シネマカフェネット
より(以下一部抜粋)
今年も数々の感動的な瞬間が誕生した第82回アカデミー
賞。様々な困難を乗り越えた末の受賞を果たしたエンターテイナーたちのスピーチは毎年、感動を誘うものだが、一方で、候補者の紹介や賞の発表を行うプレゼ
ンターを務めるスターたちの、ウィットに富んだコメントやコミカルなやり取りも観客・視聴者の注目の的。最も多くオスカー像をさらったのが『ハート・ロッカー』
であるなら、観客の心を最も強く掴んだプレゼンターは果たして?
授
賞式の顔と言うべき今年のホストを務めたのは、スティーヴ・マーティンとアレック・ボールドウィンという小粋なベテラン俳優のコンビ。ミュージカル出身の
ヒュー・ジャックマンを司会に迎えた昨年の、ブロードウェイさながらの煌びやかなパフォーマンスと比べると、“地味”感が否めなかった今年の授賞式だが、
そこは彼らの“オヤジギャグ”を交えた軽妙なトークがカバー。3Dメガネなどの小道具で『アバター』
をネタにしたり、『恋するベーカリー』
で共演した“史上最多ノミネート”のメリル・ストリープをいじったりと観客の笑いをさらった。
昨
年の授賞式会場内では、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーとブラピの元妻ジェニファー・アニストンのニアミスが話題をさらったが、様々な人々が
交錯するこの世界、バッティングや因縁が生じるのは当然のこと。今年、“元夫妻”対決と注目を浴びたキャスリン・ビグロー&ジェームズ・キャメロン監督は
仲良く前後に着席。また、主演賞の発表では、共演経験のある俳優が候補者を紹介するという粋な演出がなされたが、主演女優賞候補者の1人、キャリー・マリ
ガンに対して『17歳の肖像』
で共演したピーター・サースガードが彼女を絶賛しながらも「でもごめんね、僕には愛する妻がいるんだよ」と、同席した妻マギー・ギレンホール(助演女優賞ノミネート)にラブコールを贈る(?)一幕も。
一
方、視覚効果賞の発表では、恋多き女ジェニファー・アニストンの“今カレ”と噂されるジェラルド・バトラーと、“元カレ”(?)のブラッドリー・クーパー
が仲良く、ひげをたくわえ登場。そんな中、気の毒だったのはキャメロン・ディアス。当初の予定では、恋の噂もあったジュード・ロウと一緒に登壇するはず
が、ジュードがこれをキャンセルしたとか。置き去りを食らった怒りもあって(?)、代理のスティーヴ・カレルとの相性もどこかぎこちなかった…?
ベ
テラン勢が貫禄を見せつける中、若手俳優陣も負けず劣らず、初々しさを垣間見せながらもしっかりとプレゼンターの任務を遂行! マイリー・サイラスとアマ
ンダ・セイフライドという公私共に絶好調な2人は、それぞれゴールドとシルバーのドレスで美の競演。一方、ロブ様ことロバート・パティンソン不在の『トワイライト』
チーム、テイラー・ロートナーとクリステン・スチュアートの2人は、ヴァンパイアを題材にした『トワイライト』
にかこつけて、通常、オスカーとはなかなか絡む機会の少ないホラー作品の魅力をアピールし楽しませてくれた。
残念ながら受賞を逃した『マイレージ、マイライフ』
の
主演ジョージ・クルーニーのスピーチが実現しなかったことを惜しんでいるファンも多いのでは? しかし、そこはハリウッドを代表する大スター。司会の2人
からは、名前を紹介されただけで半ば“シカト”状態にさらされ、サンドラ・ブロックの主演女優賞獲得のスピーチでは、“私をいじめてきた人”の代表として
「かつて私をプールに突き落としたジョージ・クルーニー」と明かされたりと、自身が表に出ずとも、どうにも周りがほっといてはくれないようだ。
そして、この舞台の最強の刺客として、一番の笑いを提供したのはベン・スティラーだろう。『アバター』
が
(CGで制作されているため)受賞とは関係ないメイクアップ賞の発表で、敢えて真っ青“アバター”メイクで、ご丁寧に長いしっぽまで付けて登場する
や、(劇中の)ナヴィ族の言語を真似した意味不明な発言を連発し、キャメロン監督を挑発。昨年はヒゲ面で登場し、当時、俳優引退を声明したホアキン・フェ
ニックスを意識したパフォーマンスで笑いを誘ったが、今年もパロディネタで会場に陣取るスターたちをも笑いの渦に巻き込んだ。このコーナー、当初はサ
シャ・バロン・コーエンとのコンビで寸劇を予定していたものの、直前であまりに強烈な内容のためサシャの出演が取り消されたと報じられたが、ベン1人でも
十分強烈! 来年の登場にも期待したいところ。
全体を通して、厳しい時間制限の中でスピーチ時間を短縮するよう命じられていた各登壇者た
ち。にもかかわらず結果的に時間が足りなくなり、最後の作品賞は不意打ちのように発表されたりと、慌しさの中で幕を閉じるなど、反省点も残したようだが、
ご覧になった方はどう感じただろうか? さてさて、来年はどんなショーが繰り広げられるやら。
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今回のオスカーで私が一番バカ受けして笑い転げたのは、司会の二人(スティーブとアレック)による「パラノーマル・アクティビティ」のパロディフィルムでした。
見た人と見てない人の感じ方の落差がここまで大きいパロディもそうないと思います。