日本に生まれて良かった? ブログネタ:日本に生まれて良かった? 参加中j


日本で生まれ育って良かった、としみじみ思うのはお箸使っている時ですね~。

もちろんお箸は日本でだけ使われているワケじゃなくて、韓国でも中国でも食事する際に使いますが、材質とか形を考えると、やはり日本のお箸が一番持ちやすく、使いやすく、かつお口に入れた時に違和感を感じないのではないかと思うのですよ。

韓国では銀製のお箸が一家の主人用としてあって、それを持たせて貰ったことがあるのですが、これ、重いんですよ。で、持った時は冷たくずっしりしてるんですが、金属でしょ? 熱伝導よくて熱い汁物なんかに間違ってつけちゃうと、持つ部分まで熱くなっちゃってて、いざ手に取ろうとすると熱くて取り落としたりするんですよね。

まあ、ほら、日本と韓国ではお料理も違いますので、銀や或いは金属の箸だとそのままお肉を串刺しにして焼いても箸自体が燃えたり焦げたりする心配はないので便利なんだとは思いますけれどね。なんとなく、日本の箸よりも丸くて先が細いイメージがあるのは、そのせいかもしれない。


中国だと、高級なお箸は象牙製だったんじゃないかな? 
今は象牙そのものが使えないので、象牙風プラスチックの箸が料理店で出てきたりするのですが、これが使いづらかった! 今は改善されていると思うのですが、箸といっても日本のもののように先細りになってなくて、細い角材の角をちょっと削って丸っこくしてみました、みたいな棒が二本出てくるだけだったりしたので。

多少気取って先を削っているものもありましたが、日本製の箸のように綺麗に先端に向かって二本一組で揃うようには作られていないので、先端でものを挟むのに苦労しました。中華料理は大抵の食材がお箸でつまむだけで口に入れられるようになっているので、日本のお料理のように箸の先で切るとか裂くとかほぐすといった作業は必要ないからあまり細くなってなくてもいいのでしょう。でもそれにしても、先が揃ってないと物をはさんでも力が集中しないからぼとぼと取り落としちゃうんだけど!


やはり日本人には日本のお箸が最高だと思いましたね。
ポテトチップスでもさやから出した枝豆でもお箸でつまんで利き手一つで食べられる日本人の技術は特筆に値するでしょう。

ハリウッド映画等を見ていると中華のデリバリー等をお箸を使って食べるシーンに遭遇することも多いのですが(人目を気にしないで食べる場面です)、お箸の使えない人は箸の上部を二本会わせて輪ゴムでとめてピンセットの様にして使うと上手にものが挟めるというレクチャーを受けてたりします。そうやってお箸を使う方がよっぽど器用じゃないかい、と見ている私は目を丸くしちゃうんですが。


それよりもっと目を丸くしてしまうのは、日本風の衣装をつけた外国人女性(モデルとかコールガールとか、外見を売りにしている職業の場合が多い)が、髪に塗り箸を何本もぶっさしてる時ですよね。

そりゃね、日本の塗り箸は綺麗ですよ。つやつやぴかぴかで、形も整っていて、芸術品と言ってもいい。

でも、それは飽くまで箸なの、箸。
髪を飾るのはかんざしやこうがい であって、箸とは別物。
箸は飽くまでも物を食べる時に使う道具であって、髪を飾る時に使う装飾品じゃないの。
あんた達だって、フォークやスプーンを髪に挿して飾ったりはしないでしょ? 
同じ事じゃん!
日本人も韓国人も中国人も、恐らく全アジアの箸を使って食事をする人達は、誰も箸を髪に挿したりしないわよ! 
(ナイフというか、短剣に近いものは護身用としてこっそり髪に仕込む場合もあります)


とまあ、映画でそういうシーンを見かけるたびに憤っていて、いつか言ってやろうと思ってたんですけどね、私。


去年の夏、ロンドンのウェストエンドで数日劇場通いをしてたんだけど、ある日そこのパンフレット売りのおばちゃま(かなりな年配だけど相当なお洒落)、アップの髪を日本風にして、塗り箸をそこに飾っておられました。

あたしゃ、列の最後尾について彼女のその姿を見た時、目が点になりましたね。

映画の力って偉大だ……。あれ見て、実際に自分の頭に箸さしちゃう人、いるんだ。おばちゃま、今日のお洋服どことなくジャポニスムだからがんばったのかしら……。ででででも、あれはやっぱりかんざしでもこうがいでもなくて、どこからどう見ても塗り箸だよ……。どどどどうしよう。

並んでいる間中、日本人として自国の文化に対する誤解を解いてから帰国すべきか否かで悩み続けました。

ほどなく私の番が来て、パンフレットとお金の交換もすんだ私、立ち去る前に思い切っておばちゃまに声をかけましたよ。

「それ、お箸ですか?」

するとおばちゃま、あらやっぱり日本のお客さんにはわかっちゃうのね、照れちゃうわ~、どうしましょ、という感じで
「イエス♪」音譜
とお返事してくれたんですよ。それは

今日の私のお洒落の重点ポイントが分かってくれる人がいてくれたわ恋の矢 超嬉しい~ドキドキ

という女心の純粋な喜びの発露そのもので……女だったら、わかりますよね、この気持ち。


私、同じ女としておばちゃまのその喜びに水をさす気には到底なれず、観念して

「グレイト!」

と一言ほめてその場を立ち去ってしまいました。
日本文化に対する誤解を解くことができず、慚愧の思いです。

まあしかし、日本国内じゃないし、おばちゃまがそのお箸を普段の食事に使っているわけでもないし、頻繁にその髪型をするとも思えないし(あのおばちゃまなら、ワンシーズンに同じ格好は二度しないと思う)、いいか!


なんつーか、今まで映画の制作現場に日本人がいたら、そういう日本ではありえないシーンを注意して撤回させることができるだろうになんて思っていたけれど、ひょっとしたら日本人がその場にいても注意ができず、結果的にその場ではそれが「日本人も認めた正しい日本的シーン」となって、世界中に出回ってしまうこともあるんだろーなー、等としみじみ思ってしまいました。


その内、逆輸入という形で日本でも髪に箸をさして歩くのが流行する日も来るのかもしれません。
今の内に綺麗な塗り箸買っておこ。