オリコン より(以下一部抜粋)

>人気漫画家・浦沢直樹によるベストセラーコミックの同名原作を総製作費60億円をかけて実写化した『20世紀少年』(堤幸彦監督)。24日(水)に DVD&Blu-rayで発売される<最終章>には、未公開シーンを含む秘蔵エンディングのほかに、誰も観たことのない“もうひとつのエンディング”が本 邦初公開される。映画『20世紀少年』が本当の意味で完結するにあたり、堤幸彦監督に話を聞いた。

俳優たちもキャラクターになりきった映画『20世紀少年』の場面写真

◆最後のライブシーンはちょっと“神様”が降りてきた

――同作品に対する今の心境は?
【堤監督】 なんか、あんまり終わった気がしないんですよね。2年以上関わっていると、自分の中ではレギュラー化しますよね。もちろん、反省する点は多々あるんですが、今できることはすべてやった満足感、達成感はあります。

――忘れられないエピソードはありますか?
【堤監督】 <最終章>の最後のライブシーンはちょっと“神様”が降りてきた気がしましたね。実際に行われたコンサートを撮るのとは違う、作り込んだ再現 シーンなわけ。でも、何て言ったらいいか…高校生の頃からずっと自分の中のロックに対する憧れだとか、気持ち良さがあって、僕自身が好きなんです、バンド が。この映画を撮り始めた時から、普通のおじさんがレスポール(ギブソン社製のエレキギター)をかき鳴らして、世界を救ったあとに3曲歌う、その最後のラ イブシーンに向かって、ずっと撮ってきたわけだから。しかも、撮影のために1万人近いお客さん(エキストラ)が集まってくれて。

――世界を変えるのは、人生を変えるのは思いがけない1曲の歌だったりする、そういうメッセージを感じるシーンでした。堤監督も音楽で人生が変わった経験が?
【堤監督】 ありますね。僕は(主人公ケンヂのように)T-REXではなかったですけど(笑)。「はっぴいえんど」という日本のグループのアルバムを聴い て、「あ、ダメだ、名古屋にいちゃ駄目だ」と思って上京したんです。上京したての頃は辛かったですけど、辛さも含まれているものだと思っていた。ロックの 洗礼を受けているので、ロックへの思い入れはすごくありますね。

――誰もが知っているような俳優が総出演していますが、キャストが多くて大変だったのでは?
【堤監督】 いや、キャストが多かったことに関しては苦労ではなく、ものすごく楽しかったですね。いろいろな人がこの原作のファンで、好きで集まってくれ た。特別な方向性を持った作品だと、キャストが疑問を感じたり、自信がなかったりして、それが表れてしまうことがあるけど、この作品に関してはみんなが好 きで、自分が誰を演じるのか、はっきりわかって現場に来てくれた。こう言ったらなんだけど、クオリティの高いコスプレ大会というか、その先頭に立って指揮 指導できたのは、本当に楽しかったですよ。

◆ループ感というのかな、一周してきた感じを出したかった

――<最終章>はエンディングが注目されました。原作のファンも「こう来たか」と納得させられる素晴らしいエンディングだったと思いますが。
【堤監督】 脚本は原作者の浦沢直樹さん、長崎尚志さんが手がけていて、僕もなるほど、こう来たか、という驚きがまずありましたね。僕は脚本に対して、どんな映像で締めるかを考えただけなので、僕もエンディングは素敵な脚本だったと思っています。

――では、映像化する際にこだわった点は?
【堤監督】 正直な話、<第1章>を撮っている時はあのエンディングはまだなかったので、実は違う中学校で撮影しているんです。いろいろ条件があって、同 じ中学でできなかったというのもあるんだけど、僕が演出としてこだわったのは屋上の形です。ケンジが中学生だった当時の70年代の中学校の雰囲気を出した かったので、70年代以降に建てられた現代風の建築物ではダメなんですよね。古さとか校舎の形、あんまり小さくてもダメだし、マンモス校でもダメだった。 屋上から校庭がどう見えるのかというのにもこだわって、ロケハンしました。

 もう一つ、<第1章>の冒頭部分とエンディングを同じにしたかったというのはもともと確信犯的に僕の中でアイデアとしてありました。だから、エンディン グがどうなるかわからなかったけど、<第1章>で、弁当を食べている生徒、エロ本を見ている生徒、スカートめくりをして走り去っていく廊下、印象的なカッ トを3つ4つ作っておいたんです。ループ感というのかな、一周してきた感じを出したかった。原作者の方もそう来たかっておっしゃって下さって、してやった りでしたね。全3章をまとめたDVDセット、BDセットも2月24日に発売されるので、ぜひ。相違点がありますから、重箱の隅をつつかれても困るけど (笑)。

――満足感、達成感とともに燃え尽き症候群にはならなかったのですか?
【堤監督】 それはなかったですね、それは全然ないです。『20世紀少年』で完全燃焼したなって思ったら、次はこれか、面白そうだなって思える。そういう性格なんですよね。

――年齢を重ねても身軽でいられる秘訣は?
【堤監督】 軽薄なおじさんでいるのって本当、たいへんなんですよ(笑)。自分の性格なんですけど、あんまり真正面から物事を見ないというのは、事実とし てありますよね。物事には裏と表があるはずだし、すごく自然発生的な出来事に見えるけど、実は予定されていたことなんじゃないかと何でも疑ってかかる。 疑って物事を見るというのは、ロックを聞くようになった頃から植え付けられたことなので、その精神性みたいなものはいまだにずっとあります。

――『20世紀少年』は堤監督にとって、どのような意義を持つ作品になりましたか?
【堤監督】 自分の中でターニングポイントになる作品はいくつかあるんだけど、確実に『20世紀少年』はターニングポイントになりました。




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