ブログネタ:夏の行列と冬の行列、どっちが耐えられる?
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もちろん防寒着、防寒靴、及び携帯用の使い捨てカイロで対策を万端に整えて、という条件付きですが。
夏だって仮に日傘の下が全部気温25度の快適空間になるんだったら余裕で行列もできますが、気温が35度で湿度も高かったりすると死ぬ恐れがありますから。
冬だって防寒対策が万全じゃなかったら凍死しますけどね。
ところでこの「行列」というのも国民性の現れですよね。
日本って、北海道は別としてかつては比較的夏も冬も過ごしやすい気候だったと思うんですよ、こう、人間が自分の体温ひとつで何とか切り抜けられる温度帯っていうかね(北海道では体温だけでは冬死にます)。少なくとも古代の中央集権国家の都が置かれていた辺りでは、冬になっても雪に降り込められるわけではないので、雨風をしのげる場所と火があれば何とかなったのではないでしょうか。冬の寒さよりも夏の暑さをしのぐ方が大変だったみたいだし。
都が江戸、名前を変えて東京に移っても、現代のように温暖化及びヒートアイランド現象が進む前は夏でも熱中症で死に至る人というのはほとんどいなかったと思うんですよね(倒れるぐらいはあったでしょうが)。
だからいわばこの温暖な気候が日本人が行列に並んで何時間も過ごす事を許していたとも言えるわけです。
だってね、寒い所で防寒対策が迂闊なままだと、立ち止まってられないですよ?
クリスマスに韓国のソウルに行った事がありまして、これが何故か女1人旅だったんですけど、一応寒くないようにと厚手のコートとウールのパンツを持っていったんですよね。ところがウール100%だとばかり思っていたパンツ(ズポンですよ。毛糸のぱんつを見せパンにしてたわけじゃないです)が実は50%の混紡だったんですよ。
もう、寒くて寒くて。
コートも高をくくってロングコートじゃなくてハーフコートにしたので、コートの裾から出ている脚の部分がかなりあるんです。もちろん中にストッキングをはきこんでいるのですが、それでも寒い。寒いもんじゃなくて冷える、凍えるでいたたまれないんです。
ホッカイロをポケットに仕込んでいても、暖かいのはそのホッカイロのまわりだけ。脚全体を暖めるには程遠いんですよ。
ホテルは繁華街の近くだったから、夕食を食べに出てその帰りに商店街というか屋台みたいなお店がたくさん並んでいる所(もちろん屋外)でお土産の買い物をしようと思っていたんですが、何しろ脚が寒いもので立ち止まれないんですね。
可愛い品物や怪しいブツが並んでいるのは離れていても目に入るので、それを見たくてワゴンに近づくんですが、いざ手にとって品物を見ようにも、立ち止まった瞬間に震えが来るので横目で見ながら足早に通り過ぎざるを得ない。
でも、そこに並んでいるものがどんなものかよく見たい。
というわけで、すたすたすたすた何往復もしながら立ち止まることなく目をつけたブツをためつすがめつ吟味しておりました。
でも買えなかった、結局。
だって、買うためには立ち止まらなければならないし、値段の交渉する間も立ってなきゃいけないし、お金を払ったり品物を包んで貰ったりお釣りを貰ったりするのにも立って待たなきゃいけない。
できませんよ、寒くて、そんな事。
あたしゃまだ命が惜しい。
というわけでその日はひたすら歩いただけで、結局立ち止まれずに帰ってしまいました。だって真冬のソウルは寒かったんだよ~!!!
あまりにも同じ所を行ったり来たりするもんで、屋台のお兄ちゃん(彼等は必ずたき火の前にいる)に冷やかされたりして。それでも立ち止まれないんじゃー!!!
こんな所で行列したら死ぬと思いましたね。実際行列なんか見かけなかったし。
次の日、初日には羞恥心が邪魔をしてためらった事を実行し、お土産ゲットに成功しました。パジャマがわりに持っていった厚手のスウェットを前日のパンツの中にはいて、かさねばきでいったのです。これがもう、嘘みたいに暖かくて気分はルンルン、立ち止まっての値段交渉もなんのそのでした。ナンパされたら断らざるを得ないというのが唯一の難点ですが、幸い(?)その日は何事もなかったし。
旧ソ連では何にでも行列を作るのが名物だったなんて話を聞いたことがありますが、あれもきっと防寒対策をがっちりとしているからこそできることなのでしょう。まず靴じゃなくてブーツが、そしてそれを隠すぐらいのロングコートが、さらに絶対に必要なのは頭をおおう暖かい帽子だとソウルで実感しましたが、旧ソ連の皆様、写真で見る限りはそういう服装ですもんね。
じゃあ逆に暑いとどうかという問題がここでクローズアップされるわけです。
日本人は並びます。もっと夏が涼しかった時の名残でしょうね。
しかし中国人やイタリア人は並びませんね。
そもそも彼らには「行列を作る」という概念がない。
代わりにあるのは「我先に欲しいモノを得よう」という欲求で。
一応ね、まわりに警官とか警備員とか人民解放軍とかがいて「列に並ぶ」のを強いられてればそれは並ぶこともするんですよ。でも誰かがよそ見してたら、すかさず割り込むのはごく当たり前の行為です。それは、しない方が馬鹿なんですよ、中国では。順番を守るという概念がたぶんない。誰よりも先に自分の欲求を通した者の勝ちなんです。
だって大陸、夏は暑いし冬は寒い(春と秋はほとんどない。漫然と順番待ってる心の余裕なんて生まれませんわ。
それでも暑い時よりは寒い時の方が、団子になった行列崩れでも殺気ばしらないのは暑くないからなのでしょうね。冬は人が群れてる中に入れば何がなし暖かいですから、まだ落ち着いて並ぶことも可能な気がします。暑い時に並んでいると、人いきれだけで熱気がいやましますもの。
夏休みに入ると、北京の故宮の前には見学に来る親子連れが群れをなすんですが(入り口近くでは列になっていると思う)、幾らも待たない内から
「回家(ホイジヤー)!(お家に帰る!!)」
と大泣きしてる子がいましたもの。
暑い夏の行列はやるもんじゃないと、それを聞いた時にしみじみ思いましたよ。