すんものお月見、こんな感じでいかがでしょ。
もう肌寒ささえ感じる秋口なので炬燵と火鉢で暖をとりつつ、雪兎達とお月見。
小腹が空いたら食べられるように、焼き網の上にはお餅とキノコ。
いざとなったらウナギも焼けるよう、団扇の準備も欠かしません!
「せっかくの満月なのに、雲がかかってばっかりでつまんないなー」
「雪兎達、月のうさぎの姿が見られなくて残念だね」
「あ、やっと雲が晴れた。これで月の兎も見える……けど、何か違う??」
「月の兎って確か餅つきしてるんだよねえ? う~ん小さくてよく分からないや」
「わっ、いきなり巨大化した! と思ったら雪兎がおすまししてる~!!」
「しかもいつの間にか妙なのたくさん生えてるし! 知らんぷりして帰っちゃお」
すんも、帰っちゃダメじゃん! 今日はぽつりぽつりと仲間も来てるんだから
新しい友達も呼んだのよ。大日如来像のイニスちゃん。よろしくね
印を結んでいるが忍者ではござらん。結跏趺坐の真っ最中であるぞ
「これはこれはお揃いのお運びで……。で、今日は何の御用でしょう?」
うむ、折角の月見ゆえ、我らの楽で妙なる調べでも聞かせてやろうと思うてな。
言っておくが上の「妙」は「みょう」ではないぞ。「たえなる」と読むのだぞ
「あ、雪兎が全部逃げた。ピアニカとウクレレと琵琶の合奏じゃ仕方ないか」
「せめて全員で同じ楽器にして下さいよ。オカリナなら人数分あるから、これで。
数は足りてるけど、すんもちゃん、これちょっと問題あるわ
確かに素焼きのオカリナはハニワに近いかもしれないけれど、笛なんだよな
その吹き口が全部下を向いていたのでは、息を吹き込むことができぬのだ
「……って、その前に、そもそもあなた達、呼吸してたんですか?」
――ああ、非現実ワールド。見ればすんもの立ってる所もうんと変。