>1930年代から1970年代に行われた英国児童移民プログラムについて、イギリスのゴードン・ブラウン首相が謝罪 声明文を出した今週、くしくもこの問題を告発した女性の伝記映画『Oranges and Sunshine』(原題)がクランクアップした。
英国児童移民プログラムとは、植民地主義の一環の国策で、現地の黄色人種や黒人の移民を食い止めて彼らの支配を拒むため、孤児院に入所していた孤 児や、貧困を理由に家族から引き離された子どもたちを、イギリスの植民地であったアフリカやニュージーランド、オーストラリアに送り込んでいたプログラ ム。オーストラリアに送り込まれた子どもたちのほとんどは、強制労働や虐待などを受け、家畜同然に扱われていたという。
ノッティンガムシャーで社会福祉相談員をしていたマーガレット・ハンフリーズは、4歳のときにイギリスから船に乗せられて強制的にオーストラリア に送られた女性から両親探しの協力依頼を受け、団体を設立。その後マーガレットは、この忘れられた子どもたちの問題を告発した「からのゆりかご 大英帝国の迷い子たち」を出版。イギリス政府は口をつぐみ続けたが、ドキュメンタリーが製作されるなど国民の関心も高まり、調査委員会によって問題が公の ものとなった。昨年11月にはオーストラリアのケビン・ラッド首相が、イギリスから受け入れた子どもたちに精神的虐待や肉体的虐待があったことを認めて謝 罪。そして今月23日にゴードン首相が謝罪声明文を出した。
『Oranges and Sunshine』(原題)に主演するのは、映画『奇跡の海』『アンジェラの灰』などで知られるエミリー・ワトソン。そのほか映画『オーストラリア』のデ ヴィッド・ウェンハム、映画『ウルフマン』のヒューゴ・ウィーヴィングも出演。監督はテレビドラマなどを手掛けてきたジム・ローチ。しばらくの間、イギリ スで話題となっていた題材だけに、注目を浴びる作品になりそうだ。