初夢、どんなのでしたか? 見てない人は印象に残っている夢教えて! ブログネタ:初夢、どんなのでしたか? 見てない人は印象に残っている夢教えて! 参加中
本文はここから先日とても美しい夢を見ました。

夢の中で、誰か話していました。
何ごとか、とても重要な事を相手と面と向かって話していたはずなんです。

――夢の常として、重要だったはずの話の内容は覚えていません。

私が話している相手は大きな窓を背にして座っていました。
その窓は、或いは開け放してあったのかもしれませんが、とにかく大きくて目線を遮る察しや枠は気にならず、相手の肩越しに窓の向こうに広がっている空がわかるのでした。

――話していた相手もとても大事な人だったはずなのですが、夢の常としてやっぱり覚えていないのです。

私達はとても真剣に話していたので、その間は私の視点は相手の顔にひたと据えられ、その人の背後にある窓や空は背景として認識されているだけでした。

夢の中で私が相手に言い込められたのか何かでふっと口をつぐんだ時です。
そういう時って、実生活上でもふっと視線を横にそらしたりしません? 直面したくないことから目を背けるように、視線が左上の方にすっと移るんですよね。相対していた相手の顔の中心から、視点がその人の頭の横上あたりにさまようんです。
まさにその通りの事を私は夢の中でもやっておりました。

――ちなみに言い負けてたら視線は下です。視線が上にある内は頭の中で反論材料を探しているってことです。

相手は窓を背にしていたのですから、当然私の視線は相手の肩越しに空を見ることになります。晴れていたので空は青いことは分かっていたのですが、その青い空の半分ぐらいが白っぽいんですね。なんだろうと思って私の意識は空に集中しました。

――この時点で話していた相手とその内容は私にとって重要ではなくなったわけです。

その白いものは、雲でした。
雲が規則正しく美しい配列で青い空の半分を埋め尽くすように並んでいたのです。
その織りなす模様が変わっていて、私の知っている雲の種類のどれとも違い、まるで透かし編みのレースを青い空一面に広げたようでした。
その目を瞠る美しさに私は思わず声をあげ、それまでの大事な話なんてどこへやら、相手にも振り返って空を見るよう半ば強制してしまいました。

「あの雲、なんていうのかしら。綺麗ね」
「あれは雲じゃない。ト…キだよ」

すると突然、それまで漂う雲として生命を持たずに幾何学模様を構成していた白いものが、一つずつの構成単位ごとに大きな白いトリの形に変わり、模様の形を保ちながらトリらしく移動しはじめたではありませんか!

――実はこのあたりで自分が睡眠中で夢を見ているらしい事実に表層意識が気づきだしているのです。
「あの雲、なんていうのかしら」と問いを発したのが夢の中で自意識を得ている自分なのですが、それに対して
「あれは雲じゃない。ト…キだよ」と答える相手もまた自分自身の一部です。
「ト…キだよ」
と、トとキの間にホンの瞬間ですが間が空いたのは、その時「トリ」と答えようとしていたその自分の一部が「ト」と言ったあとで「リ」という前に「トリ」という答えじゃ当たり前すぎてつまらないからなにか意表をつく答えをしようとして、でも漠然と思い描いた「トリ」のイメージからは離れられなくて、そこで鳥でかつ「ト」で始まり2字の名を持つ「トキ」を頭のどこかからひきずりだしてくるまで、その間だけ時間がかかった事を示しています。

その解答をしたのは確かに自分の一部なんですが、でも自意識はそこにはないので、
「あれは雲じゃない、トキだよ」
という答えを聞いた自意識を持つ「私」の方はその思いも寄らなかった答えにちゃんと驚いているんですね。

で、自意識が
「あの白いものは雲ではなくトキ=鳥の一種である」
という認識を持った途端、夢で見ている映像が雲から鳥へと変貌を遂げたわけです。

自意識、最初は単に漠然と鳥かなと思っていたので、映像も最初は漠然とした白く大きな鳥の翼ばかりが目立つ映像を見ていましたが、その内「トキ」に関する情報が追いついてきて、漠然とした白い鳥の形がなんとなくテレビの映像で見たトキの形に近くなり、色彩も鴇色――といっても飽くまで自意識が持っているイメージなんでロゼワインのような薄く綺麗なピンク色に変化していきます。

二人(自意識を持つ私と、自意識を持たない潜在意識の一部分)で大きな青い空を彩る壮大なレース模様が刻々と変化する有様の、息を呑むほどの美しさに酔いしれつつ……でもこのあたりでどうやら自分がこの情景をコントロールしているんじゃないかと気づき、それができるのは現実じゃないからで、じゃあ夢を見てるに違いない、これが夢ならじき目が覚めるだろうと思ったところで目が覚めました。

何もそこで夢だと気づかず、好きなように夢の中の現実をコントロールして思いを実現させればよさそうなものですが、「現実は自分ではコントロールできない」という認識があまりにしっかり根を下ろしているため、コントロールできる段階で「夢」だと気づき「これは夢だ」と理解した瞬間目が覚めるようにセットされてるんですよね。世の中上手くいかない(例え「マトリックス」の世界に入っても、きっと私には絶対空は飛べないでしょう。自由自在に飛べるネオの凄さが分かったわ)。


ただ、この夢は、とても美しかったので、普段ならすぐに失われる夢の記憶が多少は表層意識に焼き付いたのでしょう。おかげでこうして思い出すことができるというものです。


何百羽ものトキの白い翼がまるでレース細工の様に連なる有様。その向こうには同じ形に切り取られた空が優し青に光っていて、それは美しい光景でした。


「こんなに綺麗だから、トキはニッポニアニッポンだったんだね」
「またいつか、こんな光景が見られるようになるまで、トキが増えればいいね」

――夢の中で、最後に交わした言葉です。最後のは言葉というより、思いだけが伝わってきたのですが。