「無防備」
とはこんな作品です。
>第13回釜山国際映画祭コンペティション部門グランプリ受賞!
第59回ベルリン国際映画祭にも出品!
日本映画史上初!実際の出産シーンが無修正で映倫審査を通り、
産経新聞の社会面をはじめ、朝日新聞、東京新聞などの新聞各紙で報道され、
話題になった作品!
女性の心の再生への葛藤を巧みに描き、ラストは衝撃と感動につつまれる!
試写会に参加してみようと思ったのは
>日本映画史上初!実際の出産シーンが無修正で映倫審査を通り、
の記述がちょっと気になったから。
どうやらこの赤い文字の部分だけが取りざたされ評判を呼んでいるようだけれど、実際の映画はどんな内容なのかと気になって。
この惹句のように、女性の無修正の出産シーンばかりを妙に際だたせたような作品だったらイヤだなと、だから見る前は結構斜に構えてたりしてました。
でもそんなのは全くの杞憂でした。
何気ない風景で始まる、その最初のシーンから映画にひきこまれてしまって。
たとえばテレビで全然予備知識のないまま途中からこの作品を見たとしても、恐らくそのまま目を離せなくなったでしょう。名画というのはそういうもので、作品のどこかに人の目と心をとらえて離さない強烈な魅力を秘めている物なのです。
この「無防備」という作品はインディーズ作品で、だから当然予算も限られていて出てくる俳優さんだって有名な方は一人もいません。大変申し訳ない言い方になりますが、容姿だって皆さんワリと普通で、その方の姿がはっと人目をひくほど美しいというわけではありません。
にも関わらず、この映画は美しい。
プラスチック製品を作る工場とか、普通の家庭のダイニングルームとか、雑然としているはずの風景の一つ一つが完璧な構図で決められているんですね。そこに俳優さん達が存在して、それでも尚、構図は完璧なんです。
一つ一つのカットがまるで名画のようで、これはもうほんとスクリーンで見て良かったなと思いました。
こういう構図で見せる監督って、日本だと北野武がそうですね。でもね、意外と北野監督の構図にはそこはかとなく作り込んだ印象が漂っているんですけれど、「無防備」の市井昌秀監督の見せ方はもっともっと自然で、ただの雑然とした日常の一コマとして見せているのです。
雑然として見えるのに、でもそこには美が隠されている。
深層心理で美を感じ取ると、人はそこから目が離せなくなるんですね。
でもドラマがつまらないといずれは飽きて集中力が途切れるものなんですが、「無防備」にはそれもありませんでした。
セリフの少ない、ほとんどを顔と体全体の表情で語るような作品なんですが、女優さんも俳優さんも皆体当たりで演技しているのでその迫力についついひきこまれてしまいます。
非常に重く、人が語るのを避けてきたテーマに正面から向き合うこの作品は、決して出産シーンを興味本位で撮影し見せるものではありませんでした。無論、だからこそ、実際の出産シーンが無修正で映倫審査を通ったのでしょうが、それは自分の目で確かめるまでは分からないわけで。でも事実をこの目で確かめることができて本当にラッキーだったと思います。
「無防備」は4月2日にDVDが発売されています。
http://shop.cinemart.co.jp/shop/goods/goods.aspx?goods=OPSD-S919
興味を持たれた方は是非御覧ください。
沈痛なテーマを扱った映画ではありますが、決して重苦しいばかりではなく、随所にユーモラスな場面もちりばめられていて緩急の呼吸がよい作品に仕上がっております。
この間「ゼブラーマン」を見て気づいたのですが、市井昌秀監督のユーモアのセンスは三池監督に似た部分がありますね(ユーモアセンスだけ。市井昌秀監督に暴力性はありません)。それはたとえば、誰かに見られたら恥ずかしい失敗をしちゃった後で次にどういう行動を取ったらいいのか分からなくなってフリーズしてしまった人と、そういう人をついうっかり見てしまった人、その双方が感じているバツの悪さを観客が感じ取って笑うというような、いわゆるユルい笑いですが、市井昌秀監督には笑う事によってその間の悪さをカバーしてあげようという意識が働いているようで、ほのかな暖かみを感じます。
見ている間は心が痛いけれど、見終わった後に生まれ変わったような気持ちになる――「無防備」はそんな作品です。
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試写会に参加してみようと思ったのは
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の記述がちょっと気になったから。
どうやらこの赤い文字の部分だけが取りざたされ評判を呼んでいるようだけれど、実際の映画はどんな内容なのかと気になって。
この惹句のように、女性の無修正の出産シーンばかりを妙に際だたせたような作品だったらイヤだなと、だから見る前は結構斜に構えてたりしてました。
でもそんなのは全くの杞憂でした。
何気ない風景で始まる、その最初のシーンから映画にひきこまれてしまって。
たとえばテレビで全然予備知識のないまま途中からこの作品を見たとしても、恐らくそのまま目を離せなくなったでしょう。名画というのはそういうもので、作品のどこかに人の目と心をとらえて離さない強烈な魅力を秘めている物なのです。
この「無防備」という作品はインディーズ作品で、だから当然予算も限られていて出てくる俳優さんだって有名な方は一人もいません。大変申し訳ない言い方になりますが、容姿だって皆さんワリと普通で、その方の姿がはっと人目をひくほど美しいというわけではありません。
にも関わらず、この映画は美しい。
プラスチック製品を作る工場とか、普通の家庭のダイニングルームとか、雑然としているはずの風景の一つ一つが完璧な構図で決められているんですね。そこに俳優さん達が存在して、それでも尚、構図は完璧なんです。
一つ一つのカットがまるで名画のようで、これはもうほんとスクリーンで見て良かったなと思いました。
こういう構図で見せる監督って、日本だと北野武がそうですね。でもね、意外と北野監督の構図にはそこはかとなく作り込んだ印象が漂っているんですけれど、「無防備」の市井昌秀監督の見せ方はもっともっと自然で、ただの雑然とした日常の一コマとして見せているのです。
雑然として見えるのに、でもそこには美が隠されている。
深層心理で美を感じ取ると、人はそこから目が離せなくなるんですね。
でもドラマがつまらないといずれは飽きて集中力が途切れるものなんですが、「無防備」にはそれもありませんでした。
セリフの少ない、ほとんどを顔と体全体の表情で語るような作品なんですが、女優さんも俳優さんも皆体当たりで演技しているのでその迫力についついひきこまれてしまいます。
非常に重く、人が語るのを避けてきたテーマに正面から向き合うこの作品は、決して出産シーンを興味本位で撮影し見せるものではありませんでした。無論、だからこそ、実際の出産シーンが無修正で映倫審査を通ったのでしょうが、それは自分の目で確かめるまでは分からないわけで。でも事実をこの目で確かめることができて本当にラッキーだったと思います。
「無防備」は4月2日にDVDが発売されています。
http://shop.cinemart.co.jp/shop/goods/goods.aspx?goods=OPSD-S919
興味を持たれた方は是非御覧ください。
沈痛なテーマを扱った映画ではありますが、決して重苦しいばかりではなく、随所にユーモラスな場面もちりばめられていて緩急の呼吸がよい作品に仕上がっております。
この間「ゼブラーマン」を見て気づいたのですが、市井昌秀監督のユーモアのセンスは三池監督に似た部分がありますね(ユーモアセンスだけ。市井昌秀監督に暴力性はありません)。それはたとえば、誰かに見られたら恥ずかしい失敗をしちゃった後で次にどういう行動を取ったらいいのか分からなくなってフリーズしてしまった人と、そういう人をついうっかり見てしまった人、その双方が感じているバツの悪さを観客が感じ取って笑うというような、いわゆるユルい笑いですが、市井昌秀監督には笑う事によってその間の悪さをカバーしてあげようという意識が働いているようで、ほのかな暖かみを感じます。
見ている間は心が痛いけれど、見終わった後に生まれ変わったような気持ちになる――「無防備」はそんな作品です。
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