>俳優の堤真一さんが主演する映画「孤高のメス」(成島出監督)の完成披露試写会が26日、東京都内であり、堤さんや夏川結衣さん、吉沢悠さんらキャ ストが舞台あいさつ。自らの信念を貫き通す外科医・当麻鉄彦を演じる堤さんは「似ているところ? すみません。全く見当たりません。僕がやっていいのかな と思いながらやりました」と笑わせたが、「この映画は医療というものを媒介としたヒューマンドラマ。本当にいろんなことが詰まっていて、いろんなことを感 じられる。年代や女性、男性を問わず見ていただけると思うので、それぞれの見方で感じていただければと思います」とアピールした。
「孤高のメス」は、現職医師の大鐘稔彦さんが医療制度の深部を鋭く描き、累計100万部を売り上げたベストセラー小説を映画化。20年前のある地 方の市民病院に赴任してきた外科医・当麻鉄彦(堤さん)が、体裁や見栄を気にして簡単な外科手術一つできない停滞した病院で、次々と困難な手術を成功させ る。「目の前の患者を救いたい」との信念が、次第に周囲の人間や病院を変えていく中、市民病院の充実に力を入れていた市長が病に倒れ、救う手立ては法律で はまだ認められていない「脳死肝移植」だけ。当麻は患者や提供者の家族の熱い思いに打たれ、最後の決断をする……という医療ヒューマンドラマ。
日航機墜落事故を描いた映画「クライマーズ・ハイ」(08年)の堤さんと成島監督のコンビを、順天堂大学医学部の現役外科医陣が完全バックアップ し、本格的な手術シーンも再現した。主人公の外科医・当麻鉄彦を堤さんが、看護師の中村浪子を夏川さんが演じたほか、吉沢さん、中越典子さん、成宮寛貴さ ん、余貴美子さん、柄本明さん、平田満さん、生瀬勝久さんらも出演する。
夏川さんは、堤さんの演技について「本当にすてきで、時折当麻先生とダブって見えた」と絶賛。吉沢さんからも「手術シーンの本番前に、堤さんが一 瞬、2倍くらい大きく見えたんです。緊張しちゃって堤真一という俳優に尊敬の念が出てきて、今も緊張しています。この人すごいなと思って、本当にご一緒で きて良かった」と褒めちぎられた堤さんは「絶対本当は思ってない! うっとうしくて大きく見えたんですよ」と照れていた。
実際に生体肝移植の手術を執刀医の真横で見学したという堤さんは「肝臓を摘出する手順も教わって、血管を縫ったりという作業も、医大生が使うよう なキットで練習していました」と役作りの努力を明かした。夏川さんも「私も手術を見学させていただいたんですが、音楽がかかっていて、先生が鼻歌まじり で、本当にびっくりしました。リラックスするということなので失礼というわけではないんですが。でもびっくりしました」と振り返っていた。
舞台あいさつには、原作者の大鐘さんやイメージソング「待ち合わせ」を歌う馬場俊英さんも出席した。堤さんと夏川さんは、白衣姿と看護師のキャッ プをつけた紅白ダルマに墨入れし、映画のヒットを祈願した。映画は6月5日から全国ロードショー公開される。