シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

>22日、第22回東京国際映画祭の特別企画・映画人の視点というプロ グラムで、真田広之による「映画人、真田広之の世界」というトークショーがTOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催された。夜の12時から翌23日の深夜2 時まで繰り広げられたトークショーには、深夜にも関わらず客席はほぼ満席で、熱心なファンたちは深夜ならではのトーク満載の“真田ナイト”を楽しんだ。

 久しぶりに日本のファンの前に姿を現した真田は、現在ハワイで撮影している海外ドラマ「LOST」シリーズ最終章の撮影現場から来ただけあり、ヒ ゲも髪も伸びたかなりワイルドな出で立ちで登場した。真田は深夜に集まってくれたファンたちを喜ばせようとしたのか、普段はあまり話さないようなぶっちゃ けトークを次々と披露した。5歳で子役デビューしたことや、子役当時に高倉健の息子を演じたこと、アイドル・アクション俳優と呼ばれることに違和感を抱い ていたことなど、貴重なネタの数々に、観客の中には驚きを隠せず「へえ~」と声を漏らす人もいた。


 さらにイベントは続き、真田にとってゆかりの映画人たちが次々と登場した。原田美枝子、映画『おくりびと』の滝田洋二郎監督、浅野忠信などが真田 との裏話を披露する中、会場の盛り上がりが最高潮に達したのは、唐沢寿明が登場したときだった。二人の出会いは、20年近く前に真田が主演した舞台で、当 時無名の唐沢が裏方として働いていたとき。真田は集合時間の3時間も前から現場に入り、発声練習やウォーミングアップなどを欠かさなかったそうだ。スト イックに仕事に打ち込む真田の姿を見た唐沢は、感動したのと同時に、真田の体が心配になったという。そこで、真田がいつ倒れても自分が代役を務められるよ うにと、誰からも頼まれていないのにセリフを覚えたり、真田より早い4時間前に現場に入ったりして練習をしていたという。真田も一生懸命な唐沢の存在に気 が付いていたそうで、「こいつは来る!」と思っていたことを明かした。今やお互いに日本を代表する俳優となった二人の知られざるエピソードの数々に、観客 たちは大満足といった様子だった。


 その後の観客とのQ&Aでは、俳優志望の学生から、「今から俳優を目指すのは遅いですか? 一体何をすれば?」と質問が投げかけられた。 すると真田は「まず自分がどうなりたいのか具体的な目標を立て、それに向けて自分磨きをすること。あとは、人との出会いを大切にして、自分の周りの環境づ くりをすること」と2つの教えを伝授した。この教えの中に、子役、アイドル・アクション俳優、演技派俳優を経て、今や海外で活躍する国際派俳優になった真 田の進化の秘密が垣間見られた気がした。


 この日、ゲストとして登場した真田の仕事仲間たちは、口をそろえて「真田さんは誰に対しても平等に気配りする人!」と太鼓判を押していた。その言 葉通りイベント中の真田は、ちょっとしたしぐさで観客を喜ばせて盛り上げたり、自分のために集まってくれた仲間には必ず両手で固く握手を交したりと、随所 にその人柄がにじみ出ていた。そんな真田だからこそ、今の成功があり、今後の活躍があるのだろう。