午前8時スタートのNHK朝ドラ第1弾となった「ゲゲゲの女房」(月~土曜)が放送開始から1カ月が過ぎた。ここまでの平均視聴率は16.1% (関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、前作「ウェルかめ」から2.6ポイント上昇。その背景には“朝ドラ高視聴率の法則”と「主婦」というキーワードが あった。

 朝ドラは今作から、視聴者の生活習慣の変化に合わせ、午前8時15分の開始時間を48年ぶりに変更。視聴率への影響に注目が集まる中、3月29日 の初回は14.8%。これは集計を始めた1964年以降、初回としては過去最低だった。


 ところが、ヒロインの松下奈緒(25)が本格登場した4月5日以降、徐々に数字は伸び、同12日には最高の18.2%をマーク。18%超えは 「ウェルかめ」の放送中に台風情報を伝えた昨年10月以来。通常では「だんだん」(08年9月~昨年3月)最終回の18.2%以来だった。


 この人気の一因に“朝ドラ高視聴率の法則”があると分析するのは「週刊ザテレビジョン」の藤田薫編集長。同作はヒロイン村井布美枝が漫画家の水木 しげる氏と結婚し、昭和30年代以降の東京で貧しくも明るく生きる物語。「昭和、貧乏、一代記」をヒットのカギに挙げ「苦しい生活を耐え忍ぶヒロインの物 語が、不自由なく生きる視聴者に非日常を感じさせるのでは」と指摘する。


 また、朝ドラの主人公と言えば「運命を切り開こうと努力する、職を持った女性」という印象があるが、布美枝は「夫の運命に流される専業主婦」。朝 ドラが一切職を持たない専業主婦を主人公にするのは「30年以上前にさかのぼる」(NHKベテラン広報)という。


 減ったとはいえ、最近でも1300万人以上(05年国勢調査)とされる専業主婦。谷口卓敬チーフプロデューサーは「視聴者が似たタイプの主人公に 感情移入するなら、専業主婦が一番間口を広げられると考えた」と説明。最近の朝ドラでは、落語家やミニコミ誌の編集者などの仕事を取り上げてきたが、藤田 氏は「無理のある仕事が多い印象だった。ゲゲゲの女房は夫婦の自然なスタイルが丁寧に描かれ、落ち着いて見られる」とした。


 視聴者層も朝ドラの“固定客”である中高年齢者だけでなく、20~30代にも広がりつつある。古くて新しい形のスタイルとして注目を集めそう だ。スポニチ