「ベンジャミン・バトン」とは対照的に、肩の力の抜けたお気楽演技を楽しそうに披露しているブラピがそれだけでカワイイ! お人好しでおバカな高校生がそのまま大人になりました、って雰囲気が超似合ってました♪
ブラッド・ピットって、「トロイ」のアキレスとか「インタビュー・ウィズ・バンパイア」のルイとか「ベンジャミン・バトン」のベンジャミンのように人間離れした役を演じている時は神々しいまでに美しいのに、「テルマ・アンド・ルイーズ」とか「スナッチ」みたいに何を言ってるのかわからない役の時にはめちゃくちゃ可愛いんですよね。そして「オーシャンズ」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」のようなエキスパートを演じている時はかっこいい。いろんな側面を持つ俳優さんなのだと思います。
で、「バーン・アフター・リーディング」で見られるのは可愛いブラピ♪ これは貴重です♪ 彼の無邪気な可愛さがこの映画を支えているといっても過言ではありません。
お話の方は、コーエン兄弟が監督でフランシス・マクドーマンドが出ているといえば映画ファンなら誰でもすぐ思い出す「ファーゴ」、あれの現代版といえましょうか。
今という時代を鋭く切り取とり、表面お上品な暮らしをしている夫婦の真実を暴き出して笑いものにしてる……んでしょうが、どうもそれがアメリカ限定の「今」であり、アメリカ限定の「成功した金持ち夫婦」の話らしくて、乏な日本人である私には全くピンとこないものでした。ブラピのシーンを始め、幾つかわらいどころはあるのですが、どうもどれブラックすぎて、最終的には陰惨なものになるのがコーエン兄弟で……。ちょっと辟易。
「ノーカントリー」だとその時代がどうであったか、時間をおいた今なら日本人の私にもなんとなく理解できたのでまだおもしろかったのですが。
どうもね、プラピにしろジョージ・クルーニーにしろ、普段と違う役を演じられること自体を楽しみすぎというのか、完璧な役作りしているように見えて深みがないんですよね。全部ミエミエでキャラに意外性がないんです。それはフランシスにしてもティルダ・スウィントンにしてもジョン・マルコヴィッチにしても同じ事で、監督が「どうだ、俺達はこんな名優にこんな役を、喜んで演じさせることが出来るんだぞ」的な自己満足の趣きがそこはかとなく漂っているというか。
コーエン兄弟のファンにとってはたまらないかもしれませんが、ちょっと毒が強くて一般受けしないんじゃないかな、というのが正直な感想です。