MovieWalker より(以下一部抜粋)


アラスカで起こった未解決事件を描く衝撃的スリラー『THE 4TH KIND フォース・カインド』(12月18日公開)のオラトゥンデ・オスンサンミ監督を直撃! 実際の記録映像と再現映像を融合した演出が斬新な本作だが、監督は ミラ・ジョボビッチが扮した実在の心理学者アビゲイル・タイラー博士にも会っている。彼は事件の“生き証人”の弁をどう捉えたのか?


「博士にお会いした時、事件をどう解釈すべきか、その弁を信じていいのかどうか悩んだよ。映画を撮る前に、他にもたくさんの被害者に会ってリサーチ したけど、やはり彼らの口から出る言葉はどれもショッキングなものだった。話を聞くと、被害者たちは自分に起きた事件は紛れもない事実だと完全に信じ込ん でいるのがひしひしと伝わってきたよ」。


確かに劇中で、タイラー博士が患者を診ている時に遭遇する“事件”の記録映像はすごく生々しい。特に、タイラー博士本人の映像と、ミラが扮した博士の映像を同時に見せたりする演出は、よくある“フェイク”ドキュメンタリーとは一線を画す作風だ。


ミラ本人も事件を真実だと捉えているそうだが!? 「製作過程で、ミラたちキャスト陣にも記録映像を徹底的に見せたからね。また、ネットで検索すれ ば、今回取り上げた登場人物以外の証言も何百、何千と残っている。事件を語る被害者もいれば、それをふせる被害者もいるけど、勇気を奮い起こして事実を公 言した人は、家族や友人、仕事関係がたいがい崩れていく。なぜなら気が狂ったと思われてしまうからね」。実際に博士本人の人生も悲劇的に激変してしまった ことは映画でも語られている。


では、監督が本作の演出で一番こだわった点とは? 「気をつけたのは、製作者としてあくまでも中立的な立場をとるところだね。実際の記録映像をはさ みつつ、もう一方ではスターを起用して再現映像を撮っていく。そのふたつをミックスさせることで、中立的立場をとり、後は観客に判断を委ねることにしたん だ」。


でも、それだけリサーチして情報を得たら、監督自身の価値観も揺らいだりしなかったのか? 「そのとおり、すごく揺らいだよ(苦笑)。深夜3時頃に なると、『あの事件は本当だったんじゃないか』と怖くなることがあるし。でも、製作者としては、どうしても中立的立場をとらなければいけなかったから、そ こは徹底してやったよ」。


監督の話を聞くと、ますます興味津々になる新感覚のスリラー『THE 4TH KIND フォース・カインド』。一度観たら、確かに深夜思い出してゾッとしてしまうかも。怖いもの見たさでもいいから、肝を据えてトライしたい映画だ。