「インフォーマント!」公式サイト
スティーヴン・ソダーバーグ監督が、「オーシャンズ」シリーズでは何故かいつもミソッカス(死語?)扱いされているライナスを演じているマット・デイモンを主役に迎え、実話を元にして(ただしセリフは誇張されているそうです)作った笑えるコメディ。ええ、館内、時に爆笑が渦巻いてました。
内容についてはネタバレを避けるとほとんど何も書けないので、ここでは他作品との比較で書きますが、たとえば鳴り物入りのコメディとして紹介された「バーン・アフター・リーディング 」が、やはり「オーシャンズ」シリーズにメインキャラで出演しているジョージ・クルーニーにブラッド・ピット、さらにはジョン・マルコビッチまで出してアカデミー監督のコーエン兄弟が監督しているにも関わらず全くおもしろくなかったのに比べれば、「インフォーマント!」は日本人が見ても充分通じるところのあるコメディだったと言えるでしょう。
いやもう、ひたすらマット・デイモンを注視しているだけのような映画なんですが、そのマット君の動きがあまりにおかしくって……! 別にウケを狙って滑稽な演技をしているわけではないのですが、役になりきってる彼の、その真摯な考慮の結果である行動が、はたで見てると笑いを誘わずにはいられないんですよね! あのジェイソン・ボーンが、平凡で小心者の小市民がびくびくどきどきしている様子を演じているんですから、それだけで見る価値は充分ですってば。
役作りのために体重を増やしたマット君の外見は、一見すると「プレデター2」に出てきた時のゲイリー・ビジー(例の最もセクシーじゃない俳優ね)によく似てまして、確かに全くセクシーにも精悍にもかっこよくも見えません。妙な髭もじじむさいし。
それでもこのマーク・ウィテカーという役には、ちゃんとジェイソン・ボーンとの共通点があるんですよ。
彼も実は自分が何者かよく分かっていない人物で、そしてそんな彼を支えているのが愛する妻なんですが、この妻がまたマリー同様どんな環境の変化にも即座に対応できる強い精神力を持った女性なんですな。マリーがジェイソンを愛したように、この妻ジンジャーも深くマークを愛しています。
上では単に「環境の変化」と書きましたが、そこはそれ、ソダーバーグ監督ですから細かな仕掛けがいっぱいあるのですよ。でもそれがごくごくさりげなく置かれているので観客は?と思いながらもついそのまま流してしまうんですよね。まあほんと、実に上手い監督ですわ。
マット君の演技も監督の手腕も、あまりにも上手なため、その上手の「手」がスクリーン上に跡を残していないのです。物語の中心は淀みなく流れ、ごくまれに岸辺の方でちょっとした波しぶきが上がっていたとしても、滔々と流れる本流の前には見過ごされてしまいます。
以前、上手だがその自分の上手さに監督が(実は役者も)酔っているのが難であると書いたのは「笑う警官 」でしたが、それとは全く正反対に監督も俳優も自分が上手い事を熟知した上でそれを見せないために細心の注意を払っているのが「インフォーマント!」です。
「笑う警官」をカラオケの演歌喉自慢大会に例えるなら「インフォーマント」は最高の管弦楽団。得意な曲はラヴェルの「ラ・ヴァルス」あたりでしょうか。
ゲラゲラ笑いながら見ている内に、なんだか抜き差しならない状況にはまりこんでしまうような、そんな作品。ソダーバーグは「オーシャンズ」シリーズでも、始めた「仕事」がいつの間にか膨れあがり自分達の手に余るようになって右往左往するキャラ達を描いてましたが、そのコンセプトは「インフォーマント!」でもそのまま生かされていました。「オーシャンズ」よりはかなりブラックな度合いが強いですが、それでも「バーン・アフター・リーディング」程の毒気はありません。
某日本企業の名前が実名で出てたりして、日本人にとってもなかなか勉強になる映画です(以前ご紹介した 神田瀧夢さん はここに出てます♪)
機会がありましたら是非御覧ください♪
スティーヴン・ソダーバーグ監督が、「オーシャンズ」シリーズでは何故かいつもミソッカス(死語?)扱いされているライナスを演じているマット・デイモンを主役に迎え、実話を元にして(ただしセリフは誇張されているそうです)作った笑えるコメディ。ええ、館内、時に爆笑が渦巻いてました。
内容についてはネタバレを避けるとほとんど何も書けないので、ここでは他作品との比較で書きますが、たとえば鳴り物入りのコメディとして紹介された「バーン・アフター・リーディング 」が、やはり「オーシャンズ」シリーズにメインキャラで出演しているジョージ・クルーニーにブラッド・ピット、さらにはジョン・マルコビッチまで出してアカデミー監督のコーエン兄弟が監督しているにも関わらず全くおもしろくなかったのに比べれば、「インフォーマント!」は日本人が見ても充分通じるところのあるコメディだったと言えるでしょう。
いやもう、ひたすらマット・デイモンを注視しているだけのような映画なんですが、そのマット君の動きがあまりにおかしくって……! 別にウケを狙って滑稽な演技をしているわけではないのですが、役になりきってる彼の、その真摯な考慮の結果である行動が、はたで見てると笑いを誘わずにはいられないんですよね! あのジェイソン・ボーンが、平凡で小心者の小市民がびくびくどきどきしている様子を演じているんですから、それだけで見る価値は充分ですってば。
役作りのために体重を増やしたマット君の外見は、一見すると「プレデター2」に出てきた時のゲイリー・ビジー(例の最もセクシーじゃない俳優ね)によく似てまして、確かに全くセクシーにも精悍にもかっこよくも見えません。妙な髭もじじむさいし。
それでもこのマーク・ウィテカーという役には、ちゃんとジェイソン・ボーンとの共通点があるんですよ。
彼も実は自分が何者かよく分かっていない人物で、そしてそんな彼を支えているのが愛する妻なんですが、この妻がまたマリー同様どんな環境の変化にも即座に対応できる強い精神力を持った女性なんですな。マリーがジェイソンを愛したように、この妻ジンジャーも深くマークを愛しています。
上では単に「環境の変化」と書きましたが、そこはそれ、ソダーバーグ監督ですから細かな仕掛けがいっぱいあるのですよ。でもそれがごくごくさりげなく置かれているので観客は?と思いながらもついそのまま流してしまうんですよね。まあほんと、実に上手い監督ですわ。
マット君の演技も監督の手腕も、あまりにも上手なため、その上手の「手」がスクリーン上に跡を残していないのです。物語の中心は淀みなく流れ、ごくまれに岸辺の方でちょっとした波しぶきが上がっていたとしても、滔々と流れる本流の前には見過ごされてしまいます。
以前、上手だがその自分の上手さに監督が(実は役者も)酔っているのが難であると書いたのは「笑う警官 」でしたが、それとは全く正反対に監督も俳優も自分が上手い事を熟知した上でそれを見せないために細心の注意を払っているのが「インフォーマント!」です。
「笑う警官」をカラオケの演歌喉自慢大会に例えるなら「インフォーマント」は最高の管弦楽団。得意な曲はラヴェルの「ラ・ヴァルス」あたりでしょうか。
ゲラゲラ笑いながら見ている内に、なんだか抜き差しならない状況にはまりこんでしまうような、そんな作品。ソダーバーグは「オーシャンズ」シリーズでも、始めた「仕事」がいつの間にか膨れあがり自分達の手に余るようになって右往左往するキャラ達を描いてましたが、そのコンセプトは「インフォーマント!」でもそのまま生かされていました。「オーシャンズ」よりはかなりブラックな度合いが強いですが、それでも「バーン・アフター・リーディング」程の毒気はありません。
某日本企業の名前が実名で出てたりして、日本人にとってもなかなか勉強になる映画です(以前ご紹介した 神田瀧夢さん はここに出てます♪)
機会がありましたら是非御覧ください♪