>昨年9月に明らかになった、ハリウッドの古参スタジオであるMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)の財政危機問題が、ついに世界中の映画ファンが期待している大作映画に影響を与えそうだ。
今年末から来年の頭に撮影開始を予定している「007」シリーズ23作目のプロデューサーであるマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリ が、トータル・フィルム誌のインタビューで不透明な製作スケジュールを明かした。昨年末に、シリーズ23作目の脚本家に起用されたピーター・モーガンが、 今年の2月にMGMの売却先が決まった段階でまた製作が再開されるとジェームズ・ボンド映画のファンサイトMI6のインタビューで答えていたが、はっきり と再開時期が予測できないほど状況はかなり不透明なようだ。
MGMは約40億ドル(約3,600億円)の負債を抱えていると伝えられており、最初の入札は数週間以内に行われることが明らかになっている。 MGMの資産は4,000タイトルにもおよぶ重要なフィルム・ライブラリーと傘下のユナイテッド・アーティスツ(UA)、「007」シリーズの権利や ニュー・ライン・シネマ(ワーナー・ブラザース傘下)と共同製作するギレルモ・デル・トロ監督映画『ザ・ホビット』(原題)2部作の権利などである。すで に、タイム・ワーナー、ニューズ・コープ、ソニーなど入札の可能性のある大手企業に資料を送付していることが伝えられているが、買い手を少数に絞込み、売 却先を慎重に選定していることが明らかになっている。MGMは、すでに昨年11月に債権者に債務の利払い猶予を認めさせ、独自に経営を続けていく計画や戦 略的パートナーシップの望みを捨てず時間稼ぎをしてきたが、次の返済期限が4月に迫っている。
もし売却先がすぐ決まらなかった場合、現在製作が中断されている「007」シリーズのほかに、今年の4月から5月に撮影開始を予定している『ザ・ ホビット』(原題)の行方が気になるところだ。このように製作スケジュールが決まらないと、撮影時期も設定できず主演スターたちのスケジュールも調整でき ないため、最悪の場合キャスティングの変更や製作延期ということにもなりかねない。再建するにしても、売却されるにしても、映画ファンを落胆させない結果 にして欲しいものだ。