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イタリア語で歌った歌を「ドイツ語でしょ」と言われた一件以来(詳細はこちら )、イタリア語を勉強しなきゃと切実に思う今日この頃。

人間、意味など分からなくても言葉は暗記できるもので、必要に迫られれば「レクイエム」のラテン語全曲だって暗譜して披露します。ラテン語って、現代の日常会話で使われるような言語ではないので、たとえ発音が間違っていてもそれを指摘して正す人が存在しないようなものだから、実は案外気楽に歌えるのよね。

そのノリでイタリア語も歌詞丸暗記のカタカナ発音で歌ってたら言われたのが
「ドイツ語でしょ」
ですからね。これはかなりショック。

でもそういえばイタリア語もドイツ語も、確か基本の母音は日本語とほぼ同じ発音でよいと習ったわよ。ドイツ語の場合は日本語にない発音の母音も含まれるけれど、イタリア語なんかローマ字読みでOKとまで言われたわ。

でも日本語とはほぼ同じなだけで、全く同じではないのよね。
んでこの「ほぼ」が全くもって曲者で、「イ(i)」にしろ「エ(e)」にしろひたすら言われ続けるのが
「歌う時は日本語の『イ』や『エ』と同じに発音しないでくださいね」
ということ。

それじゃちっとも日本語とほぼ同じ発音じゃないやんけ!

ま、実際のところ母音で共通している音はひとつもないようなものです。単に似ているだけね。


それは結局日本人とイタリア人の頭蓋骨の形の違いや表情筋の違いによるものなので、こと歌に関して言えば日本人がイタリア人と全く同じように歌うなんてまず不可能なんですわ。


しか~し!

教えてくださる先生方はその不可能を限りなく可能に近づけた芸大出のプロのオペラ歌手の皆様。それと同じ根性を私達一般のコーラスにも要求なさるのですよ。

無理だって!


それでもなんとかかんとか、指導の先生について全曲通せるぐらいになった頃ですよ、イタリアに留学していたソリストの方が見学にみえて
「すいません、イタリア語の発音指導してよろしいですか」
とおっしゃった。

その先生の口から流れ出る言葉ときたら、それまで私達が四苦八苦して練習した挙げ句身につけた言葉とはまるで別物。イタリア語ってそのまま音楽の如く流れる言語だったのね! と目からウロコが落ちましたわよ。

何が違うって、イタリア語のアクセントは強弱ではなく長短で表現されるということ。
強調したい部分はすなわち伸ばす。これが大体において曲のアクセントの位置とシンクロしているから、第一拍は長めに伸ばす。たとえ楽譜の中で1小節に4分音符が3つ書かれていても、ひとつめは少し長くとるのがイタリア語の歌。

――それだったら楽譜に一体何の意味があるのさ――

てな疑問はソリストの先生の情熱と押しの強さで隅に追いやられ、それからはその先生と一緒にアクセント部分ををひたすら長く引っ張って発音練習すること数回、アラ不思議、なんとなく自分達の言葉までイタリア語っぽく聞こえてきたではありませんか!


それを聞いていた元々の指導者の先生いわく
「ああ、やっぱり本場に留学すると違いますね。僕が留学したのはドイツで『第九』とかばっかり練習してましたからね」
って、おい! ひょっとして私が歌ったイタリア語の歌がドイツ語っぽい響きだったのは、先生の指導のせいですか?!

数々の疑問を残しつつも多少はイタリア語っぽく歌えるようになったメンバーも、ソリストの先生が帰られた後は元の黙阿弥、たちまちドイツ語っぽいイタリア語に逆戻りしてしまったことは言うまでもなく……。やっぱり人の真似するだけでは限界があるのよね~。

歌詞の内容を表現しなくてはいけないから意味もきちんと理解しておくようにと言われるけれど、言葉をメロディーにのせて口に出すだけで精一杯でとても意味にまで手が回りません。


そんなわけでちょっとはイタリア語を身につけようとNHKテレビイタリア語講座なんぞを見ているのですが、今度意味を理解して単語を発音してもそこにはメロディーがないわけで……。前途多難でございます。

これ、最終的には細かく繊細に感情表現をつけなきゃいけないんですが、日本語の歌でさえ感情をつけられない私にどうしろと?!


先生方、目標とする理想が高いのは結構なんですが、もう少しコーラスメンバーの現状というものに目を向けてください!