凍庫の氷を使い切るかまで弟と二人で心ゆくまで食べたものです。なにしろシロップ以外、ベースは氷、元をただせばただの水、いくらでも食べられるわけですよ。なんというか、子どもにとってあれだけ幸せな食べ物って、ないんじゃないでしょうか? 自分で作っているという満足感も味わえるし

シロップ、たまにメロンも買いましたけれど、やっぱり次の時にはイチゴ
を選んでましたね~。どうしても緑よりはピンクの方が美味しそうに見えますもの。

聞いた話によると、女性がピンクや赤を好むのは、かつて食料を採集して暮らしていた原始の時代、果物が緑から赤やピンクに変わるのを食べ頃の目印としていた時の名残なんだとか。赤やピンクは「甘い」というイメージもその頃から受け継いでいるものなのかもしれません。黄色は甘いというより酸っぱいかな?
でも、こんな風に色と味のイメージが密接に結びついているのって、案外古い感覚なのかも。
私が驚いたのは、かき氷のシロップに「ブルーハワイ」って、それこそ真っ青な色を見つけた時ですわ

「ハワイ」って……そもそも食べ物じゃないし。しかもハワイだって土地は青いわけじゃない。単に「ハワイ」という言葉から連想する「海」
が青いというイメージだけですよね。

これはなんていうか、かき氷シロップにおける一種の革命だったような気がしますわ。
カクテル
だとそういうイメージによるネーミングはありふれてたわけですが、それが日本の夏の風物詩であった「かき氷」に取り入れられるとは


どなたが商品開発をなさったのか知りませんが、素晴らしい発想の転換だったと思います

それ以来「かき氷」は自らの伝統をかなぐり捨てて「フラッペ」へ衣替えしたといっても過言ではない……かもしれない。
そしてさらにスタバでの「フラッペチーノ」として自らの改革に励むかき氷の未来の姿はどうなるのでしょう

でも実は、私自身は「フラッペ」も「フラッペチーノ」も食べる気にはなれないのです。
私にとっては、氷を削って食べる食品はどこまでも「かき氷」、そしてそれは暑い夏休みに弟と二人きりでガリガリしゃりしゃり饗宴を繰り広げながら食べるものでした。
シロップはもちろんイチゴ

そう、絶対に「ストロベリー」なんかじゃなくて、「いちご」でなければならないのです。
だからもう何年も、「かき氷」を食べる気にならないのかもしれない。
弟と二人の夏休みには、もう決して戻ることができないから。