シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)


今週のチャート・トップを飾ったのは、ハズブローの玩具からテレビアニメになり、この夏ついに劇場用超大作となって戻ってきた映画『G.I.ジョー』だった。

 代わって今週の第2位は、夏の超大作に食傷気味だった大人の映画ファンが詰めかけて、2,003万ドル(約20億300万円)をたたき出したメリル・ストリープとエイミー・アダムス主演の新作映画『ジュリー&ジュリア』(原題)。料理家のジュリア・チャイルドの回顧録「マイ・ライフ・イン・フランス」とジュリー・パウエル著「ジュリー&ジュリア」という2つの書物を基にしたこの作品は、女性に大人気だった映画『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』でおなじみのノーラ・エフロンの監督作品。配給のソニー・ピクチャーズによると『ジュリー&ジュリア』(原題)を観に来た観客層の64パーセントが35歳以上、67パーセントが女性客という結果が出ている。初秋にピッタリといった感じの映画である。


 今週第3位をキープしたのは、小動物たちが大活躍のディズニー実写3D映画『Gフォース』(原題)で987万ドル(約9億8,700万円)。この結果、先週第2位だった映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を、今週になってから打ち負かした形となった。今回のハリポタが醸し出している少々暗いイメージに比べると、かわいいだけでなくアクション凝縮でストーリーも面白く、子どもだけでなく大人も楽しめるという点が『Gフォース』(原題)の強みになったと思われる。


 先週の第2位から50.1パーセントの売り上げ減で、第4位に転落してしまった『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の、今週の成績は893万ドル(約8億9,300万円)。とはいうものの、ハリポタは封切り後26日にして国内興行成績のみで総額2億7,384万ドル(約273億8,400万円)というすごい額の売り上げを記録している。


 さて今週のトップ10の中で、下降率ナンバーワンを記録してしまったのは、第5位の映画『ファニー・ピープル』(原題)。今週の興行収入は799万ドル(約7億9,900万円)と、先週の第1位から64.8パーセントの収入減で、急下降してしまった。


 次週のランキング予想だが、超大作系は見当たらないものの曲者な作品がいくつかスタンバっている。その筆頭は、久々にメガホンを取ったクエンティン・タランティーノ監督映画『イングロリアス・バスターズ』。ブラッド・ピット主演で、ナチス占領下のフランスが舞台の作品だ。この映画でブラッドと共演しているイーライ・ロスは、映画『ホステル』シリーズで大成功した監督としてよく知られている人。とはいうものの俳優としてもヤル気満々らしく、タランティーノ監督作品の映画『デス・プルーフ in グラインドハウス』をはじめ、いろんなB級映画にチョイ役で出演している。ワールド・プレミアではかなり好意的な評価を得ているようで、国内でのパフォーマンスが期待されている。


 『イングロリアス・バスターズ』に対抗するのは、SFスリラー映画『ディストリクト9』(原題)。映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの監督ピーター・ジャクソンがプロデューサーとして参加しているエイリアンものだ。特撮ものが好きなSFファンには楽しみな作品だが、この映画に対してスタジオ側のPRの方向性が徹底していない感があり、いまだに何を扱ったどんなストーリーなのかまったく検討がつかないので、観に行く気がしないという一般映画ファンの声も聞かれている。この状況が興行成績にどういった影響を及ぼすかが興味深い。


 さて、最後にトップ5に食い込む可能性が大いにあるのが日本の誇るスタジオジブリが手掛けた宮崎駿監督の最新作アニメ、映画『崖の上のポニョ』のアメリカ版である。夏休みも終盤を迎えて観る映画がなくなってきた親子連れから、良質アニメの好きな映画ファン老若男女がこぞって劇場に繰り出す可能性を秘めている。週末同時期にロバート・ロドリゲス監督の子ども向け実写映画『ショート』(原題)も公開されるので、『崖の上のポニョ』とのトップ5争いになることも予想される