シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

人気俳優のベン・フォスターと、オーレン・ムーヴァーマン監督が新作映画『The Messenger』(原題)について語ってくれた。本作は、兵士の遺族に戦死を通知するメッセンジャーを任せられた若手兵士とベテラン・メッセンジャー のドラマ。ベルリン国際映画祭で脚本賞を受賞するなど、注目のインディペンデント作品。オーレン監督は、ボブ・ディランの半生を斬新な構成で描いた映画 『アイム・ノット・ゼア』の脚本家としても知られる人物だ。

 兵役経験のあるイスラエル出身のオーレン監督は「わたしが兵役していたころのレバノンは、現状況のように攻防の続く戦地ではなかった。しかし兵役 を終えて家にたどり着いたときは、まるで違った世界に帰ってきた感覚を味わった記憶がある。そういった体験を、俳優たちに伝えることができた」と明かす。 ちなみに本作制作のために、映画『ジャーヘッド』の原作者であるアンソニー・スオフォードからも体験話を聞いたそうだ。


 一方ベンは、戦地で手足を失った兵士が収容されている機関、ウォルター・リード・ファシリティーを役づくりのために訪れたという。「あの場所で、 いろいろな話を聞かされた。新聞やインターネットに載せられた統計と違い、実際に負傷者を目の当たりにした体験だったから、本当に身震いしたね。あの場所 では手足を失った兵士のために、強力な防腐剤が使われていたから、しばらくそのにおいが鼻から離れなかった。あの負傷した兵士たちの状況は本当に衝撃だっ たね」と貴重な体験を語る。


 オーレン監督の好きな戦争映画は映画『地獄の黙示録』で、「兵役していたころは何度も観ていたよ。特に現実から幻想的になり、狂気に変わっていく 展開がすごくリアルに感じるんだ。ほかにはハル・アシュビー監督の映画『帰郷』にも影響を受けたかな」とのことだ。ベンとオーレン監督がウォルター・リー ド・ファシリティーを訪問した際、19歳の兵士から「最近のハリウッドが作るダメな戦争映画と同じなら、絶対観に行かない!」と言われたらしい。しかし完 成した作品は批評家のみならず、兵役を体験した人々からも高い評価を受けている。