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すんも賞をゲットしようネタ

さつまいも、漢字で書いたら薩摩芋(←書いてないって)。

江戸時代、青木昆陽が薩摩藩から苗を取り寄せ、お江戸でも栽培されるようになったので一般的には「薩摩芋」と言われてますが、元薩摩藩である鹿児島県のある九州の福岡県や大分県では「唐芋(からいも)」と呼び習わしてました。「唐渡りの芋」って事なんでしょうね。なんだかエキゾチック♪ とはいえ「唐芋」を漢字でそのまま読んで「とういも」「といも」と発音するおじさん方も多数存在しました。おじさん、いえ、日本の男性諸氏はサツマイモによせる女性の熱き情熱とロマンチシズムがなかなか理解できないようです。

サツマイモ……この甘美な響きは甘さそのもの。またの名を甘蔗というように、長時間低温で加熱することでこれだけの甘みを醸し出せる食物が他にあるだろうか。果物にはあるかもしれないが、しかし日本人にしてみると果物はおかずではなくやはり食後のデザートとしてとりたいもの。カボチャも確かに甘いが、イモのようなホクホク感には少々欠ける。何よりてんぷらにした時の衣との相性がサツマイモに比べて劣るのである。

そう、天ぷらは衣が命。
薄力粉と溶き卵を冷たい水で溶いたものにさっとくぐらせ、熱した揚げ油にそっと入れるとぷわっとふくらむあの衣。
サツマイモは素揚げでも美味しいが、しかしこの天ぷらの衣を上手に纏った時のふくよかな味わいは何物にも代え難いと思う。
表面はパリっとかたいが、空気をよく含んで揚がった衣は気泡で内部はさっくりとしていて、そのちょっと口の内部に痛いような衣を噛むと、歯は天ぷら内部のほっくりした芋の中で抵抗なく合わさるのだ。歯応えもあるのに噛み切りやすく、口の中で咀嚼すれば唾液と混じって柔らかく飲み込みやすくなり、それでいて口の中にべたべたといやらしくくっつく心配もない。

パクパクゴクン、パクパクゴクン、と一定のリズムを乱すことなく一個の天ぷらを美味しく食べ終えることができる。

このリズム感の良さこそが、サツマイモの天ぷらを至高の食べ物たらしめるものだ。

実は一定のリズムで最後まで食べる事のできる天ぷらはそう多くない。

海老は尻尾が残る。食べてもいいが、その尻尾を食べる時のリズムはプリプリの身を食べる時のそれとは決して一緒ではない。

穴子やきすは皮の部分の質感が身と違うため、噛み切る時に均質な感じが得られない。

茄子やキノコ類など姿のまま挙げるものは、部位によって歯応えが違ったり、切り方によって厚みが違ったりするため、やはり同じリズムを持続して食べ続けることができない。

レンコンは穴があいているので、一部で歯が空を噛んでガチっと音を立てたりする。

かきあげになると、歯によってあたる食品が違うため、非常にバラバラな印象を受けるし、しかも噛み切りにくい食品が含まれていたりすると一口を上手く噛みちぎることさえできない。

ピーマンやカボチャはワリと均質ではあるものの、歯応えにイマイチ欠けるためにリズムの勢いに乗れない。パクパクではなく、ンクンクだと裏打ちになってしまうのでちょっと難しいのである。食事はやっぱり第一拍からきっちり噛んで始めたいではないか。しかもピーマンは彎曲しているしカボチャはカーブを描いている。これを噛み切って咀嚼すると、口の中で曲面があっちゃこっちゃ向いて落ち着かないため一定のリズムが保てないのである。

その点、サツマイモの天ぷらは完璧である。
基本の形は輪切りの円か斜め切りの楕円、四角く切ることもできるが、しかしこれらは全て厚みが一定なのだ。
そして切断面がほぼ平面なので衣も均等に付きやすい。
それを揚げるのだから当然天ぷらは非常にバランスのとれた形になる。

これを食べる時の喜び!
噛みちぎり、咀嚼する時の感動!!
ワルツでもマーチでもどんと来いだが、やはりマーチの、それも「威風堂々」が合いそうである。4小節ごとに飲み込めば丁度いいのではないだろうか?


そしてこのサツマイモの天ぷらは究極のおかずなのである。

私は女性なので、たぶん多くの男性よりも甘いものが好きである
だから食事中に甘い物を食べるという誘惑は捨てがたい。
しかし酒飲みでもあるので糖分は間に合っているから、おかずに砂糖を使って甘みを足ししたものは欲しくない。
胃壁の保護のために脂肪分はとらなければならないし、中性脂肪を肝臓に貯めないようタンパク質もとらねばならない。だが一般的な酒のツマミ類は塩分が多いので控えねばならない

この欲求を完璧に満たしてくれるのがサツマイモの天ぷらなのだ。
サツマイモは本来甘いが、それを低めの温度でじっくり揚げることによってより甘さを引き出し、さらに衣で包むことによってその甘さを外に逃がさず全部閉じ込めているので、より一層甘くなっている。甘いが、砂糖を直接調味料として使ったもの程は刺激が強くないのがいいのである。

衣にしみ込んだ揚げ油も風味を添えるし、小麦粉の香ばしさも隠し味になる。
同時に脂肪分と小麦由来のタンパク質も摂取できる。
天つゆにつけなければ塩分はないし、天つゆを使うにしてもさっと浸すぐらいならさほど気にすることはない。

しかもサツマイモには繊維質とビタミンCも豊富なので、飲んだ次の日の目覚めもお通じもすっきりさわやかなのである。

これほどすぐれた天ぷらの食材、いや食品がまたとあろうか?!


世界にはポテトチップスをはじめフレンチフライやフィッシュアンドチップスといった「揚げたジャガイモ」が名物になっている国も多いのに、何故「揚げたサツマイモ」は名物にならないのだ?

いわばジャガイモの蒸し焼きであるスタッフドポテトは今やイギリス観光の目玉的食品にまで成り上がろうとしているのに、日本の石焼き芋は何故未だに冬の風物詩で、うら若き女性が人目を忍んで買いに行くようなどこか日陰のイメージをひきずっていなければならないのだ?

何故、それだけで完璧に美味しいサツマイモに、さらにバターやらクリームやら砂糖やら卵やら足して、そりゃ贅沢で美味しいお味かもしれないが健康には頗る悪そうなスイーツに仕上げなくてはならないのだ?

今こそサツマイモの復権を!!!


まずはサツマイモの天ぷらをフィッシュアンドチップスなみに街の屋台で買えるようなファーストフードとして定着させ、日本観光の目玉食品の一つに押し上げること。天ぷらをいつまでも高級食扱いしてたら、不景気の昨今海外から来る観光客など誰も食べなくなるのは目に見えている(フライ類は各国にあるんだから)。

それから石焼き芋を胸を張って買えるようなオシャレな食品にするためのイメージアップ大作戦。ここはもうブランド頼みしかないでしょ。シャネルのゴージャスな紙袋にくるまれた上品な石焼き芋のポスターを各雑誌に載せる事からはじめましょう。なんだったらプラダでもいいや。とにかくシックな石焼き芋のプロデュース。これしかない。


薩摩芋、唐芋、琉球藷、甘蔗の様々な呼び名はそれぞれの地方にどこから渡って来たかを示すものだ。つまりサツマイモは元から日本で食べられていた植物ではない。その外来種の作物が今日何故これだけ日本各地で広まっているのか。

それは、サツマイモが飢饉に備えて栽培されてきた作物だからだ。戦時中、米の代わりにサツマイモばかり食わされたおかげで戦後はサツマイモを見るのもいやになったと語る男性の話はよく聞くが、忘れていけないのはその人がサツマイモを食べられたおかげで餓死を免れたということ。米がなくて、サツマイモもなければ、もっと多くの人が飢餓で命を落としていただろう。

今、この時代、私達はいつ食糧危機に見舞われるか分からない。
日本は今豊かだからお金さえあれば各国から食料を輸入することができるが、それだっていつまで続けられるか分からないのである。
それなのに日本の食糧自給率はあまりに低い。

せめてサツマイモぐらい作って、いざとなったらそれで命をつなげるような工夫は今からしておくべきなのではないだろうか。

勿論そのキャンペーンではサツマイモの天ぷらを大々的に売り出すのである。

今だったら篤姫の名前を出せば絶対成功すると思うな。
篤姫のご実家、島津家といえば薩摩藩ですもんね。
和食ではサツマイモは丸十と呼ばれるけど、それは薩摩藩島津氏の家紋が丸に十字であることが由来と言われるそうで。

「篤姫の天ぷら:丸十」
とでも名付けて大々的に売り出せば、国際的にも人気を呼ぶ事間違いなし。

各国のガイドブックにサツマイモの天ぷらが日本の名物として載る日も近いかも♪