「13日の金曜日」 公式サイト


「13日の金曜日」を13日の金曜日に見る!

これは「ハロウィン」をハロウィンの10月31日に見るのと同じくらい意義のあることだと思います!


よーするにもはやイベントムービーとしての価値しかないということですな、ホラーのリメイクなんて。


だって恐くないんだもん、全然


お客さん達は映画が始まる前からカノジョがカレシにべったりへばりついてるカップルとか、ジャレッド・パダレッキ目当てと見えるねーちゃんの集団とか、ホラーなら何が何でも見ると気合いの入ったおじちゃんとか様々でしたが、上映中はいずれも静かなもので悲鳴もなければ喚声(え?)もなし。


だって恐くないんだもん、全然


この手の映画って、いかに殺されても惜しくないキャラを創出するかが工夫のしどころなんですが、リメイク「13日の金曜日」はそれに成功しすぎているのか、誰が殺されても何も感じないんですわ。殺され役の種類も「馬鹿な今時のアメリカの若者」にほぼ限定されているので、バリエーションがないというか。日頃そういう手合いに悩まされてうんざりしているアメリカ人が見たら快哉を叫ぶのかもしれないけれど、日本人の私が見たってどこまでも他人事。


あまりにも他人事すぎるので、ジェイソンが彼らを殺戮してるのを見てても害虫駆除を見物してるのとそう変わらない感慨しか覚えないのでした。いや、ゴキブリ見る方がまだ恐いな。


どうして恐くないかというともう一つ大きな理由があって、これはマイケル・ベイプロデュースで作られたリメイク「テキサス・チェーンソー」シリーズや、リメイク「ハロウィン」見た時にも感じた事なんですが、殺人鬼達が完全に現実の人間なんですよね。彼らにはこういう経緯があったから、今こうして殺人鬼として生きている、みたいなストーリーがとってつけたように映画に組み込まれているのですわ。ま、「13金」の場合「ハロウィン」ほどマザコン的ないいわけがない分、清々しかったですがね。でも「テキサス・チェーンソー」ほど必要に迫られて殺してる感はなかった。その中間にあってどっちつかずな分、キャラクターとしてはつまらないものに成り下がってたかな。


殺し方は多彩で「ソウ」シリーズのように勿体ぶってないからスッキリしてていいんだけど、その分被害者が感じる恐怖が薄いのも恐くない理由の一つですね。悲鳴は派手にあげてるんだけど、全然恐くない。だってあまりにも「ホラーで殺される典型的なおねーちゃん」達すぎるんだもん。おっぱい見せたら次は死ぬ、みたいなパターンができあがっちゃてるとさ、もうこっちは感情移入もしないわけだから。


殺人鬼のバリエーションは映画のハンニバル・レクターに始まって「CSI」や「クリミナル・マインド」で知的な方にも広がっているわけだし、殺し方のバリエーションは「ソウ」シリーズが劇的に広げたから、今更ジェイソンがカムバックしても入る余地はないということなのかもしれません。


ジェイソンってさ、普段死んでるのに人を殺す時だけ生き返るっていう、そんな雰囲気が恐かったんだよね。だからホラーだったんだけど、普段から生きててしかも生活してるジェイソンでは出てきてもホラー的な恐怖は感じませんですよ。私はホラー映画がみたいのであって、殺人マニアの映画を見たいわけじゃないんだよね。


でもま、ジャレッド君目当てで初めて「13日の金曜日」シリーズを見ましたという雰囲気の女の子達はあとから「恐かったね」なんてささやきあってたので、初心者(なんの?)には充分恐いのかもしれません。