東京ウォーカー より(以下一部抜粋)

>景気が低迷するとホラー映画がヒットする、というのはよく聞く話。確かに、世界恐慌下で大ヒットした『フランケン シュタイン』(31)をはじめ、経済の低迷期にホラー映画の秀作が生まれた例は数多いが、バブル全盛の80年代にもスプラッター・ホラーの大ブームがあっ た。不況とホラーの関係、その真相は?
 

不況時にホラーが流行る理由として「ギャーギャー騒いでスッキリする」「暗い世相を反映している」と言われる。だが、号泣ドラマや爆笑コメディでも、同じ ぐらいのスッキリ感が得られるし、優れた映画の多くは無意識に世相を反映しているもの。たとえばゾンビ映画の金字塔『ナイト・オブ・ザ・リビングデッ ド』(68)はベトナム戦争の暗喩だというのが定説だが、ジョージ・A・ロメロ監督にその意図はなかったという。

ただ、不況になるとホラー映画が増えるのは事実らしい。人間が本能的に恐怖を抱く「暗」と「狭」に着目したイギリスの洞窟ホラー『ディセント』(06) が、低予算の小品ながらスティーブン・キングに絶賛され大ヒット。同じく低予算で続編『ディセント2』(公開中)が作られたように、アイデア一発で勝負で きるホラーは製作費が安く済むからだ。

数が増えればそれだけヒットの確率も高くなるわけだが、それではあまりに味気ないので、こんな新説はいかが── 「六本木」が「ギロッポン」となる業界用語方式で、「不況」を訳すと「キョウフ(恐怖)」。不況とホラーは表裏一体。不景気にホラー映画がヒットする可能 性は限りなく高いのだ。




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「アイディア一発で勝負」っていうけどさ、そのアイディアは決してその場の思いつきではないのよ。
かといって世相を暗喩で表現しようなんてトライでもないと思う。いや、たぶんそういうホラー作品はあったところでおもしろくない。

すぐれたホラーは人間性の本質を鋭くえぐるもの。
映画監督は詩人と同じ、すぐれた洞察力を備えた人だけが後世まで語り継がれる。

今日の深夜(11月16日)2時30分からWOWOWでロメロの
「ダイアリー・オブ・ザ・デッド 」があります。
現在ホラー映画のみならずゲーム界でも「ゾンビ」の一言で通用するリビング・デッド達のオリジナルを世に生み出した監督の、当時と変わらぬ斬新さに円熟味を加わった傑作をこのライターさんは見ればいいわ。

安上がりの作品で儲けようというばかりがホラー映画を作る動機ではないのよ(ま、確かに大半は儲け第一主義であるのを私も否定はしませんがね)。