> 14人組グループ「EXILE」のパフォーマーのAKIRA(28)が「インファナル・アフェア」を代表作に持つアンドリュー・ラウ監督の中国映画「精 武フォン云(チンウーフォンウィン)」に出演したことが2日、分かった。EXILEは今年から来年にかけてアジア進出を目標に掲げているが、先陣を切るア ジアデビューとなる。日本公開は未定ながら、9月23日に中国、台湾、香港で公開される。

 AKIRAが俳優としてアジアに乗り込んだ。世界的に知られるラウ監督の新作に出演。第1次世界大戦後、混乱が続く中国・上海を舞台に、日本軍の反日中 国重要人物の暗殺計画を阻止しようとする男を軸に描くアクション。AKIRAは暗殺隊隊長の少将の右腕となる佐々木役を演じた。

 AKIRAは昨年、初主演映画「ちゃんと伝える。」で日本映画批評家大賞新人賞を獲得するなど、俳優としての活躍がめざましい。今作の出演は、関係者を 通じてプロデューサーと知り合った縁から決まり「ちょうど芝居でスケジュールを埋めたかった時期だった。向こうのアクションに興味があったし『―アフェ ア』は大好きな作品。願ってもない話だと思った」。EXILEにとっても一人の俳優としても大きなチャンス。初の海外作品にも一切、迷いはなかった。

 撮影は新鮮な経験の連続だったという。突発的な変更が当たり前の中国。1月5日に日本を飛びたち「2週間はけいこ期間と言われてたけど、空港からホテル に向かう途中に『すぐ来て』と呼ばれたら、そのまま撮影だった」。台本も準備稿しかなかった状態。戸惑いはあったものの、大舞台を踏んできた経験を生かし 「アクションの準備はしていた。一発やったら監督が目で『OK』って」。

 当初は出演シーンはわずかだったが、ダンスで鍛えたAKIRAのアクション能力がラウ監督を動かし、一シーンを終えるごとに出演機会が増えていったとい う。「想像以上に新しい自分が見られた。出会ったことのない空気感だったり、人との出会いだったり、運がよかった」と満足の日々を振り返った。

 中国、台湾、香港では大規模公開が決まっている。9月に北京で行われるプレミア上映会にも出席予定。「今回は行っただけじゃなく、チームとしてもつなが る、いい土産を持って帰れた。アジアで“かます”上で自信になった」。日本の音楽界を代表するEXILEが海を渡る日も近い。

 AKIRAはTBS系ドラマ「タンブリング」にも出演中だが、「芝居は絶対にやりたくなかった」という。06年に舞台で俳優デビュー。「テングになって いたのか、ダンスに行き詰まったとき、自分を追い詰められるものなら何でもよかった」。ゼロからのスタートで「やりきったとき、何年かぶりに涙を流して 吹っ切れた」。ダンスに戻るきっかけにもなり、今のEXILEとしての活躍にもつながっている。

 ◆AKIRA(アキラ)1981年8月23日、静岡県浜松市生まれ。28歳。2003年にMAKIDAIらと「RATHER UNIQUE」を結成。 06年3月に劇団方南ぐみ舞台「あたっくNo.1」で俳優デビュー。同6月にEXILEに加入。08年4月「Around40~注文の多いオンナた ち~」(TBS系)でドラマ初出演、同6月「花より男子~ファイナル~」で映画デビュー。身長185センチ。

 ◆映画「精武フォン云」 ラウ監督は「―アフェア」シリーズが、レオナルド・ディカプリオ主演「ディパーテッド」(マーティン・スコセッシ監督)として リメークされ、米アカデミー賞作品賞など4部門を獲得。また主演は、ジャッキー・チェンらに次ぐアクションスターとして注目を集めるドニー・イェン。ほか にコカ・コーラの烏龍茶「煌」のCMに出演したスー・チー、「ハムナプトラ3」のアンソニー・ウォンらが出演する。