ブログネタ：今でも戻ってきてほしい失くした物
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人魚姫のように純な恋に苦しんでこぼす真珠のような大粒の涙、過去のどこかでとっくになくしてしまったそれにもう一度戻って来て欲しいですね。できればこぼした涙がそのまま真珠になってくれればもっといいんだけど。あれ？ 「人魚姫」ってそういう話じゃなかったっけ？（←アンデルセンに謝れ！）
私、真珠大好きなんですよね、誕生月は１２月だから全然違うんですけど。
真珠の乳白色の輝きって日本人のお肌の色をひきたててくれるような気がしません？
この写真は５．５㎜玉ですが、私が持っていたのはもう一回り大きい７㎜玉。過去形で書いているのは買ってすぐになくしてしまったからです。今思い出してもこれは悔やまれます。
中学校の時の同級生で東京の大学に通っていた友達が卒業して半年ぐらいで大学の時の彼と結婚することになり、仲良しだった私ともう一人の友達が代表して札幌から結婚式に出席することになったんですよね。
友達の結婚式に出席するのは初めてだってんでそりゃ気合いが入りまして。気取らない結婚式だというので二人とも洋装でいいよねという事になったんですが、一緒にドレスを見立てたり靴やバッグを買いに行ったり。
もちろんアクセサリーもコーディネイトというので奮発したのが７㎜玉のピアスです。スタンドカラーの服にしたので、ネックレスの入らない分予算をピアスにつぎ込んだというか。
で、飛行機やホテルの予約もバッチリ済ませ、上京まで一週間をきったある夜のこと、私のおなかがチクッと痛んだんです。
人生も２０年以上やってればいろんな腹痛のパターンは知っているもの。ストレスで胃が痛いのか悪いもの食べて腹下しなのかそれとも便秘で苦しいのかという通常の腹痛ならそれなりに自分で対処する方法もあります。
でもね、その時経験したのはかつて覚えのない痛みだったんですよ。体の奥の方で、内臓がちくちくという刺激を感じ続けている、消化器系とは関係のない痛み。場所を探ると右の下。
やばい……。
これは盲腸に違いない。
即、確信です。
私と年齢の近い伯母や友人が盲腸になった時と同じ場所ですから。
その時考えたのが
「今病院に行ったら結婚式に行けなくなる」
でしたよ。いや、マジ。
当時、盲腸というと即手術が普通でしたからね。
今考えれば、すぐに病院に行けば薬で散らすなりなんなりの対処があったのかもしれないんですが、その時は病院に行ったらソッコー入院、即手術としか思いませんでした。
大体私の身の回りにいる人（親兄弟親戚友人）はそういう状況に陥った場合、まず間違いなくとっとと手術を受けさせるであろういうのも確信してましたしね。絶対結婚式の方をキャンセルさせられます。
でも真新しいドレス！ 靴！ バッグ！ それに真珠のピアス！！
この時期に合わせて買ったものだから、ここで結婚式に出席しなかったらいつまた身につけるチャンスが巡ってくるか分からないじゃないですか！！！
それに友達には中学の時から
「あなたが結婚する時には私は絶対出席する。だから間違いなく呼んでね」
何度も念を押して誓っていたんですから！！！
というわけで、私はその腹痛を誰にも言わずに押し隠しました。いや～、一週間、痛かったですね～。
飛行機が羽田を飛び立ったあとで同行の友達に実はかくかくしかじかなので、もし東京で緊急入院になったら私を見捨てて帰ってくれと初めて打ち明けたりして。友達、優しいので、そうなったら会社を休んで私に付き添ってくれるなんて言ってました。
そうしたらますます腹痛なんて明るみに出せないじゃないですか！
何ごともないような顔で結婚式と披露宴に出席し、幸せいっぱいの新郎新婦を新婚旅行へと見送ったあとはもう青息吐息。
全てが無事に終了し、ドレスと靴とピアスをしまって帰途につこうとした時、ピアスのケースを忘れたことに気づきました。ええ、自慢のピアスですからね、家を出た時からつけていたんです。でももう、いつ腹痛でのたうちまわるか分からない状況なので、ピアスもはずれてどこかに飛んで行ったりする前に外してしまいたかったんですよ。仕方がないので、外したピアスは丁寧にティッシュにくるんでバッグの奥へとしまい込みました。
札幌にはなんとか無事到着し、やっとの思い出家に帰り、その日はもう遅かったのでバッグなんかは適当に片付けたまま、翌日は病院で手術（当然盲腸）を受けそのまま１０日間の入院と相成りました。
だからね、ドレスや靴やバッグのことなど、すっかり忘れてしまっていたのです。
もちろん真珠のピアスの事も。
その後半年か１年して、あの時適当に片付けたままだったバッグをしまい直そうとして中身を改めたところ、奥からティッシュの塊が出てきました。
綺麗な包みになってはいますが、所詮はティッシュです。
ゴミだろうと思ってそのままポイっと捨てちゃいましたよ。
――ええ、中に７㎜玉のピアスを大事にしまいこんだままね。
その後大事なピアスを幾ら探しても見つけられなかった時、初めてその恐ろしい事実に思い当たったのですが、もちろんとっくに後の祭り。あのティッシュは中に真珠を入れたまま燃えるゴミとして焼却炉の藻屑に消えた事でしょう……ああ！
それからというものどうも真珠とは御縁がないらしく、上海で金と淡水パールの細工もののネックレスは渋谷で飲んでる内にいつの間にか消え失せているし、ピアスをなくして落ち込んでいた母がくれたイヤリングも別な結婚式で飲んで帰ったらいつの間にか片方なくなっているし。
極めつけは大事にしていた二連のネックレスが海外で海外旅行の途中盗難にあったことですね。これは保険をかけていたのでいくばくかはお金として戻って来ましたが、大事にしていた私の気持ちは奪われたままです。
それでもやっぱり真珠が好きで、アクセサリーといえばついつい真珠に目がいってしまう私です。値段も手頃でデザインが可愛いのがたくさんあるしね♪
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ああ、あの時のピアス、間違って別のバッグに紛れ込んでいたりしないかなあ！（←ない）
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