春を感じる瞬間は? ブログネタ:春を感じる瞬間は? 参加中
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そのまんまですよ。
虫の最初の一匹を見た瞬間、ちっ、もう春かと思いますね。

厳密には「啓蟄」は

冬ごもりの虫が地中からはい出るころ。太陽暦で3月6日ごろ

という事なんで、厳密には土から出てくる虫を見なけれそれには当たらないのかもしれませんが、最近じゃあ身の回りにそもそも土がほとんどないので、なかなかそういう出来事に遭遇するチャンスもないんですよね。

でも、マンション住まいでも、虫はどっかから飛んで来るもので、冬だと思って網戸をせずに窓を開け放していたらいつの間にか小さな虫が家の中に侵入してることがあるんですよ。種類は問いませんが、小さな羽虫だったり蚊だったり蝿だったり、とにかくそういう虫が部屋の中にいるのを見かけたら春が来たんだなと思います。

その虫が万が一ゴキブリだったら、すぐさまドラッグストアに走ってゴキブリ駆除用の薬を買ってきて家中に仕掛けます。

蚊だったら、電気蚊取りその他の準備。春が来たなら、夏はすぐそこ。暑くて湿度の高いいやな季節がやってくる――北海道育ちの私にとって、本州の春は到来が待ち遠しいものではないのです。



北海道に住んでいた頃は、風から痛い冷たさが消え、柔らかくて気持ちの良い……本当に肌触りがよいとしか言えないような優しい空気を感じた時に春の息吹を感じたものです。まだ寒いんだけど、でもマフラーをはずしてその風をなるべくたくさん肌に受けようとしたりして。

雪はどっしり積もったままだから虫なんてもちろん出てくる状況じゃないので、啓蟄なんて言葉は辞書上のものでしたが、でも照らす日光が雪の表面を解かし始めるその瞬間の変化とか、家の中で暖房をつけなくても日だまりの中なら暖かくて心地よい時とか、春の訪れを感じられる状況はたくさんありました。

単純に、暖かいのが嬉しかったです。
そういう時は空気がどこかから春の匂いを運んで来るんですよね。活動を始める樹木からたちのぼる僅かな「気」みたいなものを感じ取るような……それこそ冬ごもりしている動物たちが暖かくなったので身じろぎした時に匂いがこぼれたような……そんな自然の匂いです。雪の上を渡ってくるから、他の匂いが交じらないんですよ(←どれだけ人里離れた所に住んでたんだ)。


ま、気持ちいいのは雪解け前だけでね。
雪が溶けると道路はぐちゃぐちゃで、靴は濡れるし汚いし、冬の間雪で覆われていた道路には犬猫の糞がいっぱい落ちてるし、春先の北海道もロクなもんじゃありません。

その頃には当然虫も出てきまして。
北海道で春を告げる虫、それは「ワラジムシ」、ええ、昆虫じゃないけど、ムシはムシ。ダンゴムシに似てるけど茶色っぽくて丸まらないヤツ。

これがですな、ちょっと暖かくなるとどこかから家屋へ侵入してきまして。特に古い家なんかで、土間があったりお風呂の設備が古かったりすると喜んで集まります。

それも何故か壁につくんですよね。
地面だったらまだしも保護色で目立たないものを、白壁にわざわざのぼりにくる。

朝、そういうワラジムシ好みの部屋のドアを迂闊に開けたりすると、壁一面にワラジムシがみっしりはりついているのを見て卒倒しそうになります。動いてるしね、あれ。

別に何か悪さするわけじゃないらしいですが、家には侵入して欲しくない。いや、一匹二匹なら目こぼしもありえますが、百匹や千匹単位はごめんこうむります。思わず火炎放射器持って来て家ごと焼き払いたくなるもの、マジ。



そのワラジムシの出現と時を同じくして出てくるのが、子ども達。
冬の寒い間はあまり家から出ず、外で遊ぶことのなかった子ども達が暖かくなると途端に道や公園にあふれてくるんですよね。ワラジムシ同様、今まで一体どこにいたの? という感じで。
そしてそこここで歓声をあげて遊び出すんです。
やっぱり人間、暖かくなるとそれだけで嬉しいんですよね(もしもワラジムシに感情があったら、やっぱり春は嬉しいのに違いない)。


家の中でワラジムシの壁を見つめつつ、外から響いてくる子ども達の声を聞く、これが北海道の「啓蟄」。
ああ、春が来たのねとしみじみ思ったものでした。