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上海万博の公式PR曲の盗作騒ぎが記憶に新しいが、今度は別の中国曲が、日本の人気バンド「スピッツ」のヒット曲「空も飛べるはず」(1994年)にそっ くりだ、という指摘が浮上している。

 「盗作以前のそのままじゃないか」「これでバレないと思ったのか」――2010年5月の連休に入りネット掲示板2ちゃんねるやブログで盗作疑惑を指摘す る声が相次いだ。中国の歌手、大張偉さんが歌う「偏偏愛上洋葱」(2009年)のメロディが、スピッツの草野正宗さんが作曲した「空も飛べるはず」に酷似 しているというのだ。

■事務所関係者は「権利は日本からもらった」と主張

 大張偉さんは、元バンドボーカルでソロデビューした。「偏偏愛上洋葱」の作詞もし、ほかの曲では作曲も手がけている。問題の歌の作曲家は 「Jeanne,Laurent」という、どことなくフランス人の名前のような人物だ。日本のネットで調べる限り、音楽家の 「Jeanne,Laurent」は少なくとも著名な人物ではないようで、その実在は確認できなかった。このため、架空の人物ではないか、大張偉さんと同 一人物ではないか、という推理をするブログもある。

 中国国内では、「偏偏愛上洋葱」の発売直後(09年夏)から、スピッツ曲の盗作ではないかとネットで指摘が出ていた。著名なネット掲示板「天涯論壇」に 「メロディがまったく一緒」と声が寄せられ、ある中国語ニュースサイトには、09年8月25日、大張偉さんの事務所関係者のコメントも載った記事が紹介さ れた。盗作だとほぼ断定し、からかうかのような調子になっている。

 記事によると、大張偉さんの事務所関係者は、「メロディの権利は日本からもらった」と主張したが、なぜ作曲者欄の名前が本来の草野さんではないのか、と いう記者の質問には「印刷のミスだ」と答えたという。大張偉さんを巡っては06年ごろから邦楽を含む盗作騒動が相次いでいるそうで、記事では、「パクリさ ん」といったニュアンスのニックネームで大張偉さんを呼んでいる。ただ、彼の人気は限定的だったこともあり、中国国内では大きな話題になるまでには至らな かった。

■パクり問題は根深い?

 一方、日本では、岡本真夜さんの曲を盗作したと事務局が事実上認めた上海万博が5月1日に始まったこともあり、あらためて中国の曲盗作問題に関心が集 まった形だ。

 万博PR曲の作曲家には、ほかにも盗作疑惑があったと中国メディアが報じたし、今回の大張偉さんの疑惑も初めてではない。万博曲を巡って中国当局が示し た著作権保護への強い姿勢が本物なのかどうか、見極めが必要なようだ。

 インターネット上では2曲の演奏動画を紹介するブログが広がり、実際に聞き比べることができる。聞いてみると、ブログ筆者たちも指摘している通り、確か に似ている。

 もっとも国内のネットにも「盗作」に寛容な声はある。今回の問題を取り上げた「2ちゃんねる」には、かつての日本も洋楽からパクッていた、という趣旨の 書き込みもあった。

 スピッツの事務所に事情を聞こうとしたが、ツアー準備中でもあり担当者とは連絡が付かなかった。