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> がん性リンパ管症のため昨年5月、58歳で亡くなったロック歌手、忌野清志郎さんの墓が東京都八王子市初沢町の高尾霊園高乗寺にこのほど建立された。清 志郎さんが生前にデザインしたキャラクターの金属製の像がちりばめられ、欧風のレンガの囲いを施したユニークなつくり。亡くなって1年になる2日、熱心な ファンが墓前に詰めかけ“ロックの王様”をしのんだ。

 無宗教だった清志郎さんらしく、形式にとらわれないロックな墓が出来上がった。周囲の墓石とはっきり異なるのは低く積んだレンガの囲い。清志郎さんが愛 した英ロックバンド「ザ・ビートルズ」の名曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の題材となった建物の雰囲気をコンセプトに作られたものだ。

 切り出し加工していない天然の御影石製の墓標には、本名の栗原清志でなく「忌野清志郎」の字が刻まれている。生前に残した自筆の署名をそのままの形で彫 り込んだもの。傍らには清志郎さんがデザインしたイメージキャラ「ひとはたウサギ」の金属像が墓石に腰掛け、生前愛用したギブソン社のギター 「J―200」を弾いている。

 出入り口の柱には「Love&Peace」のメッセージ。墓参りに訪れる人が落ち着いて清志郎さんと語らえるようにと、墓石の斜め前には石の椅子が設置 された。金属製の仕切り柵には愛車「オレンジ号」を意識した、自転車型の装飾があちこちに施されている。

 高校時代を過ごした思い出の地、東京・日野市にほど近いことから、この霊園が選ばれた。墓が完成したのは先月24日。完成直後には仲井戸麗市(59)ら ミュージシャン仲間も墓参りをした。

 2日は午後3時時点で約100人のファンが足を運び、花束や清志郎さんが好きだったビール、ギターのピックなどを供えた。神戸市から泊まりがけで訪れた 親子連れの姿もあった。

 午前8時半ごろ一番乗りした世田谷区の会社員中村克広さん(44)は「追悼イベントは数多いが、ほかの人が清志郎さんの歌を歌うと“もうあの人はいな い”と思い知らされる。だからここに来た」と神妙な顔つきで合掌。偉大なロックスターに思いをはせていた。