毎 日新聞

>ルステンブルクのピッチに歓喜の輪。サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で日本代表は24日午後8時半(日本時間25日午前3時半)から、北 欧の強豪・デンマークと対戦し、3-1で快勝した。海外開催のW杯では初となる決勝トーナメント進出。ピッチ上では「日本」の特長であるチームワークを見 事に発揮した。【ルステンブルク(南アフリカ)安高晋】

 試合終了のホイッスルの瞬間、ピッチ上のサムライブルーの選手たちは一斉にガッツポーズ。ゲームキャプテンの長谷部誠選手は大きく天に、相手のエースを 抑え切った長友佑都選手はグラウンドに向けて。守備の要・中沢佑二選手は天を仰ぐように反り返り、こみ上げる思いをかみしめた。闇夜に浮かび上がるロイヤ ルバフォケング競技場は、日本の勝利を祝福するブブゼラの大音量に包まれた。

 ゲーム展開は、決して楽な場面ばかりではなかった。後半、身長180センチ台半ばから190センチ台の「デンマークの壁」が押し寄せる。一回り小さい日 本代表がはね返す。後半42分、本田圭佑選手、岡崎慎司選手の「同級生コンビ」が鮮やかな連係でダメ押し点を奪い、遠く日本から来たサポーターが歓喜の ジャンプを繰り返した。

 試合後、選手たちの顔は充実感であふれた。長友選手は「最高っすね。すごい幸せ」。前日に「僕たちにとって人生をかけた試合になる」と意気込んでいた長 谷部選手も「今までやってきたことが報われた」と素直に喜びを表現した。

 チームキャプテンとして選手をまとめた川口能活(よしかつ)選手は「新たな歴史の一ページを開けた。出場していない選手が悔しさを押し殺して、チーム一 丸になれるよう努力してくれた」と23人全員での快挙を強調した。岡田武史監督は高ぶりを抑えるような口調で前を見据えた。「終着点はここじゃない」

 日本から駆け付けたサポーターも、喜びに浸った。大きな日の丸を羽織って応援した千葉市美浜区の会社員、市原仁さん(43)は「国内では『全敗する』な ど悲観的な予想ばかりが目立ったが、完ぺきな試合で世界を驚かせてくれた。いろいろ言われる中で自分のやり方を貫いた岡田監督に感謝したい」。カメルーン 戦を日本でテレビ観戦し、急きょ現地で応援することを決めたという大学非常勤講師、小林美由紀さん(45)は「次も勝ってベスト8も夢じゃない」と声を張 り上げた。

 岡田ジャパンの快進撃は南アのサッカーファンにも衝撃を与えた。観戦したワンナス・チュイリーさん(25)は「間違いなく今夜の勝者は日本だ。ホンダの フリーキックにはたまげた」と興奮気味。会場周辺は連呼が鳴りやまなかった。「ジャパン、ジャパン」「ニッポン、ニッポン」……