「容疑者Xの献身」(公式サイト )
この映画、元々は全然見るつもりなかったんですがお友達がレビューで強力にプッシュしてたので、それなら一応見ておこうかという気持ちになって(←単純)劇場まで足を運んだのです。
結果、邦画で本年度一番といえる傑作を見逃さずにすみました。
レビューしてくれたお友達、ありがとう、ありがとう!!
いや~、これは予告編があまりにテレビっぽかったのでゲンナリして、それで見る気を失っていたのですが、テレビっぽいシーンは主としてその予告に使用された場面のみだったですね。予告だけ映画っぽくしてそこにいる映画ファンをとりこもうという作品が多い中、予告だけテレビっぽくして映画館にたまたま来たテレビドラマファンを観客動員しようという作戦でしょうか。
私、東野圭吾は全く読んでいないしテレビの「ガリレオ」はウワサでしか知らないので、予告で見た柴咲コウのあまりにもテレビめいたキャラクターに辟易していたんですが、公式サイトによると彼女はテレビ化にあたって新たに作られたキャラだそうで、何となく納得してしまいました。
その彼女が冒頭のつかみの部分以外では映画の中で実に落ち着いたキャラクターに変化しているのが驚きでしたね。北村一輝とペアで動いていることが多かったので、原作では彼の演じるキャラが主人公の湯川に事件を持ち込むというパターンなのでしょうが、彼らの人間関係がテレビドラマを見ていない私にも違和感なくごく自然にすっと入ってきたのは脚本家の力でしょうか。
脚本、これ「20世紀少年」と同じ方ときいて、ドびっくり。
「20世紀少年」の方は私にとって今年きっての「迷作」でしたから。監督違うと同じ脚本家の本でもでき映えがこうも違うんかい。「20世紀」はそれこそ予告で期待した分、本編見て死にそうになりましたからね、退屈で。
「容疑者X」の方は退屈する暇などありませんでした。つかみの部分から実に上手いなと監督の手腕に舌を巻きましたもの。
今年おもしろいと思った邦画は「おろち」と「おくりびと」なんですが、「おろち」は編集が少々間延びしていたのが(テレビの2時間ドラマみたいなんです)、「おくりびと」はカメラワークが変化に乏しいのが(据え置きばっかりなんだよお~)、それぞれ作品に微妙に退屈の影を落としていたのですが、「容疑者X」にはそれがない。構図なんか「アキレスと亀」ばりに凝ってましたよ。しかもそれがさりげないんだな♪ 「20世紀少年」って、構図に凝ってる部分は「はい、今ここ、この構図がみどころですよーっ!」っていちいち叫んでる様な映画だったからウザかったんだよねー。
でも何と言っても「容疑者X」を全編に渡って支えていたのは堤真一ですね。彼の演技によるキャラの存在感なくして、この映画は成立しませんわ。彼の衣装も人物造型に役立ってました。
松雪泰子さん、「デトロイト・メタル・シティ」のケバい美女ぶりを見たあとだけに、こんな役柄もできるのかとすっかり感心してしまいました。ケバくなくても美女は美女なんですねー。
肝心の探偵役、湯川学役の福山雅治さん、この方が「おもしろい」というのを聞いて思い出したのが「宇宙大作戦」のスポック(レナード・ニモイ)。論理が一番で感情は必要ないというあたり、原作か脚本かどの段階でかは知らないけれど、完全にモデルはスポック使ったなーと思ったりして。湯川が講義する教室を女子学生が埋めてる辺りはインディ・ジョーンズ教授に習ってますけどね。
それにしてもどこの大学だか知りませんが、理系の女子があんなにいるなんてスゴイですねー。