>スティーブン・ソダーバーグ 監 督が、現役ポルノ女優のサーシャ・グレイ を主演に迎えた最新 作「ガールフレンド・エクスペリエンス 」について語った。
舞台は、リーマンショック直後の経済不況を迎えた2008年秋のニューヨーク。企業エリート相手に1時間2000ドルを稼ぐ、高級コールガールの チェルシー(グレイ)の1週間を描く恋愛ドラマだ。
ソダーバーグ監督は、「客にキスをさせることで大金を稼いでいる、あるレベルに達した 職業エスコートたちがいるという話がとても興味深かった。通常はこの一線(キスをさせるということ)を超えないからね。この種の親密な行為を許すことで、 追加料金を受け取る女性がいるということが面白いと思った」と製作動機を述懐。
そして、脚本執筆のためにそうした女性たちを取材し、「これが単なるキスの 問題ではないことに気付いた。彼女たちはクライアントについて調査し、2人の会話がまるで恋人や夫婦間のものであるかのようにする。クライアントと同じ本 や雑誌を読み、親友や同僚の名前を調べるなど、完全な関係性を作り上げることでお金をもらっている。そんな興味深い人生をのぞいてみたいと思った」
その言葉を表すように、劇中ではチェルシーと顧客との肉体関係よりも、会話シーンに比重が置かれている。その様子は、まるで心理カウンセラーのよ うでもある。
「その通りだ。僕がリサーチで会った女性たちは、クライアントに対する精神面の治療も自分たちの仕事の一部だと明言してい た。エスコートとクライアントがともに過ごす時間は、セックスに限られない。彼女たちは、セックスをしているよりも会話をしている時間の方が長いんだ」
チェルシーには理解ある恋人がおり、公私ともに充実した日々をおくっている。しかしある日、ある顧客の男性に心ひかれたことから、次第に生活に変 化が訪れていく。
「チェルシーのような女性に恋人がいた場合、2人の間には何の秘密もないと考えることができる。でも、映画の中でも明ら かになるように、人には常に口に出さない何かが裏に潜んでいる。この映画は、20年後の『セックスと嘘とビデオテープ 』だ。20年もの間の技術の進歩が、我々 をどのように変えてしまったかを見ることができる。20年前にはプライベートな出来事だと思われたことも、今の人たちにとってはそうではない。今の人たち は、親密なディテールを喜んで自らインターネットで公表しているからね」
「ガールフレンド・エクスペリエンス 」は7月3日より公開。